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    『廃用身』久坂部羊

    廃用身
    廃用身
    久坂部 羊 2005年 幻冬舎 P.393
    ★★★★
    「…年寄りは自分が元気になりたくて『Aケア』を受けるんじゃありません。家族や介護者に迷惑をかけたくない、その一心で切るんです。そんな老人の哀しみは、当人でないとぜったいにわからない……」

    介護の現場で使われる医学用語、脳梗塞などの麻痺で回復の見込みのない手足のことを「廃用身」と呼ぶ。

    パプアニューギニア帰りの外科医、漆原が、日本に帰国し、これまでなじみの薄かった老人医療の施設の院長に就任することになり、その現場で、初めてこのような非人間的な用語を聞いたときには、言葉を失ったという。

    しかし、現実に老人のデイケア施設『異人坂クリニック』で、回復することに望みを託し、リハビリに励む老人が、その希望を失った途端、生きる気力を失くしてしまい、死に至るのを目の当たりにし、また、介護を必要とする老人たちが、家族から虐待されているという現実を知った漆原は、「廃用身」を切断してしまえば…という、画期的な療法を思いつくことに。

    これは、あくまでも、お年寄りのQOL(生活の質)を高めるための、「治療」ではなく「介護」の一環であると言うことから、『Aケア』と名付けられ、最初に『Aケア』を決断した一人の患者が、術後、劇的な変化を遂げたことから、自ら『Aケア』を受けたいと名乗り出る患者も現れ、「廃用身」の切断手術は次々と行われていく。

    やがて、事態を嗅ぎつけたマスコミにより、漆原は「悪魔の医師」として告発されることになるのだが……。

    《『Aケア』は日本の介護危機を救う「奇跡の療法」なのか。
     それとも、人間の尊厳を損なう「禁断の療法」だったのか。
     『破裂』の久坂部羊の、これ以上ない衝撃的かつ鮮烈な小説デビュー作。》だ、そうな。


    たたでさえ落ち込んでるときに読んだからか、読後、しばらく「どよ〜ん」としてしまった。

    前半の、漆原が書いた、レポートみたいな原稿の部分を読むと、ものすごく納得させられて、家族の負担になりたくないというお年寄りの気持ちもすごく分かるし、ここに書かれてること(介護負担の軽減、痴呆からの解放、脳の血流改善)が、本当にそうなるのなら…とも思えてしまう。

    ここに出てくる患者達のように思うことも、思わせることも嫌だけど、これが現実なんだろうなぁと思う。

    で、ずーっとこんな調子で続くのかと思ってたら、突如事態は急展開する。
    ぼーっと読んでたので、思わず「え?」と、凍り付いてしまった。
    そこからは、ちょっと怖い。

    私が老人と呼ばれるようになる頃には、多分4人に1人がお年寄り?の時代なので、本当にその時、もし自分が、誰かの介護を必要としていたとしたら…なるべく迷惑をかけない方法があればいいなぁ、とか、色々考えさせられてしまった。

    漆原の「廃用身」の部分は、なるほど潔くて…。
    漆原の息子の慎君は…。
    何か「うーん」と唸らされるけど、後味が悪い。

    どこかのブログで、「奥付」について触れられてて、初めて気付いた。
    そこまで凝ってたとは…。

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      『無痛』久坂部羊

      無痛
      無痛
      久坂部 羊 2006年 幻冬舎
      ★★★★★
      刑法三十九条。
      「心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を軽減する」

      神戸市内の閑静な住宅街で起きた、惨たらしい一家四人残虐殺人事件。
      現場に残されていた犯人の遺留品は、小さな子供用の帽子と、LLサイズの靴痕、そしてある食べ物。
      事件は犯人の目星もつかないまま、八ヶ月が過ぎようとしていた。

      そして、またもや神戸の三宮で、子供を狙う残虐な通り魔事件が起き、その場に居合わせた臨床心理士の高島菜見子と息子の祐輔は、一人の医師の機転によって被害を免れた。
      医師の名は、為頼英介。
      東灘区の小さな診療所を開く為頼は、患者を観察するだけで、全ての症状が見えてしまう。
      それと同じように、犯罪を犯す人間特有のあるものが見えるのだという。

      そんな為頼の才能を頼りに、菜見子は、自分の勤めている施設に入所している、ある少女の診断を依頼する。
      菜見子にしか心を開かない14歳の少女は、メールで「神戸の事件の犯人は自分だ」と告白していた…。

      そして、為頼の才能を見抜いた、もう一人の天才医師、為頼と同じ診察眼を持つ白神メディカルセンターの院長、白神は、傘下にあるクリニックの院長に、為頼を迎えようと画策していた。
      白神の研究対象は、完全なる無痛治療。

      白神に救われ、白神を崇拝し、クリニックで働く、ある病を抱えるイバラ。
      執拗に菜見子にストーカー行為を繰り返す元夫、佐田。
      そして刑法三十九条の不条理さに疑問を抱きつつ、一家四人惨殺事件の犯人を追う刑事、早瀬。

      全ての点が、繋がる時、事件の全貌が明らかになる…。


      何か色んな事件が起こりすぎて「あ、こんな人もいたっけ」と、思い出しつつ読んだ。
      珍しく本屋さんで、タイトルと帯に惹かれて読みたくなった本だけど、現役のお医者さんの書く本が、まさか、こういう類の本だとは思わなかったので、ちょっと衝撃…。

      のっけから、かなりエグい。
      神戸の通り魔も…これ、ここまでやる必要あったのかな?と疑問に思ったけど。

      ヒロイン(?)菜見子の元夫は、もう…どうしようもないというか、ひどすぎて、あほすぎて、同情の余地が全くないから、まあ…に、しても何でこんな男と結婚したのかが????

      刑法三十九条に腑に落ちないものを感じるのも、よく理解できるし、白神の目指す、患者に苦痛を与えない治療というのには、ものすごく興味が持てたし、本当にそんな病院があれば良いなとは思ったけど…。

      「無痛」のタイトルなのに、読んでる間中、痛みを感じてしまった。
      ううう。
      前の二作の方が評判良さそうなので、そっちも読んでみようかな…。
      どこかで、メディカル・ホラーという文字を目にしたけど、なるほど。
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