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    『モノレールねこ』加納朋子

    モノレールねこ
    モノレールねこ
    加納 朋子 2006/11/30発行 文藝春秋 P.268 ¥1,600
    ★★★★
    わずか一日の逢瀬のために、私は一年の残り三百六十四日を生きていた。そしてわずか一日の喜びが、残りの三百六十四日を輝かせていた。〜『セイムタイム・ネクストイヤー』より〜

    小学生の「ぼく」が母親に隠れ、時々こっそり食べ物を与えていた、おデブな野良ねこが、ある日新しい赤い首輪をつけてやってきた。
    ぼくが手紙を首輪にはさんでみると、返事がくるようになり、しばらくの間「ぼく」と「タカキ」のデブ猫を媒体にした文通は続くのだが…『モノレールねこ』

    子供の頃のトラウマから人を待つことが苦手な「私」は、夫の帰りを待つ間、遅々として進まない真っ白な三千ピースのパズルを前にあれこれ思いを馳せるうち、パズルの中に、いるはずのない犬の気配を感じ取るようになり…『パズルの中の犬』

    旅行に出かけた家族を一度に事故で亡くし、一人取り残された中学生の夏澄は、典型的なダメ男、ろくでなしの叔父との二人暮らしを強いられることに…『マイ・フーリッシュ・アンクル』

    互いの利害が一致し、偽装結婚に踏み切った三十半ばの「私」と、もうすぐ四十歳になる「ミノさん」。
    周囲からは祝福され、「私」と「ミノさん」と「ミノさんの婚約者」の彼女との三人での暮らしは、結構上手くいっていたのだが…『シンデレラのお城』

    愛する我が子を幼くして失い、生きる希望を失ってしまった母親は、ある決意を抱き、かつて幸せだった頃親子三人で訪れた思い出のホテルに一人で泊まることに。
    別名「黄昏ホテル」と呼ばれるそのホテルで、母親が出会ったのは…『セイムタイム・ネクストイヤー』

    他『ちょうちょう』、『ポトスの樹』、『バルタン最期の日』の8編から成る短編集。

    「時をこえて届くあの頃からの贈りもの。儚いけれど、揺るぎない―家族の絆をテーマに描かれる、ハートウォーミングな8つの物語。」だ、そうで。


    これまで読んだ加納さんの作風とは異なるような…(まだそんなに多く読んでないから、良くわかってないだけかもだけど、何となく)。

    結構女の心の底にある毒の部分をさらりと描くのが上手い人だなぁと思っていたけど、今作のは割と軽いめなのもあったりして、それはそれでまた良かったかな。

    一番好きなのは『バルタン最期の日』のお話。
    まるで「およげ!たいやきくん」のような、ザリガニの「バルタン」の語り口調は最高だし、家族それぞれの悩みの深刻さも、母親の取った行動も…何もかもがツボに嵌ってしまった(物言わぬうちのいつの間にか巨大化したクサガメの「かめ子」もこんなこと考えてたらいいのになぁと…)。

    『シンデレラのお城』も、最後に主人公の真意を知って、切なくてやりきれなくなってしまうし、『セイムタイム・ネクストイヤー』も、かなり心痛くなる話で、でもどこか温かいところがあるのがなかなか良くて。

    『ポトスの樹』の驚愕の展開にも驚かされるし、良い話だし。

    装丁の「デブねこ」さんの毛並みが本物ぽいのもいいし、目つきもいいし、この中に何作品入ってるのかと考えるのも、また楽し。

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      『レインレイン・ボウ』加納朋子

      レインレイン・ボウ
      レインレイン・ボウ
      加納 朋子 2006/10/25〈文庫化〉 集英社文庫 P.304 ¥560
      ★★★★
      「もう七年って言うべきか、まだ七年って言うべきか……私って薄情なのかなって気がするくらい、遠いわよね」
       過去の人間関係を切り捨てて進んでいるようで、後ろめたさがないと言えば嘘になる。
      「きっとまだ、昔を懐かしむような歳じゃないからですよ。誰だって、今が大事だし、今が大変なんだもん」                       〜『青い空と小鳥』より〜

      初恋を実らせ、人生の三大イベント、結婚、出産、住宅の取得、を二年のうちにばたばたと済ませてしまった、渡辺美久、25歳。
      子育てに追われる美久の元に、高校時代に在籍していたソフトボール部のキャプテン、片桐筒陶子から、チームメイトだった「チーズ」こと、牧知寿子の訃報を知らせる電話が入ったことから物語が始まり…。

      7年振りに昔の仲間に会った美久は、その通夜の席で真っ先に泣き出し、涙はみんなに伝染していくのだが、実はその涙の理由はチームメイトの死を悼むものではなく…『サマー・オレンジ・ピール』

      チーム・メイトの中で、卒業してから一番の豹変を遂げた小原陽子。
      ずけずけした物言いと「キツい」性格から、友達を何人も失いながらも、その性格を変えようともせず、今は出版社でバリバリと働く強気な陽子の物語…『スカーレット・ルージュ』

      名は体を表すの如く、ふくよかで、チーム内の誰からも好かれ、可愛がられていた、今は保育園で働く、善福佳寿美の物語…『ひよこ色の天使』

      看護士として働き、患者の死に幾度も立会い屋上で一人涙するも、人前では決して涙を見せない、男勝りで勝気な、井上緑の物語…『緑の森の夜鳴き鳥』

      大学を卒業したものの、就職もせずプー太郎生活を送り、姉の結婚式でも親戚から嫌味を言われてしまう、坂田ゆりの物語…『紫の雲路』

      新米の管理栄養士として、これまで誰も長続きしなかった会社の社員食堂に派遣されることになった、高校生の頃から「宇宙人」とあだ名される三好由美子の物語…『雨上がりの藍の色』

      そして最後に、チームメイトの誰からも尊敬され、人望の厚かったソフトボール部のキャプテン、丸の内の「鳴海物産」で働くOL、片桐陶子の物語…『青い空と小鳥』

      25歳という若さで、急死した「知寿子」と、通夜にも葬儀にも姿を見せなかった、「知寿子」の一番身近にいたはずの「理穂」の不在を軸に、かつてのチームメイト達が、自分のあるべき姿を求め、今を懸命に生きる姿を描く、7編から成る連作短篇集のような長編小説。

      「昔のチームメイトの通夜で久しぶりに集まった陶子たち7人。来なかったのは一人だけ…。7人の視点を通して語られる、それぞれの人生。女たちの友情と成長を描き爽やかな読後感を残す青春ストーリー。」だ、そうで。


      ここに出てくる人たちの相関図を描いてみたくなるような、何だか複雑な女同士の微妙な人間模様…。

      誰と誰が仲良くて、誰が誰を苦手としてて…とか、そうなる背景とか、それぞれの性格が良く描かれていて、ものすごく納得してしまった(この中で、誰の性格が一番自分と近いかな…と考えて読むとなお面白い。ちなみに私は「陽子」さんかな…キツいし、男にはすぐ逃げられるし…)。

      チームメイトそれぞれの視点から語られる「知寿子」さんや「陶子」さんの話が絶妙で、一編ずつの「日常の小さな謎」を解くことも楽しめて、核となる謎の部分も意外性があって…。

      一番好きなのは、意地悪な〈サンババ〉の出てくる『雨上がりの藍の色』。
      ここで管理栄養士として派遣された由美子さんの苦肉の策の社員食堂のメニューは、ちょっと見習いたいかも…男の胃袋を掴むという細木さんの教えにも通ずるし。

      でも何より、私の尊敬する陶子さんの祖母や、頑なな陶子さんと荻との恋の行方(本人は全く意に介してないのかもしれないけど)が、ちょこっと見れただけで、ものすごく満足(ここまで気配りの行き届いた彼氏が欲しいなと、陶子さんが心底羨ましくなったりして)。

      普段「人の不幸は密の味」としか考えてないような悪魔的な私でも、この二人には上手くいってほしいなぁと思えてしまう(二人とも不幸な過去を背負っているので…『月曜日の水玉模様』参照)。

      最後の『青い空と小鳥』のタイトルは、縮めると『青い鳥』になるんだなぁと…それ、陶子さんが探してるのかな?たぶん近くにあるのに…。
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        『月曜日の水玉模様』加納朋子

        月曜日の水玉模様
        月曜日の水玉模様
        加納 朋子 2001年 集英社文庫 P.259
        ★★★★
        つくづく、人との出会いとは不思議だ。朝、満員電車で隣り合った人に、夕方別なところで再会したところで、誰もそんなことには気づきもしないだろう――なにか〈事件〉でもない限り。些細でもいい、つまらなくてもいい、けれど特別な出来事が。

        毎日のラッシュアワーにうんざりしながら、丸の内にある会社へと向かう、何の特技も資格も持たないただの平凡なOL、片桐陶子。

        一にも二にも、「若さ」だけが必要とされる職場において、一生この仕事を続けるかと聞かれれば、躊躇わざるを得ないものの、高校卒業後に入社して数年が経ち、社長からの信頼も厚く、後輩からも頼りにされる存在の陶子。

        そんな中堅どころのOL陶子が、つい最近まで心の中で「愛しの君」と密かに呼んでいたのは、朝の通勤電車で毎日一緒になる男。

        ところがある日を境に、「愛しの君」から「卑劣な裏切り者」へと転落してしまった、陶子の目の前でいつまでもすやすやと幸せそうに眠りこける男と、意外な場所で出会うことに…『月曜日の水玉模様』から始まり、

        風邪をひいてしまった陶子が、診察を受けたオフィス街にある病院で、薬を取り違えたことからある事件が発覚する…『火曜日の頭痛発熱』

        ひょんなことから陶子と知り合った、リサーチ会社に勤める荻が、電車の中で聞き覚えのある声を聞きつけ、思わず後をつけたことから過去の事件が明かされる…『水曜日の探偵志願』

        陶子と入れ違いに会社を辞めていった、尊敬する先輩の和歌子から呼び出され、久しぶりに二人でランチをすることに。陶子が今も胸に引っかかっているのは、社内のみんなの和歌子への意外にも冷たい態度…『木曜日の迷子案内』

        陶子が苦手とする、取引先の女性社員にどうやら窃盗疑惑がかけられているという。そんな彼女のデート現場に遭遇したことから、意外な真実が解き明かされる…『金曜日の目撃証人』

        社長から直々に、休日を返上しての大阪への日帰り出張を言い渡された陶子のために、朝から豪勢なちらし寿司を作り始める、祖母の志乃。名古屋行きの姦しい三人娘と相席になり、仲間に加えられた陶子は、ある視線に気付いてしまう…『土曜日の嫁菜寿司』

        取引先との商談を成立させるため、「接待ゴルフ」ならぬ「接待ソフトボール」を提案する狸社長、五十嵐。履歴書に過去の経歴を正直に書いてしまっていた陶子も、もちろんメンバーの一人に強制的に加えられ…そして、これからの二人の恋の行方がとても気になる…『日曜日の雨天決行』でラストを迎える、7編から成る連作短編集。

        「一般職OL兼名探偵・陶子さんの周りで起こる、不思議な“事件”の数々。月曜から日曜まで、丸の内の一週間は謎だらけ。爽やかでちょっとほろにがい、お仕事ミステリの傑作。」だ、そう。


        一冊まるまるを通勤電車で読みきってしまったのは、これが初めてかも(わずか5分の乗車時間なので、なかなか読みきれなかった)。
        しかも通勤電車に相応しい内容で…。

        ものすごく正直で気持ちの良い、平凡な(?)OL、主人公の陶子さんに、感情移入しすぎて、「わかる、わかる」とうなづいたり、にやにやしたり、突然、目に涙を浮かべたり、これを一心不乱に読んでいる私を、もしもちらっとでも見ていた人がいたら、さぞかし気持ち悪かっただろうと…(みんな朝っぱらから他人のことなんか、さほど気にしてないか)。

        どのお話も、加納さんのお得意らしい、本当に些細な日常のこと(いや、普通になかなか本格的なミステリと言えなくもない話もあった)と言えば、そうなんだけど、まあこんな事件があれば、刺激的な毎日で楽しかろうと…本当に何もなさ過ぎて、出会いもへったくれもない私の日常と比べると、羨ましい限りで。

        通勤電車で「裏切り者」呼ばわりされる荻君は気の毒だけど、その気持ちすごく良くわかる。
        その後も、まるで相手にされなくても、めげない荻君が可愛くて、その荻君のことがちょこっと分かる『水曜日の探偵志願』と、陶子さんの心にさす「魔」に共感してしまう『木曜日の迷子案内』と、最後に涙してしまった、すごく良い話の『金曜日の目撃証人』が、特に印象深かった。

        あと『土曜日の嫁菜寿司』の、タイトルの「嫁菜」の由来となった「賢い母親」の話にも、ほろりとさせられてしまった。

        最後の『日曜日の雨天決行』では、懐かしい人たちに出会ったようで、何か嬉しくなってしまう。

        全体的には地味なのかもしれないけど、こんな風に歪んで考えてるの私だけじゃないんだと安心できる、確かにほろ苦い一冊かな。

        後輩の真理ちゃんのロッカーの中身は、まるきり私のと一緒で、そこも安心してしまった(皆で通販で頼んで買っても、なかなか家に持って帰るの面倒臭くて…ロッカーに驚くようなものが入ってたりする…)。
         
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          『コッペリア』加納朋子

          コッペリア
          コッペリア
          加納 朋子 2006年 講談社文庫 P.361
          ★★★★★
          人形はなぜ埋められる? なぜ簡単に崩れ壊れてしまう? なぜ捨てられるのだ? 
          理不尽だと思った。けれどもっと大きくなって、人間だって変わりはないことに気づいた。怪我をすれば壊れもする。壊れ過ぎれば埋められる。文字通りの意味で親に捨てられ、比喩的な意味で恋人や配偶者から捨てられる。
          そして薄暗い隙間に、押し込められ、閉じ込められることだって、ある。

          精神科医に恋をし、彼の元へ通うため、自らを傷つけていた、若き日のまゆら。

          美大に通うまゆらの類まれな才能に目を付け、開花させたのは、雛人形の頭師を祖父に持つという、創也。
          まゆらは、創也に言われるままに、人形を完成させ、まゆらの生みだす人形たちはいつしか、コレクター達に高額で取り引きされるほどに、伝説化されていく。

          まゆらの人形に強く惹きつけられた大学生、了は、庭に捨てられた人形を譲ってもらうため、まゆらの家の戸を叩く。
          しかし現れた痩せぎすの女、まゆらは了の目の前で、人形を叩き壊してしまう。
          壊された人形のかけらを拾い集め、必死に修復を試みる了。

          そんなとき、了が偶然出会ってしまったのは、まゆらの人形と同じ顔を持つ、一人の若き劇団女優、聖。
          了は、聖に魅せられ、彼女を側に置きたいと渇望し、聖に纏わり付く。

          小さなアングラ劇団の看板女優、虚栄心が強く、我が儘な女王様、聖は、芝居に専念するため、彼女にとって理想的とされるパトロンの庇護を受けていた。
          舞台で人形の役を演じることになった聖は、軽い思いつきから、案内状を手に、まゆらの人形展を訪れることに。

          自分の顔を持つ一体の人形を見て、悲鳴をあげる聖。
          そして聖の顔を見て、異常な反応を示す、まゆら…。

          「攻撃的で、破滅的な二人の女」が顔を合わせたとき、何かが起こる…。

          「日本推理作家協会賞受賞作家が新境地を開く、初めての長編ミステリー。」だ、そうな。


          加納さんのは、『ガラスの麒麟』しか読んだことがないけど、それとは印象がまるで違ってて驚いた。
          こんなに陰鬱なのも書くのか…と(思ったのは最初の方だけだったんだけど)。

          何だか夫の貫井さんの作品を髣髴させるような…。

          ずっと一緒にいても、心が通わないのは仕方のないことだと思う。
          でも、一緒にいるのに、他のものに心を奪われたら…堪らんな、とも。

          聖が人形を演じることになったときに『ガラスの仮面』で北島マヤが演じた人形のことが話題が出てきて、ちょっと嬉しくなってしまった。

          この本とは関係ないけど『ガラスの仮面』の続きは、一体いつ出るのやら…、と。

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