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    『トカジノフ』戸梶圭太

    トカジノフ
    トカジノフ
    戸梶 圭太 2006/8/25文庫化 角川文庫 P.333 ¥620
    ★★★★★
    「六畳一間のくそぼろいアパートの黴臭いちっぽけな空間を高い金で借りて、肉体的にも精神的にもエネルギーを搾取されて、それで自分は自立した大人だと悦に入って何になるってんだ? 馬鹿じゃねぇのか?……搾取されたエネルギーは最後は大企業の黒い豚をますます太らせるだけだという仕組みがわかっていないんだ。…」〜『くるまびと』より〜

    対立するやくざの組が雇った謎のヒットマンを狙うつもりが、マンションの部屋を間違え、他国の工作員に銃を向けてしまった間抜けな鉄砲玉の男は、ヒットマンよりも恐ろしい、公安に追われる工作員の男に追われることに…。そして鉄砲玉←工作員←ヒットマン←公安の壮絶なチェイスが始まった…『ターゲット508』(スピード★★★ 地響き★★ 思い込み★★)

    深夜の『ニッコリマート』新座南店からの通報を受け、駆けつけた警察官二人は、店に押し入り、客や店員に危害を加え暴れまくるシャブ中の男と、たまたまパトカーに乗せていた捕まえたばかりの別の事件の犯人を闘わせることを思いつき…『Jの利用法』(バトル★★★ 知恵★★ 内臓★★★)

    富士登山を楽しむ熟年夫婦が、そこには場違いなサラリーマン風の姿の男を発見し、男の行動を双眼鏡で見張りながら、あれこれ推測しているうち、やがて恐ろしい推理に行き着き、身の危険を感じることに…『七合目』(謎★★★ 熟年★★ 注意力★★)

    結婚をせく母親にうんざりし、出会い系に嵌る友人を尻目に、キャラクターデザイナーを夢みるデパガに訪れる、人生最低の一日、そしてその後、女はイラストブックだけを残して姿を消してしまい…『二十八歳の事情』(成長★★ ホロリ★★★ キュート★★)

    の他『交番トライアングル』(官能★★ 映画★★★ 愛情★★、『くるまびと』官能★★ 団地★★ カリスマ★★★)、『鳩殺し』(老人★★★ ベンチャー★★ 負け犬★★)、『ニ種族激突』(女気★★★ 成長★★ シーソー★★)の8編から成る、トカジワールドの魅力を満載した伝説の短編集。

    「強烈な殺笑能力を秘めた8発の弾丸(ショート・ストーリー)。イカした文体で、イカれた男と女共を徹底描破!フヌケな現代をこらしめる比類なきイリーガル文学!ハイブローなトカジ波(ウエーブ)が、あなたを小説の虜にする――。トカジは短くても凄い!」だ、そうで。


    もしかして、トカジさん、短編の方が面白いかも…。

    相変わらずの「安い人間」達が繰り広げる、お馬鹿なエログロワールド炸裂で、でも、『七合目』や『二十八歳の事情』の2編は、結構まともと言うか、こういうのも書くんだ…と見直したと言うか。

    『鳩殺し』はすごく嫌な話だけど、我慢して読むと、その分ラストが痛快だし…、またまたトカジワールドに嵌ってしまった。

    『くるまびと』の話は、結構考えさせられるし…。
    自殺を決意した一人の女の子が、街を彷徨っていて見知らぬ男に声をかけられて連れて行かれた先には、自分と同じように、傷ついた心を抱えた人たちが寄り添い暮らすコミュニティがあって、やがてそこに人間が増えていくにつれて方向性が変わっていき…というのは、あの宗教がモデル(たぶん)?

    感動物に涙するのも好きだけど、たまにこういう人間の愚かな部分が満載の本を読むのも、結構心が洗われて良いのかも(身体の毒が抜けていくと言うか…まさに毒を以って毒を制す、かな)。
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      『誘拐の誤差』戸梶圭太

      誘拐の誤差
      誘拐の誤差
      戸梶 圭太 2006/11/30発行 双葉社 P.375 ¥1,890
      ★★★★
      いやぁ、人間の子供として生きてた頃は大人って凄いんだって思っていたよ。仕事して、家族を養って、その他いろいろ。
       それがこんなにもダメだったなんて。……
       なんだか可哀相だよね、大人って。全然ちゃんとできないのに、ちゃんとしているようなフリをしなきゃいけないんだから。
       俺は十歳で死んでよかった。

      畑の脇にある道の側溝に押し込まれ、自分の吐瀉物にまみれ、助けを呼ぶ力さえなくなり体温が低下していくなか「どうしてこんなことに…」と、数時間前に自分に起こった出来事を反芻する、小学生にして茶髪の、元ヤン夫妻の一人息子、10歳の礼乎(れお)。

      帰りの遅い息子、礼乎を心配し探し回る母、香奈の願いも虚しく、礼乎は再び現場に戻ってきた近所に住む獄潰し、30を過ぎても働きもせずパチンコばかりしている嫌われ者の「須田の狢子おやじ瓠廚砲茲辰道澆瓩鮖匹気譟△修了狢里録榲弔離僖轡蝓▲灰Ε犬砲茲辰謄乾濕里鴇譴吠置されてしまう。

      そうして死んでしまった自分の肉体から離れ、身軽になった礼乎は、行きたい場所にいつでも行け、人間の頭の中を自由自在にスキャンできることに気づき、自分を殺した犯人、そして悲しみに暮れる両親や祖父母、事件解決に奔走する警察官たちの頭の中を次々とスキャンしていき、大人たちの真の姿を目の当たりにすることに…。

      「礼乎(10歳)が学校から帰ってこないんです。母親からの届けを受け、警察が捜査を開始した。1週間後、悲しくも礼乎が死体となって発見された直後、犯人から礼乎の身代金を要求する連絡が入る。困惑する警察。犯人の動機・目的は不明。捜査陣の足並みは乱れ、捜査は難航する。
      こんな警察小説が今まであっただろうか!? 不可解な動機にスリリングな展開 驚愕のラストにあなたは絶句する!!」だ、そうで。


      真保さんの「繋がれた明日(単行本の方)」にそっくりな装丁と、この帯だけ見て、本当にまじな本格警察小説なのか?と思ってしまった自分が情けない…。
      な、わけないか。戸梶さんだし。

      最初の方でいきなり「俺が死んでいる。」と礼乎君が客観的に自分の死体を見下ろす場面は、何だか乙一さんの「夏と花火と私の死体」っぽい展開で、なかなか面白くて、たった数日間の間に大人の様々な世界を見聞きして一気に老け込んでしまう、というのもうなづけるような…。

      礼乎君がいなくなってからの、両親や祖父母や、クラスメイトたちの頭の中の思考が何だかリアルで、礼乎君にはとても気の毒だけど、真実はこういうものなのかもしれないなと。

      警察の地道な地取り捜査によって無関係だけど少々アブナイ人たちが次々と容疑者として挙げられて、本当の犯人がのうのうと次々犯行を繰り返すというのも、なかなか真に迫っていて…「本格警察小説」の謳い文句に偽りはなかったのかな。

      親の脛かじりの「ニート」に対してもかなり苦言を呈してるというか、まあいつもの「安い…」の戸梶節は健在で、何もそこまで…と思わなくもないけど、実際ダメな大人も多すぎるわけで、信じられないような犯罪が次々と起こっている世の中なので、一読の価値はあるのかも(戸梶さん、嫌いでなければ)。

      「俺は、人間って体が大きくなれば心も大きく広く深くなっていくもんだと思っていたけど、全然違ったんだね。
       むしろ逆だね。
       変わるのは肉体だけ。根本的な部分は、実は生まれてすぐに決まって、後は死ぬまでずっと同じなんだ。よくわかったよ。今回のことで。」という礼乎君の台詞は、悲しいかなその通りだし。

      に、しても、見返しのイラストはちょっと怖すぎ…二度と見れない。
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        『バカをあやつれ!』戸梶圭太

        バカをあやつれ!
        バカをあやつれ!
        戸梶 圭太 2006年 10月 文藝春秋 P.269
        ★★★★★
        偉い人になろう。
        この田舎地獄から逃れるにはそれしかないと悟った。必死で勉強して、県でトップになって、奨学金で東大に行き、東京のいい会社に入って、そこで偉くなって稼ぎまくって東京に豪邸を建てよう。
        そうすれば今日の屈辱を忘れられる。
        偉い人になろう。頑張って頑張って偉い人になろう。

        子供の頃、母親にまつわる噂によって屈辱的ないじめを体験した増園征二郎は、金と権力を手に入れ、生まれ育った田舎町に復讐するために、町に舞い戻り、町長選挙に立候補し見事当選を果たした。

        それから二年の月日をかけて、郊外に巨大ショッピングモールを誘致し、駅前商店街の衰退を一気に加速させ、それまでローカルチェーンの店しかなかった県道沿いのパチンコゾーンに、全国チェーンのパチンコ屋を進出させ、さらには風俗店の規制を緩め、典型的な「田舎町のグローバル化」を図ろうとする増園。

        そんな増園が出席した、ある事件の記者会見の映像を見て、自分と同じ匂いを嗅ぎつけ、増園に近づいたのは、今年の春に着任したばかりの新しい警察署長、川添祐太郎。

        「バカの目が大好き」という若きキャリア署長、幼少の頃からエリートコースを驀進してきた、独裁者を夢見る川添は、増園を自宅に招き、子供の頃からの夢を実現するための計画を打ち明ける。

        そして、川添の大学の友人、財閥の末裔で、財閥パワーをフルに発揮する氏家を加えた3人で、この田舎町を「日本で一番どうしようもない町、どうしようもないバカ地獄」にするべく、全国から前科者やホームレスを集めまくり、この町での仕事を与えるのだが…。

        『果たして“下流社会”はつくりだせるものなのか?
        「自分以外はみんなバカ」という全能感にひたって生きる現代の若者たちに小説界のホリエモン、戸梶圭太がおくる渾身の書き下ろし長篇。』だ、そう。
        なんかニュアンスが微妙に違うような…。


        相変わらず一見馬鹿馬鹿しいようでいて、実は奥が深いというか…。
        あんまり人には薦められないけど(エログロだし)、でも、読んでもらいたかったりする。

        実際にあった事件の犯人っぽい人たちに対する仕打ちは、「必殺仕事人」のようで胸がすく気がしてしまうので。

        まあ、実際のあの性病は、そんなにすぐに進行しないと思うんだけど…(昔、写真では何期か後のそういうの見たことあるけど)。

        パチンコも一時期はまってた(今はそんな金もないけど)ので、店がなくなったら、ストレス溜まって、こうなるというのも分かる気がしてしまった。他に娯楽がなければ尚更…。

        町民達がわらわらと集まってくる様子は、その言葉が出てくるまでに「ゾンビ」を思い浮かべてしまった…(今思い出してもあれはかなり怖い)。

        最後の川添の台詞「普段はいい奴なんだ」というのが、本当は何を指してるのか…深読みしすぎかな?

        村八分のようないじめに遭った増園の「勉強して、偉くなって見返してやる」という前向きな姿勢は、今の子たちに勧めたくなってしまうんだけど…。

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          『さくらインテリーズ』戸梶圭太

          さくらインテリーズ
          さくらインテリーズ
          戸梶 圭太 2003年 早川書房 P.275
          ★★★★
          俺はもう疲れたんだけど……。
          (疲れていても人生はまだ続きます)
          わかったよ、もう。
          次は何だ? 何が起こるんだ?
          ………CMタレントになって使い切れないほどの大金を稼ぐかもしれない。その内の十億円ほどをホームレスの自立支援団体にポンと寄付する、ということは絶対ないだろう。
          まぁ、それ以外はなんだってありだ。
          人生はまだ続くのだ。最後の瞬間の自分など、想像もつかない。それでいいのだ。

          トイレと手洗い場と、パンダとキリンの乗り物と、小さなベンチがあるだけの、公園というより、何の役にも立たないただの空間『北新宿さくら児童公園』に住みついた五人のホームレス。

          元市役所の職員だった山根、大手宅配便会社の経理部にいた安藤、元中学校教諭の高木、元図書館司書の鳥越、そして元考古学者(発掘した遺跡の捏造がばれた)、有名人の藤守。

          たまたま、世代も学歴も知的レベルも似通った中年男の集まり、知的ホームレス集団、名付けて『さくらインテリーズ』の五人は、それぞれの事情から、会社を解雇され、世間から見捨てられ、この小さな空間で、仲良くつましくホームレス生活を送っていた。

          そんな誰も来ないことだけがとりえの、小さな陽も差さない彼らだけの空間に、ある日一人の「きったねえデブ」が勝手に入り込み、彼らの生活を脅かし始める。

          自分たちの生活を守るため、彼ら五人は力を合わせて、闖入者を追い出すことにしたのだが…この男と関わってしまったことから、彼らホームレス達の激烈な死闘が繰り広げられることに……。

          「俺らは社会の犠牲者だ!偉いんだ!だから何してもいいんだ!!
          三日やったらやめられない?自業自得型ホームレスの禁断の世界」だ、そうな。


          これまで読んできた戸梶さんの(と、いってもまだこれが4冊目だけど)パターンから、全く先が読めないのは分かってきたけど、今回も、まあ恐ろしいほどにストーリーが二転三転というか…人がどんどん死ぬ(まあ、ただ死ぬだけじゃないけど)。

          ホームレス仲間のいじめられっ子のような、藤守の豹変ぶりもさることながら、生き残った二人のその後の展開も、あまりにも波乱万丈すぎて…。

          ところどころに挿まれる「ホームレスの暗黙の了解その○○」は、なかなか為になる。

          いきなりシャベルで地面に穴を掘り始めた藤守を見て、「また発掘するつもりかな」「違うな何かを埋めるのさ」の仲間の台詞には、思わず噴き出してしまった。

          もう、すっかりこの人のこと忘れてしまってたけど。

          ここに出てくる他のホームレスの人達も、もしかしたら本当にあった新聞ネタの人達なのかな?まあ、知的な職業に就いてる大人の破廉恥行為とか、あり過ぎて特定できないか…。

          以前は、鴨川沿いを歩いて帰っていたので、橋の下のホームレスのおじさん達とたまに話したりしたけど(みんな猫とかワンちゃんとか飼っているので、ついつい声をかけたくなる)、みんな優しすぎる人達なんじゃないかなと、その時思った(ここに出てくるような事件の人たちは、きっともっとうまく生きられそう)。

          これから寒くなるから、くれぐれも気をつけてほしいなぁと、この本読んで思ってしまった。


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            『牛乳アンタッチャブル』戸梶圭太

            牛乳アンタッチャブル
            牛乳アンタッチャブル
            戸梶 圭太 2004年 双葉文庫 P.587
            ★★★★
            どいつもこいつもいっちょまえに正義の使者みたいな気分でいやがるんだろうよ。よってたかって雲印乳業を極悪大企業に仕立て上げるつもりなのだ。
             世の中はいつだって悪役を必要としている。日頃の鬱憤をぶつけるための悪役を。報道機関というのは庶民にわかりやすい悪役を供給し続けるのがその社会的役割なのだ。そいつらが今度は雲印乳業を悪役に仕立て上げようとしている。

            それは、その日の朝、雲印牛乳西日本支社のお客様相談センターにかかってきた、消費者からの苦情電話から始まった。

            「どないしてくれんのや、あほんだら!」
            いきなりの罵声、胃の痛みを訴える声、牛乳を飲んだ小学生の息子が、病院に担ぎ込まれたという声…相次ぐ苦情電話は鳴り止まず、300件を超えても、なお増え続けていた。

            社員達が対応に追われている頃、情報が届いているにも関わらず、本社役員達は札幌の夜を堪能し、ただ一人を除いては、誰もまだ事態の深刻さに気づいてはおらず…。

            そして、社長の石森岩哲以下、役員達による記者会見が行われ、あくまでも事実を隠し通そうとする役員達の中、一人、大阪工場の工場長だけがバルブの汚染を認める発言をしたことから、マスコミや消費者による、容赦ない雲印バッシングが始まった。

            雲印の牛乳による食中毒患者はやがて6千人を超え、学校給食からも撤退し、コンビニやスーパーの売り場からも姿を消すことに…。

            このままでは、会社が潰れてしまうと、義憤にかられ立ち上がったのは「牛乳が大好き」という愛社精神溢れる、ただ一人のまともな役員、本社人事担当役員の柴田勝一。
            柴田に見込まれ、クビキリを前提とした内部調査チームのリーダーとなったのは、以前より柴田が目をかけていた部下の宮部。

            そして、宮部のスカウトによって集まった6人の「クビキリ特別調査チーム」による、聞き取り調査が始まり、杜撰な管理体制の実態が明らかになるとともに、雲印乳業の立て直しのための、「麻痺した社員及び役員たち」の容赦ないリストラが開始されることに…。

            「ろくな対応ができない無能な経営陣を倒すため、社員たちが決起した!戸梶圭太がブッ放す抱腹絶倒・疾風怒濤のサラリーマンバトル、いざ開幕!!」だ、そうな。


            「でかい会社を変えるには下からじゃ駄目なんだ。上から変えないとならないんだ。」
            という、役員柴田の意見に、拍手を送りたくなった。
            こんなえらいさんが、どこの職場にもいればいいな、と思う。

            多分誰もが知ってるあの事件を、よくもまあこんなに大胆に、面白おかしく書けるなぁ…という感じ。

            大筋はこんなんだったんだろうけど「クビキリ特別調査チーム」をやっつけるための裏社員とか、まあ、とんでもない人物も沢山出てきたりして、戸梶さんらしさも満載で。

            この事件のこと、私自身、すっかり忘れてしまっていたので「どうせ日本人は何を見ようが聞こうが体験しようが、なんでもかんでもすぐに片っ端から忘れていくのだ。…」という、雲印乳業の社長、石森の台詞は、まさしく、その通りで…。

            石森の過去の記憶が、ふと蘇る『畜生、あの時…』シリーズは、こうやって、この人格が形成されていったのか…と、妙に納得させられる。

            大阪工場の副工場長、内藤譲二の爛献隋璽賢瓩鉢爐犬腓Δ犬気鶚瓩凌由覆了箸なけも、あきれるほど見事で…。

            山口マオさんのイラストもすごく良く出来ていて、ぶっとい割には、面白いから早く読めた気がする。

            その頃、付き合ってた人に、事件が発覚する直前まで、毎日この牛乳飲ませてたけど、日に日に弱っていく以外、目立って腹を下したりはしてなかったようなので、結構丈夫な人だと、事件発覚後、妙に感心したのを思い出してしまった…。

            ニュースを見た後、ものすごく冷たい目で見られたけど…わざとじゃなかったわけだし…。
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              『ちぇりあい−ちぇりーぼーいあいでんてぃてぃ』戸梶圭太

              ちぇりあい―ちぇりーぼーいあいでんてぃてぃ
              ちぇりあい―ちぇりーぼーいあいでんてぃてぃ
              戸梶 圭太 2006年 祥伝社 P.258
              ★★★★★
              みんなが俺たちを人類の救世主だとたたえた。デッチ上げの電車男と違って本物はキモいとバカにされていた俺たちがヒーローになった。女の子たちが作り物でない本物の笑顔で迎えてくれた。……
              あの日々はなんだったんだ! あのキラキラと輝いて希望に満ちて、皆が笑顔でいられたあの日々は、幻だったっていうのか!

              東京駿河医科大学の研究チームが極秘で集めているという謎の「脳内物質」。
              提供者には、高額の謝礼が支払われるというネット上の噂を聞きつけ、親からは「ありがちなひきこもりの肥満ガキおやじ」と罵られ、勘当を言い渡され、その日食べるのにも困り果てていた三十七歳、独身のひきこもり男、大岩は、提供者になることを決心した。

              脳内物質の抽出過程では、スタッフの虐めによって泣きたくなるような屈辱を味わう大岩。

              提供者が屈辱を受ければ受けるほど、大量に抽出できる、成人童貞男子の脳からしか抽出されない謎の物質の発見により、人類の平均寿命を平均220歳まで延ばすことも可能になるというのだが…。

              それぞれに「カメヤマダジトロエキシニン」「ナルタキジロエキシニン」と名付け、研究を進める宿敵のライバル、二人の変人教授、亀山田と鳴滝は、貴重な成人童貞男子を奪い合い、製薬会社をバックにつけ、金に糸目をつけない壮絶なバトルは、とどまるところを知らず…。

              「究極の若返り薬をめぐり、アキバ系オタク童貞たちを襲う天国と地獄…戸梶圭太が全国の童貞(素人童貞含む)に鉄槌を下す、残酷ファンタジー!」だ、そうな。
              確かに残酷かも…。


              「童貞」でいることだけで、月に一度は必ず抽出される物質によって、働かなくても、大金が手に入れられ、ついには、将来なりたい職業=童貞、という高校生まで現われる始末、というのに妙に感心してしまった。

              ライバルの教授から送り込まれた「おばさん軍団」によって、童貞を奪われて茫然自失って…。
              まあ、その奪われ方には同情するけど…。

              確かに、絶対に確実に若返れる、若返りの化粧品なんてものが、実際売り出されたら、この値段ならきっと馬鹿みたいに売れてしまいそうな。

              最後の方の展開には、ちょっとついて行けないとこもあったけど、途中までは本当に面白かった。
              まさか、こんな話になるとは…装丁からは想像もできん。

              何より、大岩の頭の中に流れるオリジナルソング「生きててすいません〜 生きててすいません〜 ああ、ああ、何の役にも立ちません〜」のフレーズが、頭にこびりついてしまった。
              CDになれば、一回くらいは聞きたいような…。
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                『自殺自由法』戸梶圭太

                自殺自由法
                自殺自由法
                戸梶 圭太 2004年 中央公論新社 P.373
                ★★★★★
                「どうして? あたしが今日死んじゃいけない理由ってあるんですか? あるとしたら何ですか?」
                「いや、よくわかんないけど、明日じゃいけないって理由もないでしょう?……」

                200×年、法案の成立により、国、自治体は個人の意思による自殺行為を止めることを禁止するという、「自殺自由法」が制定され、自殺(自逝)希望者には、自治体が然るべき施設を提供し、各自治体が個々に定める方式で自逝行為を幇助することが義務付けられた。

                この「自殺自由法」の制定によって、ある者は、ダイレクトメールで自殺を薦められ、自分達も死ぬことにしたという父親からも「悪いことは言わない。お前も死んだらどうだ?」と促される。

                自殺の理由を問われる人気絶頂の俳優は「もうやりたいことはすべてやったからです」と答え、会見を打ち切り、自逝センターへ向かう。

                女子高生達は、友達同士で、連日行列をなすセンターの行列に加わり、そんな彼女らを、「どうせ死ぬなら最後に一発…」と、ナンパする男たちまで現れる。

                センターの列に加わりながらも、思わず人を殺すはめになり「これで死ねなくなった」と落胆する者。

                若くして自逝センターへ向かった息子、娘達の遺稿を出版社に持ち込む母親達。

                しかし、テレビや新聞などのメディアでは、まるでセンターそのものが存在していないかのように扱われ、一般国民は誰一人、自逝センターの中がどうなっているのか知る者もなく、どこの自治体も、「完全無痛方式」だの「いかなる苦痛も恐怖も皆無の安らかな最期」だのと謳っているが、その方法や詳細については一切公表していない…。

                そして、自殺志願者相手に新しいビジネスを始める者や、センターに抗議する団体も出現するのだが…。

                「自分の居場所が見つからなくて疲れてしまったもの、誰からも愛されなかったもの、生きるのが面倒くさい者……大人になりたくない者、老いるのが怖い者」それぞれの理由で、自ら死を選ぶ人びと。

                「1億2千万人の生と死の風景
                戸梶圭太が今、世に問う衝撃作 あなたならどうします?」だ、そうな。


                現実には「自殺対策法」なる法案が成立したんだっけかな(具体的に何をするのかは、良く知らないけど)?
                年間3万人か…。

                ここで、自逝センターに向かう人達の、それぞれの理由は良く分かるし、絶対に痛くなく、楽に…というのが、本当のことなら、ものすごく弱ってるときならふらりと行ってしまいそうな…。

                「無理して生きる必要がなくなった社会に変わって、あまりもしくはまったく必要とされなくなった職種はいくつもあるが…」の、その職種がなかなか興味深かったというか、なるほど「生きる」ことを前提として、今ある社会の殆どのことは成り立ってるんだから、当たり前か…。

                最後の頁に、嘘か本当かは分からんが、筆者は脱稿後欝に陥りましたが…云々と書いてあるけど、確かに、この本はかなり元気な時でないと読めないかも(かなりグロいし)。

                これ読んでる途中で『バトル・ロワイアル』思い出してしまった。
                雰囲気的に似てるような…。

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                  • 『痺れる』沼田まほかる
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                  • 『絶望ノート』歌野晶午
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                  • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
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                  • 『永遠の0』百田尚樹
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                  たくさんの人に読んでほしい…

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