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    『初恋』中原みすず

    初恋
    初恋
    中原 みすず 2002年 リトル・モア
    ★★★★
    少年が、少女が、何かを捨てて大人になるとしたら、それは未来や過去ではない。むしろ、彼らは未来と過去を手に入れて大人になるのだ。想い出という過去と、責任という未来を。そのとき失われるもの、それは青春という名の現在だ。

    1960年代後半、世の中が学生運動一色だった時代、新宿のジャズ喫茶爍足瓩砲燭爐蹐垢襦∪ご屬らは「不良」と呼ばれていた若者たち。
    当時高校生だったみすずは、店の前で途方に暮れていたところを、声をかけられ、その店の片隅に居場所をみつけた。

    由緒正しい家系に生まれながらも、「血が違う」と、親戚をたらいまわしにされた挙句、どこにも居場所がなかったみすずを、仲間達はいともたやすく受け容れてくれた。

    連日のように学生と機動隊との攻防戦が繰り広げられていた頃爍足瓩涼膣屬燭舛蓮△修鵑柄動とは関係なく、酒代がなくなれば、やくざから金を巻き上げ、あちこちに女をつくっては、金を調達する日々を送っていた。

    その中でも、仲間から浮いていた端正な顔立ちの、どこか異質な匂いを放つ男「岸」。
    みすずは、ある日岸に誘われ、ホテルの一室である計画をもちかけられる。
    権力が嫌いだという岸が挑む、99パーセント勝ち目があるという、頭脳戦。

    詳細は知らされず、岸から乞われるままに、地理を頭に叩き込み、訓練として岸を隣に乗せ、車を走らせるみすずは、初めて人から必要とされることに、喜びを感じていた。

    そして、1968年12月10日、早朝、冷たい雨のふりそぼる中、みすずは岸の指示通り、服を着替え、ヘルメットを被り、白バイに跨った…。


    「私は府中三億円強奪事件の実行犯だと思う」という、ショッキングな「まえがき」から始まるこの「実話」は、主人公みすずが、遥か30年昔を振り返り、書きしたためた回顧録だという。

    映画の宣伝で、主人公がヘルメットを脱ぎ、長い髪をなびかせる後姿がとても印象的で、心惹かれたので、原作を読んでみた。

    一体どうやって、女子高生があの有名な「三億円事件」の犯人になり得たんだろう…と、思ったけど、なるほど、こういうことだったのか、と信じてしまいそうになった。

    ごく普通の高校生であるみすずがどうして、爍足瓩鯔れたのか、とか、彼女が何故襲われたのか、とか、読み始めは謎だらけだった。
    冒頭の、彼女の「夢」のシーンも。

    一つずつ謎が解けていくたびに、とても切なくなった。
    由緒正しい家に生まれながら、父親の死後、やっかいものあつかいされていたみすずが、初めて人から「必要だ」と言われたときの喜びも、「岸」の苦悩も…。
    そして、事件の幕が引かれた後も…。

    終始、物悲しい調子で淡々と話が進んでいくのが、何だか「昭和」って、こんな「グレー」な感じだったなぁと、「三億円事件」の前の年に生まれた私は、しみじみとしてしまった。

    今もって、謎だらけのあの事件の、これが、本当の真実ならいいのになぁ、とさえ思えてしまう。

    に、してもこの映画、兄妹で出てたとは…。
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