スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

0
    • -
    • -
    • -
    • by スポンサードリンク

    『暗黒童話』乙一

    暗黒童話 (集英社文庫)
    暗黒童話 (集英社文庫)
    乙一 2004/5/25文庫化 集英社文庫 P.338 ¥620
    ★★★★
     和弥のことが好きだった。彼の見たすべての光が、私の心に流れこんでくる。人間は一生のうちに、どれだけのものを眼に焼きつけるのだろう。
     犯人を見つけなくてはいけない。そして教えたい。犯人の奪った人生の中に、どれだけ価値のあるものがあったのかということを。

    突然左目を失い、記憶もなくしてしまった高校生の菜深。
    記憶を全く失い、以前の明るく優等生だった菜深とは別人のようになってしまった菜深に、両親やクラスメイト達も戸惑いを隠せず、どこにも居場所がなく「ひとりぼっち」を強く感じ始める菜深。

    祖父のはからいで移植手術を受け、左目を得、外見だけは以前の菜深に戻っても、菜深の孤独感はますます強まるばかりで…。

    そんな菜深の左目に異変が現れ、提供者である若くして事故で亡くなってしまった青年の記憶が鮮やかに映し出されるようになり、菜深は、彼の生い立ちや住んでいた場所、楽しかった記憶や彼の両親の悲惨な事故、彼の経験した全てを知ることに。

    そして彼の左目に刻まれた最後の記憶から、彼が事故で亡くなったのではなく、ある事件の目撃者となったことで犯人に追い詰められたことを知った菜深は、まだ生存しているであろう事件の被害者を救うため、左目の記憶を頼りに、彼の住んでいた町へと一人で乗り込んで行くのだが…。

    『死者の眼球が呼び覚ます悪夢の記憶とは?
    事故で記憶と左目を失ってしまった女子高生の「私」。臓器移植で死者の眼球の提供を受けたのだが、その左目がある映像を再生し始めて……。天才・乙一の初の長編ホラー小説がついに文庫化。』だ、そうで。


    もっとグロい話なのかと思ってたら(いや、充分グロいのかもしれないけど)、意外と「白乙一」に近い感じ。

    物語の中に出てくる童話、『アイのメモリー』のラストが何とも痛ましくて、少女のためを思うカラスの気持ちが切なくて、このお話だけでもちょっとぐっときてしまう。

    臓器提供者の青年、和弥が巻き込まれてしまった事件の犯人も、犯罪そのものも、乙一さんらしくて、想像すると、ものすごく残酷で気持ち悪いけど、どこか物悲しいというか…。

    以前の記憶をなくし、みんなから駄目な子扱いされてしまう菜深の孤独感も、やっぱり乙一さんならでわで、可哀相な中に「可笑し味」があるというか、何というか。
    ひとりぼっちでも、強さがあっていいなと思えてしまうし。

    ラストの方の犯人に迫るシーンは、最後まで気を抜けないし、恐怖感がひしひしと伝わってくるし、終わり方も流石だなと(これが大学を卒業して間もない頃に書かれた、乙一さんの初めての長篇小説というのにも驚いてしまったけど、その才能に改めて惚れ惚れしてしまった)。

    もちろん「あとがき」の面白さもピカ一で…、いやいや乙一さん、生きていてくれて本当に良かったなと。
     
    0

      『失はれる物語』乙一

      失はれる物語
      失はれる物語
      乙一 2006/6/25文庫化 角川文庫 P.381 ¥580
      ★★★★★
       僕は自分の母さえ信じられない歪んだ人間だった。他人がどれだけの想いを隠しているのかなど、どうやって知れというのだろう。表情か? 声の響きか? 視線のさまよいか? 言葉か? もしもそれら一切が偽りだったらどうする。裏切られて、治療不可能なほど心が出血したらどうする。もう、母の姿を探して家の中をさまよい歩くのは嫌だった。襖やドアを開けて部屋の中がからっぽであることを確認するのは怖かった。人の想いに対して疑問を持つのは、そうならないようにという外交手段なのだ。 〜『マリアの指』より〜

      友達がいないから携帯電話も持たない…休み時間もひとりぼっちで図書館で過ごす、人と話すのが苦手な女子高生、リョウ。
      ある日、リョウが頭の中で作り上げた架空の携帯電話の着信メロディが鳴り出し、慌てて出てみると、若い男の子の声が聞こえてきて…『Calling You』

      音楽教師を辞めて家庭に入ったことを後悔しているらしい妻との諍いが、いつしか絶えなくなり、お互いに優位に立とうとしては傷つけあう夫婦。
      嫌いになったわけではないのに、どうして歩み寄ることができないのかと考える夫は、ある朝事故に巻き込まれてしまい…『失はれる物語』

      他人の傷を自分の身体に移し変えることができるという不思議な力を持つ「アサト」と、特殊学級で出会い、似たような境遇で育ったことを知り、急速に仲良くなっていく「オレ」。
      「アサト」は、「オレ」の父親の入院する病院でも、入院患者たちの傷をみるみる治してしまうのだが…『傷』

      訳あって200万の大金がどうしても必要になった「俺」は、大金持ちの伯母のバッグの中の現金を頂戴することに。
      伯母の宿泊する旅館の外側から壁にドリルで穴をあけ、手を突っ込んだ「俺」が掴んで引っ張り出したものは伯母のバッグではなく…『手を握る泥棒の物語』

      他人と上手くつきあうことができず、一人きりで見知らぬ土地で死ぬことを切望する「ぼく」は、実家から遠く離れた大学を選び、伯父の所有する古い一軒家を借りて、一人暮らしを始めることに。

      以前そこに住んでいた住人の飼っていた白い子猫も、荷物もそのままの部屋で暮らし始めてすぐに「ぼく」は、目には見えない前の住人の気配を感じ、最初は戸惑いながらも、同じ空間を共有するうち、いつしか相手のペースにすっかり巻き込まれてしまい…『しあわせは子猫のかたち』

      ある日の算数の授業中、先生にさされて答えられずにいる「僕」のズボンの中から、突然声が聞こえてきて…『ボクの賢いパンツくん』

      姉の友人であった「鳴海マリア」の自殺現場に偶然立ち会ってしまった「僕」。
      そして、マリアの指を隠し持つことにした「僕」は、「マリア」の死が自殺ではないと考え始め…『マリアの指』

      テレビアニメを見るために早く帰りたいとは言えず、咄嗟についてしまった嘘から、そのまま嘘に嘘を重ねつづけるはめになってしまった「僕」は、クラスで「ナメクジ」と呼ばれる男に嘘を見破られてしまい…『あとがきにかえて――書き下ろし小説 ウソカノ』の、8編から成る短編集。

      「少年や少女だった日のひりひりするような魂を上質の文章力と定評あるストーリーテリングで描く乙一の傑作短編集。」ということで…。


      8編のうち5編は、私の大好きな角川スニーカー文庫の3部作『きみにしか聞こえない』『さみしさの周波数』『失踪HOLIDAY』に収録されてた中でも、特に好きだった話ばかりで…まさに、珠玉の短編集。

      なので、ここで新たに読んだのだけ取り上げると、『ボクの賢いパンツくん』は、絵本にして、子どもに聞かせたくなるような、すごく短いけど、ちょっと深いお話。

      『マリアの指』のラストはちょっと納得いかないけど、謎解きは面白かったかな。
      「人はそう簡単には変わらない」けど、変われるものなのだと…私自身も、自分を見ていてそう思うし。

      そして恒例の「あとがき」にかえての物語、「ウソカノ」は、森見さんのモテない妄想男たちの話とちょっと似通っているけど、そこをこう持ってくるところが乙一さんらしくて、切なくて、ちょっと元気になれるお話。

      ふと、孤独感や寂しさに襲われそうになったとき、この一冊さえあれば、ものすごく癒されてしまうかも。

      0

        『失踪HOLIDAY』乙一


        失踪HOLIDAY
        乙一 2001/1/1発行 角川スニーカー文庫 P.238 ¥580
        ★★★★★
        絶対に見てはいけない夢だった。どんなに手をのばして望んでも、指先には触れることのできない世界。そこには光があふれているが、残念ながらぼくはそこに受け入れられない。……目が覚めて現実に気付かされ、絶えきれず胸をかきむしる。そうならないためにそんな世界を敵視し、憎み、自分を保っていたというのに。〜『しあわせは子猫のかたち』より〜

        他人と上手くつきあうことができず、一人きりで見知らぬ土地で死ぬことを切望する「ぼく」は、実家から遠く離れた大学を選び、伯父の所有する古い一軒家を借りて、一人暮らしを始めることに。

        以前そこに住んでいた住人の飼っていた白い子猫も、荷物もそのままの部屋で暮らし始めてすぐに「ぼく」は、目には見えない前の住人の気配を感じ、最初は戸惑いながらも、同じ空間を共有するうち、いつしか相手のペースにすっかり巻き込まれてしまい…。

        そして大学で友人も出来、いつしかその奇妙な暮らしにも慣れ始めた頃、突然に姿を消してしまった子猫を探すうちに…『しあわせは子猫のかたち〜HAPPINESS IS A WARM KITTY〜』

        ボロいアパートでの貧乏暮らしから、母親の再婚により、一転して裕福なお屋敷で「お嬢様」と呼ばれる生活を送ることになった「ナオ」。

        母親の死後、「血の繋がりのない自分は、いつこの家を追い出されてもいいように…」と、あらゆるものを蓄えはじめる「ナオ」の気持ちとは裏腹に、それからも変わらず、ことのほか父親に大事にされ、すくすくとやりたい放題に育ち、中学二年生になった「ナオ」の前に、継母という脅威の存在が現れ、二人はすぐに犬猿の仲に。

        そして、ある日継母と大喧嘩した末に衝動的に家出をした「ナオ」は、こっそり家の中の使用人の部屋で匿ってもらいながら、継母の行動を見張ることにしたのだが…『失踪HOLIDAY しっそう×ホリデイ』の、2編が収められた短編集。

        「乙一、ぞくぞくと映像化!」と、帯にあるように、『失踪HOLIDAY』も、テレビ朝日で、この2月からドラマがスタートしているみたいで(見てないけど)、キャスティングが絶妙だなぁと…継母役の小沢真珠さんなんて、特にはまり役なような(「牡丹と薔薇」を思い出してしまって…)。


        この「角川スニーカー文庫」の3冊(この他『きみにしか聞こえない』『さみしさの周波数』)は絶品かも。

        特に『しあわせは子猫のかたち』の評判の良さは、Amazonのレビューとかでも気になっていたけど、これほどまでとは…。

        会話ベタで閉じこもりがちな主人公が見てしまった「幸せな夢」と、夢から醒めた時の苦しさというのは、実際私も目が覚めて、それが「夢」だったことに気付いて、現実とのギャップに涙してしまったということが何度もあるので、読んでいて本当に心が痛くなってしまった。

        ものすごく切なくて苦しい話なのに、乙一さん独特の台詞回し(?)と、幽霊のはずの女の子のお気に入りのテレビ番組「大岡越前」や、数々のいたずらのおかげで、落ち込まずに済むというか、心が暖かくなれるというか。

        電車の中で読んだから、ラストでは涙拭くのと鼻水啜り上げるのに必死になってしまった(家で読んでたら多分号泣してたかも)。

        「子猫」が「しあわせのかたち」というタイトルも、猫好きの私にとってはたまらんし。

        そしてそのままページを捲ってすぐに『失踪HOLIDAY』で、涙の乾かないうちに笑わせられてしまい…(継母の「キョウコ」さんと「ナオ」のバトルは、乙一さんには「切なさの神様」だけでなく「笑いの神様」も降臨してるのか…と、思えるほど実に馬鹿馬鹿しい可笑しさがある)。

        「ナオ」の見つけた居心地の良い場所も、狭い場所好きな私には良く分かるし、その成長振りも目を見張るものがあって、意外な真実もあって、なかなか素敵なお話。

        3冊セットにして、誰彼プレゼントしまくりたくなるような、お願いだから読んでみてと、人に無理矢理押し付けたくなるような、読み終わった後、人に優しくしたくなるような…汚れきった大人の心が浄化されるような(でもちょっと大人は手に取りにくい場所に置いてある)「角川スニーカー文庫」の乙一三部作は、本当に素晴らしい(としか、言いようがない)。

        もちろん恒例の乙一さんによる「あとがき」も、絶妙。


        0

          『きみにしか聞こえない―CALLING YOU―』乙一

          きみにしか聞こえない―CALLING YOU
          きみにしか聞こえない―CALLING YOU
          乙一 2001/6/1発行 角川スニーカー文庫 P.201 ¥500
          ★★★★★
          あまりに無垢だから、何度も人に裏切られ、傷ついて絶望するかもしれない。だけどこれだけは知っておいてほしい。おまえは、大勢の人間の救いなんだ。……おまえがいつも優しくて、他人のことばかり考えているということが、はるかに多くの人間を暗闇のような場所から救い上げるんだ。だからおまえが、いらない子なはずがないよ。おまえが死んだら、オレはきっと泣く。〜『傷――KIZ/KIDS――』より〜

          友達がいないから携帯電話も持たない…休み時間もひとりぼっちで図書館で過ごす、人と話すのが苦手な女子高生、リョウ。
          ある日、リョウが頭の中で作り上げた架空の携帯電話の着信メロディが鳴り出し…『Calling You』

          他人の傷を自分の身体に移し変えることができるという不思議な力を持つ「アサト」と、特殊学級で出会い、似たような境遇で育ったことを知り、急速に仲良くなっていく「オレ」。
          「アサト」は、「オレ」の父親の入院する病院でも、入院患者たちの傷をみるみる治してしまうのだが…『傷――KIZ/KIDS――』

          愛する人を列車事故で失い、一人生き残り、すっかり生きる気力を無くした「私」。
          がさつな「ハルキ」と、成金の「中川」との三人部屋の居心地の悪い病室に「私」が持ち込んだのは、少女の歌声が聞こえる不思議な植物。
          静まり返った病室にひっそり聞こえるその歌声に、三人の心は癒され…『華歌』

          「少年と少女の孤独が、遠い距離を越えて響きあうとき――奇跡は、起こる。(「Calling You」)誰にもある一瞬の切実な想いを鮮やかに切りとる“切なさの達人”乙一。表題作のほか、2編を収録した珠玉の短編集。」だ、そうな。


          もう、ほんとうに何でこんなにひとりぼっちの人間の「孤独感」を描くのがお上手なのか…主人公の心の痛みが、そのまんま私の痛みに思えてしまうぐらいに。

          なかでも『傷――KIZ/KIDS――』は、かなり秀逸で、これ以上ないというくらいの不幸な目に遭っても、他人のことばかり思いやれる「アサト」のあまりの心の綺麗さに、電車の中にも拘らず涙がぽろぽろと溢れてしまって困ってしまった。

          『Calling You』は、今年映画化されるそうで、そちらも楽しみだし。

          『華歌』は、乙一さん恒例の「あとがき」に「読み終わった読者が、怒ってこの本を壁に投げつけないかと今でも心配です。…」と書かれているように、一瞬「むっ」としてしまった(すっかりやられてしまったなぁと)。

          「白」のも「黒」のも乙一さんの書く物語は本当に素晴らしい。
          最近結婚されたそうで結構お幸せそうなので、これからは「幸福感」に満ち満ちた物語も書いてもらえたらなと、新作を気長にお待ちしております。

          0

            『さみしさの周波数』乙一

            さみしさの周波数
            さみしさの周波数
            乙一 2003/1/1 発行 角川スニーカー文庫 P.201 ¥480
            ★★★★★
            「あなたがいてよかった。だから、泣かないで生きていて。まだ陽のあたる人生をあなたは歩むのだから」

            小学生の頃に、未来を見ることが出来るという友人によって告げられた「僕」と「彼女」の未来予報、「お前ら、いつか結婚するぜ」のひと言から、何故か彼女を避けるようになってしまった「僕」。
            そして進学も就職もせず、フリーターとなり、友達がどんどん変わっていく中、未来も見えず、どん底の生活にもがき苦しむ「僕」は、彼女に会いに、彼女のいる場所へと向かうのだが…『未来予報 あした、晴れればいい。』

            訳あって200万の大金がどうしても必要になった「俺」は、大金持ちの伯母のバッグの中の現金を頂戴することに。
            伯母の宿泊する旅館の外側から壁にドリルで穴をあけ、手を突っ込んだ「俺」が掴んで引っ張り出したものは伯母のバッグではなく…『手を握る泥棒の物語』

            高校時代には死ぬことも考え、一度は自殺も試みようとした「私」は、何かに導かれるように自宅から離れた大学へ進学し、一大決心をしてサークル活動をすることに。
            そこで見つけたものは7年前に殺害された、身元不明の少女の霊が写る8ミリフィルム。
            繰り返し見るたびに、徐々に振り返ろうとする少女に恐怖心を抱きながらも、気になって仕方ない「私」は…『フィルムの中の少女』

            音楽教師を辞めて家庭に入ったことを後悔しているらしい妻との諍いが、いつしか絶えなくなり、お互いに優位に立とうとしては傷つけあう夫婦。
            嫌いになったわけではないのに、どうして歩み寄ることができないのかと考える夫は、ある朝事故に巻き込まれてしまい…『失はれた物語』

            の4編から成る「せつない物語」の名手、乙一の傑作短篇集。


            これまで読んだ乙一さんの中では、一番好き。大好き。

            『未来予報 あした、晴れればいい。』は、タイトルも良いけど、進学も就職もせずに親の脛を齧る自分を情けなく思い、自立していく友人達と比べては、自分は「何のために生きているのかわからない。…」と考える「僕」の、圧倒的な孤独感に、読んでる私まで辛くなってしまう。

            そして最後に近づくにつれ、涙がぼろぼろ溢れてしまって…(思い出しても涙がじわっと出てきてしまうくらい、せつなすぎる)。
            「僕」のこと、「馬鹿」「意気地なし」と思わなくもないけど。

            『手を握る泥棒の物語』は、「泥棒」の「俺」が間抜けで、人が好くて可笑しくて、乙一さんらしいお話で。

            『フィルムの中の少女』の、この恐怖感も、実に乙一さんならでわで。

            そして『失はれた物語』での「究極の愛」の描き方には脱帽。
            本当に凄い才能だなぁと、つくづく感心してしまう。

            乙一さんのは「あとがき」も面白くて、これも楽しみだったりする(今回のも爆笑もので)。
            人間的にも魅力的な人だなぁと。

            「この世界でたったひとりぼっち感」を強く感じる若者に、是非読んでもらいたい名作かも。
            私も、これから先涙を流したくなったら、これを何度も読み返して心を洗おうかなと。
            0

              『GOTH 僕の章』乙一

              GOTH 僕の章
              GOTH 僕の章
              乙一 2005年 角川文庫 P.242
              ★★★★★
              人を殺す人間が、確かに存在している。どんな理由もなく、殺したくなるのだ。成長する過程でそうなるのか、生まれつきそうなのかはわからない。問題は、その性質を隠して、それらの人々は、普通の人間として生活しているということだ。この世界にまぎれこんで、見た目には普通の人と何ら変わらない。
               しかしあるときふと、殺さずにいられなくなる。社会的な生活から離れて、狩りへ赴く。
               僕も、そのうちの一人だ。

              世間で好かれるような価値観を知り、それを覚えて装うことで、問題のない人間として周囲に溶け込み、ごく普通の高校生として生活している「僕」と、周囲からは興味を惹く対象であるにも関わらず、孤独を愛し「僕」以外のクラスメイトを容赦なく遮断してしまう「森野」。

              二人の関係が果たして「友人」と呼べるのかは分からないけれど、とりあえず一般には悪趣味と呼ばれる共通の話題によって、繋がっている「僕」と「森野」。

              事件をただ見ているだけの「僕」とは違い、変質者を引き寄せるフェロモンを振り撒きながら歩く「森野」は、しばしばそういう種類の人間に狙われてしまい…。

              そんな「森野」と、「僕」がまだ親しくなる前の話。
              最近、テレビを賑わせている「リストカット事件」を連想させる、手首のない人形を、偶然学校のゴミ箱の中に発見した「僕」は、それを捨てたと思われる人物の家に忍び込み、手に入れたいものがあるというのだが…『リストカット事件』

              公園で探しものをしている男に声をかけた「僕」。
              「僕」がその公園に居合わせたのは、昨夜遅くにこの場所で、悲鳴を聞いたという情報を得、何らかの事件の匂いを嗅ぎつけ、犯罪が起こったかもしれないこの場所に犯人が再び戻ってくるのではないかという理由からなのだが…『土』

              「僕」のうちからそう遠くない廃墟で犯行が行われたという、猟奇殺人に興味を示し、事件に関連するものや、新聞記事を必死で蒐集する「森野」。
              「森野」が手に入れたという悪趣味な写真で、すぐにその事件の被害者の名前を出した「僕」を不審に思う「森野」。
              「僕」には「森野」にも隠している秘密があり…『声』

              「圧倒的存在感を放ちつつ如何なるジャンルにも着地しない乙一の、跳躍点というべき一作。「僕」に焦点した三篇を収録。」文庫化されるにあたって、二分冊された『GOTH リストカット事件』の、「僕の章」。


              「すごいなぁ…」としか言いようがないかも。
              何でこの人は、こんなに犯罪者の気持ちが分かるんだろう…というか、犯人を「かわいそうに…」とさえ思わせられてしまうところが、何とも複雑。

              「あとがき」を読むと、この本に対する乙一さんの意気込みというか、気迫が伝わってきて、「なるほどなぁ」と、感心させられてしまった。
              読む前は、あんまり「ミステリ」として、意識してなかった(ミステリ大賞云々を知らなかったので…)から、その出来の良さに脱帽というか、絶賛というか。

              『土』も、すごく良かったけど、『声』に出てくる、被害者の妹の心理が秀逸で…、両親に対する思いも、何もかも、やっぱり「すごい」。

              そこに向かう緊張感も…その場面も、こんなに「ハラハラ ドキドキ」しながら本を読んだのは久しぶりかも。

              そして読み終わって、すごく満足してしまった(今さら、かもしれないけど)。

              本当に不思議な魅力のある人だなぁと、読めば読むほど、好きになってしまう。
              食べ物に例えるとしたら、納豆のような…。

              0

                『GOTH 夜の章』乙一

                GOTH 夜の章
                GOTH 夜の章
                乙一 2005年 角川文庫 P.184
                ★★★★
                犯行を警察に知らせるつもりはなかった。犯人に自分の存在を覚られることも避けたかった。僕は事件に関わりあいになってはいけない。それはルールのように心の中で決めていた。第三者の立場で、ただそっと眺めているだけだ。

                異常な事件や、それを実行した者に惹きつけられ、その向こう側にある人間の心の、深く暗い底無しの穴を見つめるのが好きだという「僕」と、趣味が一致することから、時々言葉を交わすようになったクラスメイトの「森野」。

                クラスメイトたちがはしゃぐ様子を冷ややかに眺め、誰とも関わろうとしない、いつも無表情な「森野」と、表面的には嘘の笑顔を見せ、波風の立たないようにクラスメイト達と接する「僕」。

                一般的には悪趣味と呼ばれるような趣味を持つ二人は、「心が切り裂かれるような、悲痛な人間の死」や、「叫び出したくなるほどの不条理な死」を蒐集して歩く。

                夏休み中の出校日に、「森野」から、見覚えのない手帳を差し出された「僕」。
                手帳の中には、三ヶ月前に起こった猟奇殺人の犯行の様子が克明に記されていた。
                この異常な事件のニュースを見るのが好きだという「森野」に誘われ、同じ理由で、この事件に興味を示していた「僕」たちが向かったのは、未だ発見されていない死体があるはずの、手帳に記された犯行現場…『暗黒系』

                近ごろ「僕」の家の近所で頻繁に起こっているペットの誘拐事件。
                犬に対しては異常なほどの反応を見せる「森野」をよそに、「僕」は一人、ルールを破り、事件に関わってしまうのだが…『犬』

                不眠症で眠れないという「森野」が欲しがっているのは、安眠を誘うために首に巻きつける「紐」だという。
                お店では気に入った「紐」が見つからない「森野」のために、「僕」は「森野」が子供の頃に暮らしていたと言う祖父母の家を訪れ、思いがけないもてなしを受け、「森野」の過去の話を聞くことに…『記憶』

                『人間の残酷な面を覗きたがる悪趣味な若者たち――〈GOTH〉を描き第三回本格ミステリ大賞に輝いた、乙一の跳躍点というべき作品。「夜」に焦点をあわせた短篇三作を収録。』
                文庫化されるにあたって、二冊に分けられたうちの「夜の章」としてまとめられたもの。


                乙一さんが書くと、どんなグロテスクな描写も、目を覆いたくなるような残酷な事件も、それ程、嫌悪感を抱かずに読めてしまう。
                それは、文庫本の「あとがき」で、ご本人が書いてられるような理由からなんだと納得。

                他の人が書いてたら、読む気になれないような内容でも、この人の作品には、どこか優しさを感じるので、その先を読んでみようと思える。

                この本を読んで、初めて「ゴス」の意味をきちんと理解した(それまで、「ゴスロリ」とかって言われて、人に聞くのも「何だかなぁ」と、分かっていなくても、何となく話を合わせてしまってたので…)。

                『暗黒系』は、最後が想像したのと違ってて、拍子抜けしてしまったというか、そういえば、この二人はそういう人達だったな、というか…。

                『犬』の話は、嫌いだけど好きかも(最後を読むまで、心の中で葛藤してしまった)。
                あまりにも切ない。

                「夜の章」の意味も、想像していたのと違ってて、ある意味、全てにおいて裏切られた(良い意味で)物語だったような。

                人に頼まれると何でも引き受けてしまう、「僕」とは違って性格の良いという、「僕」の妹、特殊な能力を持つ「桜」ちゃんの存在にも、結構救われたかも。

                に、しても、「森野」の子供の頃の遊びは、私が見たら失神してしまいそう…。
                「ミートソース」がそれって…、好物なのに…。

                0

                  『ZOO 2』乙一

                  ZOO〈2〉
                  ZOO〈2〉
                  乙一 2006年 集英社文庫 P.224
                  ★★★★
                  他人という存在が僕は恐ろしかった。人にこびへつらっている自分の汚い行動も原因はそこにあると思われた。嫌われるのも見下されるのも軽蔑されるのも耐えがたい苦痛であり、それから逃げ出すために僕は醜い動物を心に飼っているのだ。他人というものが世界におらず、自分ひとりなら、どんなに気が楽になるだろう。     〜『神の言葉』より〜

                  朝、別荘の一室で目覚め、身体が血まみれになっていることに気づき、悲鳴を上げた大金持ちのワシ(六四歳)。
                  悲鳴を聞いて駆けつけたのは、出来の悪い二人の息子たちと、うんと年下の若い後妻。
                  血はとめどなくあふれ、救急車が到着するまで、とてももちそうにない。
                  別荘に同行していた高齢でボケ気味の主治医は、こんなこともあろうかと、日頃から用意していた血液で、輸血をしようと言い出したが、肝心の血液が見当たらず…『血液を探せ!』

                  両親の死後、伯母の家にひきとられたものの、従兄弟達からは苛められ、母屋に近づくことは許されず、馬小屋で馬糞にまみれて暮らしていた子供。
                  やがて、その馬小屋からも追い出される日がやってきて、町に出てみれば大人たちから酷い目に遭わされた。
                  町には近づけず、何年も森を歩き、森の中に自分だけの家を作ることにし、材料を探しているうちに、家を作るのに最適なものを手に入れて…『冷たい森の白い家』

                  母屋から離れた、ある男の部屋で起こった殺人。
                  灰皿で一撃され、絶命した死体。
                  散らかり放題の部屋の片隅には、死体の隠し場所にちょうど良い大きさの…『Closet』

                  いつの頃からか「僕」の声に魔力めいた力が宿り、生きているものは、植物でも動物でも、生物なら何でも自分の言葉の意のままになることを知った「僕」。
                  幼い頃から、いつも周囲の人間の目を気にしながら、良い子に見せかけていた「僕」は、やがてそのことに疲れ果て、世界中のすべての人間から、自分の姿を消すことを思いつき…『神の言葉』

                  ハイジャックされた飛行機に乗り合わせた男女の、いたって呑気な会話。
                  飛行機が堕ちて死ぬという死に方は嫌だという女に、セールスマンの男は、医者から特別に手に入れたという「安楽死」の薬を売ってもいいと、もちかける。
                  確実に飛行機を落とすつもりかどうか、ハイジャック犯の覚悟のほどを確認した女は…『落ちる飛行機の中で』

                  の5編の短編と、トイレの花子さんのような(でも、こっちは一刀両断なんだけど…)『むかし夕日の公園で』の6つの物語。

                  「正直、やられた、と思った。――島本理生(解説より)
                  天才・乙一の傑作短編集その2
                  単行本未収録の幻の短編「むかし夕日の公園で」を特別収録。」だ、そうな。


                  のっけから『血液を探せ!』の馬鹿馬鹿しさに、やられてしまった…。
                  東野さんの、『○笑小説』シリーズにでも出てきそうなお話で。
                  心残りがなくなれば、いつ死んでも…というのは、なかなか良い最後で。
                  こんな、変に面白いのも書くんだ…と、改めてファンになってしまいそうなぐらい、気に入ってしまった。

                  『落ちる飛行機の中で』も、ブラックなお笑い系で、こちらは、筒井さんタイプかも…。
                  ここに出てくる人達の駆け引きがとてもユニークで。
                  ハイジャックに遭っているにも関わらず、落ち着き払っているのは、二人ともある理由があって…でも、この女の人が何されたのかが、知りたいんだけど。

                  『冷たい森の白い家』は、人間の醜さが、とても哀しい。
                  『Closet』は、ミステリかな?
                  『神の言葉』の主人公の考えていることは、すごく良く分かる気がしたけど…。

                  『落ちる飛行機の中で』で、男が安楽死の薬を売ってもらった、ボケ気味の高齢の医者って…『血液を探せ!』に出てきた、とぼけた医者のことなのかな…。
                  このお医者さんは、かなりツボにはまった。

                  お笑いの方面の乙一さん、かなり好きかも。

                  0

                    『ZOO 1』乙一

                    ZOO〈1〉
                    ZOO〈1〉
                    乙一 2006年 集英社文庫 P.242
                    ★★★★
                    自分が死ぬときのことを考えた。それはただの停止ではなかった。この世界すべてとの別れであり私自身との別れでもあった。どんなに何かを好きになっても必ずそうなる。だから『死』は恐ろしくて悲しい。            〜『陽だまりの詩』より〜

                    同じ顔を持つ一卵性双生児の姉妹。
                    はつらつとして明るい性格の「カザリ」は、誰からも愛され、学校でも人気者。
                    暗くてじめじめしている「ヨーコ」は、ママからも愛されず、虐げられていた。
                    ある日、ママが「ヨーコ」よりも大切にしている「ノートパソコン」に、誤って花瓶の水をぶちまけた「カザリ」は、「ヨーコ」のせいにしようと企み…『カザリとヨーコ』

                    何者かによって、拉致され、窓もない、コンクリートの小さな四角い部屋に監禁された「ぼく」と姉。
                    体の小さな「ぼく」は、姉に促され、部屋の床を貫く、汚水の流れる溝を伝って部屋からの脱出を試みた。
                    溝のトンネルを抜けると、そこにも「ぼく」たちの監禁されている部屋と同じつくりの部屋、そして一人の女性。
                    そのまた隣にも、隣にも…部屋の数は全部で7つ。
                    閉じ込められた女性全員と話したことから、姉と導き出した結論、どうやら監禁されて6日目に「ぼく」と姉は殺されてしまうらしい…『SEVEN ROOMS』

                    幸せな三人家族、居間にあるソファーには、「ぼく」を真ん中にはさんで、左には母が、右には父が、いつも仲良く座っていた。
                    なのにある日突然、母には父が、父には母が見えなくなってしまう。
                    二人の話から、父と母のどちらかが死んだのだと理解した「ぼく」は、その日から母と「ぼく」、父と「ぼく」の、奇妙な、二人きりの生活を送ることに…『So-far そ・ふぁー』

                    死に至る病原菌に感染した男の手によって作られた「私」。
                    「私」の存在理由は、生きている間の男の世話をすることと、男の死後、その亡骸を埋葬すること。
                    作られたばかりで、「死」というものがよく理解できない「私」に、男は、自分を正しく埋葬するために「死」を学ぶようにと言うのだが…『陽だまりの詩』

                    ある男の元に、毎日毎日、送られてくるのは、ある一人の女性の変わり果てた姿を写した写真。
                    行方不明になった男の恋人の、朽ち果てていく様子を撮り続け、送り続けているのは一体誰なのか…。
                    その相手こそが、彼女を殺した犯人に違いないと、男は犯人を捜そうとするのだが…『ZOO』

                    単行本版の『ZOO』に収められていた中で、オムニバス形式で映画化されたもの5編が、収められた短編集。

                    「何なんだこれは。(単行本刊行時のオビ・「青春と読書」2003年7月号より)――北上次郎
                    ジャンル分け不能。天才・乙一の傑作短編集その1
                    文庫版特別付録・古屋兎丸氏との対談も収録。」だ、そうな。


                    まさに、ジャンル分け不能…と、いうか、奇想天外というか、その多彩な才能ぶりに、つくづく感心してしまう。

                    この中では『陽だまりの詩』が秀逸。
                    男によって作られた「私」が、「死」を理解していく過程に心を打たれる。
                    ラストも、素晴らしい。
                    この作品の持つ独特な世界観は、ものすごく好き。

                    『SEVEN ROOMS』は、本だから読めたけど、映像化されてるのは、ちょっと怖すぎて見れないかも…。
                    ほぼ裸で、泥水を行き来するうちに、乾いてこぺこぺになってる小学生って、どうしても『呪怨』の、あの男の子を思い浮かべてしまうので、見てしまったら、電気消して寝れなくなってしまいそう。
                    自分まで、この部屋に閉じ込められて、死を待っているような気がしてしまうほど、ぞっとした。

                    『So-far そ・ふぁー』は、一瞬目が点になったというか…とても愚かで哀しい話だと思った。

                    一見、あり得なさそうな話なのに、もしかして、あり得ると思わされるようなところが、乙一さんの作品の魅力のような気がする。

                    どんなに、怖くて汚くて酷い話でも、出てくる登場人物が何か「かわいい」と思えてしまうのも、この人ならでわのような…。

                    『カザリとヨーコ』の「ヨーコ」の性格が…そんな悲惨な目に遭っているのに、何と逞しい…て、いうか、面白すぎて、とても好きになってしまった。

                    ハンバーグのためなら、腎臓一個売ってもいいとは…可哀想なんだけど、笑いのツボにはまってしまった。

                    映画では、この話あんまり評判良くないみたいなんだけど…「おっしゃー!」って、何かいい。


                    0

                      『暗いところで待ち合わせ』乙一

                      暗いところで待ち合わせ
                      暗いところで待ち合わせ
                      乙一 2002年 幻冬舎文庫
                      ★★★★★
                      これまで一人でやってきたものが崩れてしまいそうだった。そのうちに、平気でいたことのひとつひとつが悲しいことのように思われてくるかもしれない。それは恐ろしいことだ。

                      交通事故の後遺症によって、徐々に視力を奪われていったミチル。
                      父親を亡くし、ひとりぼっちになってからのミチルは、広い家の中で暗闇に包まれ、世界から切り離されたような生活を送っていた。
                      外の世界を極端に恐れ、親友のカズエに連れ出してもらわなければ、自分から出かけることなど、決してしようとはしなかった。

                      家の中にいる分には、何不自由なく、ただ、じっとして、静かな死がいつか訪れる日まで、そうやって、生き続けているのだと考えていたミチル。

                      印刷会社に入社して一年半が経ち、自ら他人を遠ざけ、同僚と親しく話すこともなく、孤立していたアキヒロは、社内のムードメーカーのある男のせいで、ギリギリの所まで追い詰められていた。
                      「殺したい」と、周囲に洩らしてしまうほどに。

                      その朝、駅のホームで一人電車を待つその男を見つけ、アキヒロは背後に近づいていく。
                      次の瞬間、男は、ホームからいなくなり、通過するはずの急行電車が急ブレーキの嫌な音を軋ませた…。
                      駅員に見咎められ、その場から逃げ出し、アパートにも戻れなくなったアキヒロは、駅の側にあったミチルの家に逃げ込み、居間の片隅に身を潜める。

                      その日から、二人の奇妙な生活が始まった。
                      気配を殺し、ミチルに気づかれないよう、細心の注意を払って行動しているつもりのアキヒロ。
                      気配を察し、自らの身を守るため、気付いていないふりをしようとするミチル。

                      そして、駅のホームで起きた事件のことをニュースで知ったミチルは、この部屋に潜んでいるのが、逃亡している犯人なのではないかと推測し、あることを試してみようとする…。


                      「一人で生きていけるというのは、嘘だった。」
                      と、正直な気持ちに、気付いてしまったミチルの気持ちがとても切なかった。

                      似たような過去の経験や、境遇から、一人で生きていくことを決めていた二人が、特殊な状況でお互いの存在を認めながら、だんだん相手の存在に安心感を抱いていくのが、痛いほど伝わって…。

                      アキヒロが、自分のこれまでのことを振り返り、自分の本心に気付いたのも、よく分かる。
                      私も、反省しないといけないなぁと考えさせられてしまった。
                      一人で生きようとするのは、やっぱりエゴなのかも、とも。

                      そして、アキヒロの行動が、魔法使いみたいに思えて、ミチルがとても羨ましくなった。
                      (寝ている間に…は、小人の靴屋さんみたいか…)
                      もしも、自分が危険な目に遭いそうになったとき、無言で助けてくれる人が身近にいれば、そんな幸せなことはないかも知れないと思う。

                      読んでいて、昔ものすごく感動した赤川次郎さんの「闇の足音」(だったかな)を思い出した。
                      もう何十年か前に、いしだあゆみと田中邦衛がドラマでやってたのも、今でも覚えてるくらいに良い話だったなぁ…と、でもあれは確かラストが悲しかったような…。

                      なので、殺人犯として追われているアキヒロと、ミチルの未来を考えて、途中悲観的になってしまったけど、この終わり方は本当に良かった…。

                      後ろ足で立って、前足で冷蔵庫を開けている「犬」や「猫」は想像しただけでも、ちょっと楽しかったりして。

                      0


                        calendar

                        S M T W T F S
                              1
                        2345678
                        9101112131415
                        16171819202122
                        23242526272829
                        3031     
                        << July 2017 >>

                        読書メーター

                        uririnの最近読んだ本 uririnの今読んでる本

                        新刊チェック

                        selected entries

                        categories

                        archives

                        recent comment

                        • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
                          uririn
                        • 『痺れる』沼田まほかる
                          uririn
                        • 『絶望ノート』歌野晶午
                          uririn
                        • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
                          いちれん
                        • 『痺れる』沼田まほかる
                          くり
                        • 『絶望ノート』歌野晶午
                          智広
                        • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
                          uririn
                        • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
                          苗坊
                        • 『永遠の0』百田尚樹
                          uririn
                        • 『永遠の0』百田尚樹
                          苗坊

                        recent trackback

                        recommend

                        recommend

                        recommend

                        recommend

                        recommend

                        recommend

                        悪人
                        悪人 (JUGEMレビュー »)
                        吉田 修一
                        読み終わった後も余韻に浸りたくなるような…これは、すごい。

                        recommend

                        しずく
                        しずく (JUGEMレビュー »)
                        西 加奈子
                        サイン本買っちゃった。

                        recommend

                        recommend

                        たぶん最後の御挨拶
                        たぶん最後の御挨拶 (JUGEMレビュー »)
                        東野 圭吾
                        猫なんです…。

                        recommend

                        recommend

                        recommend

                        ねこの肉球 完全版
                        ねこの肉球 完全版 (JUGEMレビュー »)
                        荒川 千尋,板東 寛司
                        たまらん。

                        recommend

                        ニャ夢ウェイ
                        ニャ夢ウェイ (JUGEMレビュー »)
                        松尾 スズキ, 河井 克夫
                        たまらん…

                        recommend

                        recommend

                        僕たちの戦争
                        僕たちの戦争 (JUGEMレビュー »)
                        荻原 浩
                        とにかくお薦め。

                        recommend

                        出口のない海
                        出口のない海 (JUGEMレビュー »)
                        横山 秀夫
                        たくさんの人に読んでほしい…

                        links

                        profile

                        search this site.

                        others

                        mobile

                        qrcode

                        powered

                        みんなのブログポータル JUGEM

                        使用素材のHP

                        Night on the Planet フリー素材*ヒバナ *  *

                        PR