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    『ふたつの名前』松村比呂美

    ふたつの名前
    ふたつの名前
    松村 比呂美 2007/2/15発行 新風舎 P.231 ¥1,260
    ★★★★★
    事実など、知ってしまえばどうということはない、そんな大きな秘密があるものではない。そう思っていたのに、自分たちの平和に見えた家庭には、抱えきれないほどの恐ろしい事件が隠されていた。

    高齢者向けの結婚相談所「サードライフ」の設立と同時に入社し、やり手の女社長の信頼も厚く、その親身な接客態度から会員たちからも慕われ、しばしば勤務時間外の相談まで受けるのに、自分自身は仕事場と家との往復だけで、全く縁のない25歳、独身の波多野保奈美。

    仕事も順調で、家に帰れば、子供の頃から自慢だった優しい母親と、義理の関係ではあるものの、まるで実の父親のように気が置けない義父とに囲まれて、何ひとつ問題のない幸せな生活を送っているかに見える保奈美だが、実は、時々どうしようもない「不安」に襲われるのだという。

    それは、十数年前に失踪したまま、今でも行方の判らない実の父親のことや、幼い頃の保奈美の写真が一枚も残されていないこと、何よりこの家族には、親戚と呼べる人物が一人もいないということが起因となる「不安」のようなのたが…。

    そんな不安の波から逃れるように仕事に没頭していた保奈美は、「サードライフ」の会員の一人から贈られたプレゼントがきっかけとなり、保奈美の伯母にあたる、失踪した父親の実の姉だという人物の居場所を偶然に突き止め、謎に包まれた父親のことを知るために、家族には内緒で伯母に会いに行くことに。

    その保奈美の軽率な行動が元となり、平穏だった暮らしが根底から覆されることになるとも知らず…。

    「読み終えたとき、きっと家族の優しさを疑う。
    平穏な家庭に潜むふたつの優しい殺意。
    行方不明の実父を探りはじめた波多野保奈美。
    再会した伯母が洩らしたひと言は母の秘密と義父の真実へとつながっていた――。
    それは「禁忌」の名前。
    新進女性作家、待望の書き下ろし長編!」だ、そうで。


    うーん…。
    昨日ここに感想をUPした『大きな熊が来る前に、おやすみ。』もそうだったけど、DVってそんなに蔓延してるのか…というか、この連鎖は結構恐ろしいかも。

    想像してたよりも、ずっと根が深くて驚いてしまったし。

    結婚相談所の「サードライフ」の会員さんのエピソードなんかも絡めてあって、第三の人生をやり直そうとする熟年女性が、身なりから何から綺麗になっていくというのは、なかなか気持ちの良いお話で…45歳で独身の女社長や、会員の彼女たちのパワーに、若い保奈美が少々押され気味というのが、今っぽいなと感じてしまった。

    ラスト近くでの、ご近所さんたちの毅然とした態度が、実際こんな人たちばかりならいいのになと思えたし、そうなるにはまず自分から…というか、事実がどうあれ、自分の目で、耳できちんと感じたことだけを信じていれば、その方がたぶん幸せなのかもなと…。
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      『女たちの殺意』松村比呂美

      女たちの殺意
      女たちの殺意
      松村 比呂美 2005年 新風舎文庫
      ★★★★
      彼女が描く世界には、国際的な陰謀を企てる人間も登場しなければ、猟奇的な連続殺人事件を鮮やかな推理で解決してみせる探偵も登場しない。主人公は作者と等身大の女性であり、舞台はごく普通の家庭で、取り上げる題材もテーマもごく身近なものばかりだ。
       けれども、だからこそ読みたい、と熱望する読者もいるのは紛れもない事実なのだ。                          ―解説より―

      「少しの間、置いてもらえないかしら」
      一家四人が暮らす新築のマイホームに、転がり込む小姑。
      さっさとリビングに私物を運び込み、我が物顔で居座ろうとする義姉。
      家事もせず、仕事もせず、イラストレーターで食べていくことを夢見て、毎日家でごろごろしているだけの、夫の姉。
      けれど、姉はある「いい物」を持っている。そしてこの家の主婦は、耐火金庫を買うことを決意した…「第一話 暖かい殺意」

      何かと世話を焼きたがる親切な、アパートの隣人。
      自堕落な生活を送る主人公の部屋に遊びに来ては、食事の用意をしたり、そこかしこを拭いてくれたり、風邪をひいて寝込んだときにも…。
      そして出会い系で知り合った男と、いつものように部屋で会っている最中、隣人はやって来た…「第二話 茶箱―渇いた殺意」

      夫が失踪して半年…義姉は度々この家に様子を見にやって来る。
      潔癖症で、完璧主義のこの家の主婦は、そこら辺を散らかしていく夫そっくりの義姉のことも、とても鬱陶しく思っていた。
      「骨は大事だ」と常々口にする主婦は、義姉が来る度、卵の殻から作ったという手作りのカルシウムの粉末を渡し、料理に混ぜて摂るように促すのだが…「第三話 カルシウム―白い殺意」

      結婚と同時に、アレルギーを全身に抱え込んだかのような体質になってしまった主婦。
      外出時には、湿疹の痕を隠すための綿のスカーフ、黒のタイツ、そして主婦湿疹のため薄くなった皮膚を保護するための綿の手袋に、外気よけの防備のためのマスク…。
      出かける先は、月に一度様子を見に行かなければならない一人暮らしの姑のところ。
      アレルギーの元凶を取り除けば、この体質は元に戻るのだろうか…「第四話 アレルギー―溢れ出る殺意」

      年に一度、毎年行われる女子高の同窓会。
      今回の同窓会に出席するため、コラーゲン注射で眉間の皺を消し、ブランド物に身を固めた主人公。
      主人公には、今年はどうしても既婚者として出席し、幸せな生活を送っていることを、見せつけなければならない相手がいる。
      結婚願望がありながら、結婚できず、39歳になった今でも、若くて可愛かった頃のことを忘れられずにいる、あの女に……「第五話 どうしても―振り向いた殺意」
      の5つから成る短編集。

      すごく面白かった。
      表紙のイラストが気に入って読んでみたけど、想像以上に良くて驚いてしまった(作家さんの名前も知らなかったので、ごめんなさい)。
      「茶箱」以外は、どれも同年代のお話で、「わかるわ〜〜」という感じ。
      (主婦でなくても、わかるのだ)

      解説に「作中の女性が殺意を抱く相手は、夫や義姉や女友達……とすべてわたしたちの身近な存在である。それゆえに読者は、〈自分の分身をのぞき見るような怖さ〉を味わうに違いない。」と書いてあって、まさにその通りなんだけど、その「分身」は、必ずしも主人公の、それではなかったりする。

      特に気に入ったのは「カルシウム」。
      展開が読めなかったので、その意外な結末と、旦那の気持ちがとてもよく分かるというか…。

      とにかく細部にまで目が行き届いているというか、やっぱり実際の主婦ならでわの目線というのか、すごくリアリティがあって、ワイドショーの再現フィルムを見ているような錯覚に陥るような。

      何より、一つ一つのストーリーが、大好きな「悪魔の花嫁」を髣髴させるような、ぞくぞくする短編集だった。

      「そっとしておいてくれればよかったのに」という気持ちは、本当に良くわかる。

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