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    『まぶた』小川洋子

    まぶた
    まぶた
    小川 洋子 2004年 新潮文庫
    ★★★★★
    ……人はそれぞれ自分だけの眠りの召使を雇っている。それは昼間、どこか遠くの森に潜んでいるが、夜になると森を抜け出し主人を訪ねる。そして鼓膜の奥の骨をノックする。その合図を聞きながら人は眠りに落ちる。召使は忠実に任務を果たす。雪の日も嵐の日も、休むことなく訪問を繰り返す。……

    恋人と喧嘩別れしたまま、徹夜明けで乗った飛行機でたまたま隣り合わせた男。
    静かに目を閉じたまま、眠っているかのような男の、瞼の裏に映し出された物語を感じ取る「わたし」。
    それは、男の記憶の中の、ある老婆との会話の一部始終…『飛行機で眠るのは難しい』

    12の日の数字に、いつの間にか付けられたカレンダーの丸い印。
    その日訪れた野菜売りのみすぼらしい老女が、おまけにとくれた中国野菜の種。
    教えられたとおりに、薄暗い部屋の水槽の中で大事に育ててみると…『中国野菜の育て方』

    生ゴミにまみれ、レストランの裏口で倒れていた、さえない中年男に手を差し伸べた少女。
    訪れた、見ず知らずの男の家で、少女をじっと見つめる二粒の黒い瞳。
    男は少女のまぶたの形がとても美しいという。
    昔男がプロポーズしたという女のまぶたのように完璧であると…『まぶた』

    小さな古びた一軒家で開かれる料理教室。
    つつましい新聞広告を見つけて行ってみると、昼間の生徒は「わたし」一人きり。
    決められたメニュー通りに「先生」は、「わたし」を置いて、どんどん材料を切り刻んでゆく。「わたし」は、ひたすら、にんにくをていねいにむいていく。
    そこに現れたのは、「ハウスクリーニング会社」から来たと名乗る、作業服を着た二人の男たち…『お料理教室』

    彼女の部屋の、天井までをすき間なく覆う戸棚一面に並ぶ、茶色のガラス瓶。
    彼女は、この世のあらゆる「匂い」を集め、瓶の中に閉じ込めている。
    彼女の留守に、普段は手の届かない棚の瓶の中身を見てしまった男…『匂いの収集』

    ドイツの強制収容所を訪れた「わたし」は、そこに巨大な石の棺のような、枯れ果てたプールを見つけ、過去を回想する。
    母の愛を一身に集め、期待されすぎた、水泳選手の弟のことを。
    大切な試合前の朝、彼の左腕はもとからそうであったかのように、奇妙な形を保ち…『バックストローク』

    薬がなければ、眠ることのできない「わたし」が、旅先で導かれるように偶然、足を踏み入れたのは、名も知らぬ詩人の記念館。
    亡くなった詩人の孫だという老婆が、守っているこの家で「わたし」は不思議な話を聞き、その夜久しぶりに眠りにつく…『詩人の卵巣』

    ロンドンに留学している娘の学校を訪れる前に、作家である「僕」が立ち寄ったのは、老いた翻訳家の住む質素なアパート。
    足を悪くしてから、用事は全て二人きりで暮らす、双子の弟がやってくれるため、自分は5年もの間、もう外へは出たことがないのだという翻訳家。
    男の話を聞くうち、おぶって外へ連れ出すことを思いつく「僕」。
    翻訳家の男が、その目でもう一度見たかったもの…『リンデンバウム通りの双子』

    「現実と悪夢の間を揺れ動く不思議なリアリティで、読者の心をつかんで離さない」8つの物語から成る短編集。


    裏表紙の意味深な「あらすじ」と、表紙の、ぎゅっと目を閉じた少女のイラストに惹かれて買ってしまった。
    ああ、こういうの書く人だったのか…と、初めて小川さんの本を手にしたので、慣れていないせいか、正直、よく分からなかった、というのが本当のところ。(一度読んで、また読み返すと、不思議とわかってきたような。)

    読んでいて、昔大好きだった眉村卓や阿刀田高のショートショートをふと思い出した。
    現実味のないようでいて、そうでもないような…。

    表題作の『まぶた』は、その「まぶた」の手術の後の話がとても怖くて…。
    そして、男の待っていたものが来ることを、祈るような気持ちで読んだ。

    好きなのは『お料理教室』と『匂いの収集』と『バックストローク』。
    この3編は、まだ、私にでもわかりやすかったかも。

    『お料理教室』は、特に何があったわけでもない(あったと言えば、あったのか)けど、すごく、ぞくぞくした。

    その台所自体が怖い場所なのかもしれないし、人かもしれないし、次に何が…という期待が怖かったのかもしれないし、アコーディオンの音色も怖かったのかも。

    そして、何より「にんじん」の行方が一番怖かった…。

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