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    『墜ちていく僕たち』森博嗣

    墜ちていく僕たち
    墜ちていく僕たち
    森 博嗣 2004/5/25文庫化 集英社文庫 P.242 ¥480
    ★★★★
     そうなんだ、僕は、男になろうと思って、ずっと男でいなくちゃいけないんだって思っていた。そうやって、ロープの上でしがみつくようにして、ただただ真っ直ぐに歩いていたわけ。でもって、それ、行き先って、どこなの? 結局はさ、ロープの先へ進むだけなんだよ。他にどこへも行けやしない。まったく、どうかしているよなあ。世の中、こんなに広いのに、こんなに自由なのに。〜『墜ちていく僕たち』より〜

    女にもてるくせに、金欠でお腹がすくと、「僕」の部屋にやってくる小林先輩。そんな先輩の気持ちを察して「僕」が作り始めたのは、鍋で作る袋入りの(賞味期限切れかもしれない)インスタントラーメン。

    そして一口味見をした「僕」は、眩暈を起こして倒れこんでしまい、目覚めると、何だか身体がぷわぷわしているようで。

    見てみると見慣れた先輩の顔も、何だか睫毛が長く、唇が赤く、肌が白くすべすべしているようで…『墜ちていく僕たち』

    他、戸棚のうんと奥にあったインスタントラーメンを食べた女二人が男二人に…『舞い上がる俺たち』、愛人の別荘で、恋人の作るインスタントラーメンを食べた男女が…『どうしようもない私たち』、『どうしたの、君たち』、『そこはかとなく怪しい人たち』の、神出鬼没の摩訶不思議なインスタントラーメンが巻き起こす、5つのミステリアスな連作短編集。

    「男が女に、女が男に……摩訶不思議なファンタスティック・ミステリィ
    生まれてからずっと男でいつづけるのも、女で一生終わるのも、人間ってけっこう楽じゃない。性に悩めるあなたも、悩んだことなんて全然ないあなたも、さあ、そんな綱渡りのような固定観念を捨てて、性差の呪縛ものりこえて、新しい世界へようこそ。」だ、そうで。


    食べれば男女が入れ替わる、本当にこんな摩訶不思議なインスタントラーメンがあればいいのになぁと(なぜにインスタントラーメンなのか…は、良くわからんが、私も好きなので、まぁいいかと、すんなりと受け入れることにして)。

    でも、一ヶ月くらいなら男になってもいいかなと思うけど、やっぱり女の方が人生楽しそうなので、元に戻れないのは嫌だなと。

    『墜ちていく僕たち』は、男の人って、女になったら一番に、こんなことしたいと思ってそうだし、逆に女が男になってしてみたいことって…あんまりないような(立ちションぐらいなかと)。

    女性が人間の完成形で、男が不完全というのも、確かにそうかもなと(女の方が一人でも大丈夫そうだし)。

    『舞い上がる俺たち』の「猫」になりたい女の人の気持ちは、すごく良くかるし、なかなか好きな話。

    『どうしようもない私たち』は、この中でもちょっと変わってて、ラストが面白い。

    どれも、タイトルがすごく良く内容を表してるなぁと感心してしまうし、この話の流れを、最後にこう持ってくるのか…と、構成も凝ってて、すごく良く出来た話だなぁと。

    そして、何より金子國義さんのイラストが大好き(中学生の頃、この人の絵が見たいがために、えっちな本も買ってしまってたぐらい)なので、この本は、持ってるだけですごく嬉しかったりして…。

    これ読んでると、袋入りのインスタントラーメンが無性に食べたくなってしまうので、用意してから読むと良いのかも。

    ちなみに私は関西人なので、「好きやねん」のしょうゆ味5袋パックが常にないと不安になるくらいに好き(パックのうどんつゆで麺を炊いて、スープの素を入れて、きざみねぎと一味を山盛りぶっこむと、いっそう美味…)。
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      『ZOKU』森博嗣

      ZOKU
      ZOKU
      森 博嗣 2006年 光文社文庫 P.333
      ★★★★
      「あの、意味がわかりませんけど……」河本は鼻で笑いながら言う。「つまり、なんですか、誰かの悪戯ってこと?」
      「そうです」
      「誰が? え? そんな暇な奴がいるっていうんですか?」
      「ええ、そう言っているつもりです」

      現代社会に対して、多少なりとも迷惑と不安をばらまくことで、現代人が忘れかけている人間性を取り戻させようという確固たる計画のもと、犯罪未満の壮大な悪戯を次々と仕掛ける悪の組織、非営利目的の団体(Zionist Organization of Karma Underground)、通称ZOKUと、彼らの悪行を阻止するための正義の組織、科学技術禁欲研究所(Technological Abstinence Institute)、通称TAIの面々によって、日夜繰り広げられる攻防戦(?)。

      学校や映画館など人の集まる施設で、同じ時間、その場に居合わせた全員の持ち物に異変が起きる…『ちょっとどきどき Off the beaten path』

      都内の繁華街など、あちこちでばらまかれたのは、一見無害に見える手作り品、しかしその量は半端でなく…『苦手な女・芸術の秋 Poor at manual arts』

      静まり返った劇場や寄席などで、ふいに不愉快な声が聞こえだす…『笑いあり 涙なし A simple funny story』

      道で見知らぬ女から手渡された予想通りに馬券を買った男は、大金を手にする…『当たらずといえども遠からず It’s almost right.』

      ZOKUとTAI、それぞれのリーダーはお互いの乗り物を、子供のように羨ましがり…『おめがねにかなった色めがね Facts are colored by prejudices.』の、5つのエピソードから成る物語。

      「被害者が気づかないほどのささやかな迷惑行為をめぐり、繰り広げられる悪と正義(?)の暗闘。痛快無比の物語。
      正義と悪戯――勝つのはどっちだ!?」


      「暴走族」ならぬ、「暴振族」や「暴笑族」などのネーミングがツボにはまってしまった。
      それぞれの移動基地の乗り物も滅茶苦茶かっこいいし…。

      こういう何の役にも立たないような、馬鹿馬鹿しい、しょーもない悪戯は、本当に好きかも。

      登場人物のキャラがすごく魅力的で、そこもツボにはまってしまった。

      TAI側の、リーダーの孫娘は、「下妻物語」や「富豪刑事(見てないけど)」の深キョンのようで、とても可愛いし、ZOKU側のコスプレ女、ロミさんは、タイムボカンシリーズの「ドロンジョ様」を彷彿とさせるし…(子供の頃「ボヤッキー」の大ファンだったので、「ドロンジョ様」になりたかったんだけど)。

      どの会話も、ずば抜けて面白いけど、この二人が言い争う場面は、特に笑える(ライバル視してるのは、年増のロミさんの方だけなんだけど…)。

      「で、いったい何がしたいんでしょうね?」
      の、一言につきるけど、人生には無駄はつきものだし…。

      これ読んでると、昔やってた「元気が出るテレビ」が無性に見たくなってしまった。
      高田純次の「早朝バズーカ」とか、結構好きだったんだけど(あれは「些細」の範疇を超えてたかな…)。

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        『少し変わった子あります』森博嗣

        少し変わった子あります
        少し変わった子あります
        森 博嗣 2006年 文藝春秋 P.246
        ★★★★★
        私は一人微笑んだ。面白いものだなあ、人生とは……、少なくとも生きているうちは、止まることはない。戻ることも、繰り返すこともできない。できないことばかりをいつも振り返って、しかたなく、前に進む仕組みなのか。

        後輩の荒木が一月ほど前から、行方知れずとなってしまったという話を聞いて、思い出したのは、以前、荒木との酒の席での会話に出てきた「おかしな店」の話。

        名前どころか、場所さえも決まっておらず、連絡するための電話番号があるだけの料理店。
        そこに行けば、姿を消した荒木の手がかりが、もしかしたら見つかるのかも知れないと、漠然と考え、その「おかしな店」に行ってみることにした、小山。
        予約は簡単に取れ、職場まで迎えの車を寄越してくれるという。

        そして連れて行かれたのは、看板もなく、ぽつんと灯りの灯る路地の奥の小さな店。
        迎えてくれたのは端正な顔立ちゆえに、これといった特徴のない「おかみ」。
        荒木に教えられたように注文をすると、やがて一人の女性が現れ、前の席に座り、共に食事をすることに…。

        所作の美しさ以外は、とりたてて何もない女性。
        料理も美味しいという以外、これといって変わったものではない。
        普段着姿の、どちらかと言えば目立たない、大人しそうな女性と、たわいもない会話をし、デザートが終わると、「それでは」と女性は席を後にする。

        食事の相手は毎回変わり、女性のことは、詮索してはいけないし、外で会ってもいけない。

        若い女性との食事なら、職業柄、相手には事欠くことはない、なのに、ふとした拍子に思い出したように、行ってみたくなり、そして何度も足を運ぶうち…。

        「上品で美味しい孤独をどうぞ。
        圧倒的な余韻を残す森博嗣、衝撃の新境地」だ、そう…。


        本当に不思議な余韻に浸れる話。
        「孤独」というものについて、ものすごく考えさせられる。

        二人きりの空間、二度と会うことのない相手と、食事をするというだけの、静かな時間。
        「孤独増幅器」のように働きかける店に、何度も足を運びたくなる気持ちは、何となく自虐的というか…。

        私は「孤独」という状況が割と好きだけど、それはあくまでも一人きりでいるときの「孤独」であって…。

        「人間って不思議ですよね。混み合った電車に乗ったときも、もの凄く他人と接近するのに、お互いに知らん顔をするんです。声をかけたりしたら失礼だと思われる。息を殺して、自分だけの世界に集中する。まるで周りにいる人間たちが皆、植物みたいに思い込めるんです。」
        という、ある女性の話に、すごくうなづけてしまった。

        しらじらしいほど、周囲の人間と目が合わないように努めてしまうけど、つくづく電車の中って、変な空間だなぁと、毎朝思う。

        これって、下手すれば、下品な話になりそうなのに、とても美しく上品に仕上がってるのは、やっぱり森さんの文章が美しいからなのかな…。
        なかなか「変わって」て、すごく面白いと思えた。

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          『スカイ・クロラ』森博嗣

          スカイ・クロラ
          スカイ・クロラ
          森 博嗣 2001年 中央公論新社
          ★★★★
          少なくとも、昨日と今日は違う。
          今日と明日も、きっと違うだろう。
          いつも通る道でも、違うところを踏んでいくことができる。
          いつも通る道だからって、景色は同じじゃない。
          それだけでは、いけないのか?
          それだけでは、不満か?
          それとも、それだけのことだから、いけないのか。

          神に祈るか、それとも殺し合いをするか。
          二つしかない選択肢。
          特別な子、としてこの世に生まれた「カンナミ」
          彼が選んだのは、空を飛ぶこと、そして「誰のためでもなく」戦うこと。

          「カンナミ」の戦闘機は、次々と敵を撃ち落す。
          「カンナミ」の右手ひとつで、敵の戦闘機は地上へと堕ちて行く。
          誰のためでもなく、「カンナミ」は何故、戦闘機に乗ることを選んだのか。

          彼にとって戦闘機に乗る、ということは「退屈凌ぎ」なのだという…。
          そして、彼は死ぬまで、なんとかそうして凌ぐしかほかに方法はないのだと…。


          遠い空の彼方で、どこかの国と、どこかの国が戦って、見えないところで、誰かが死んでいく。
          そんな遠い遠い感じがするお話。
          とても不思議なんだけど、すごくよくわかる。(気がするだけかな…)
          無駄なものがない。
          いらないものを削ぎ落とせば、こうなるのか…と、感心した。

          例えば、仲間の死。
          その死に対して、自分の責任だと、自分自身を責める仲間たちを見て、彼は思う
          「自分の責任だと考えることが、一番楽なのだ。
          全部、自分の責任なら、閉じていれば良い。完結できる。人の責任だと思うから、処理が難しくなる。」
          すごく納得。

          例えば、「よろしく」という言葉。
          「何を、よろしくなの?」
          「私のよろしくは、お友達になって、お話をするっていう意味」
          「僕も、だいたいそれ」
          すごい。納得。

          「死にたいと思ったことがある?」
          「だから、しょっちゅう」
          「どうして、そのとき、死なないわけ?」
          「もう少しだけ辛抱していれば、そんな気持ちがすっかり消えて、あぁ、死ななくて良かったって、そう思うに決まっている、それを予測できるからかもね」

          いつも、漠然と心の中で、思っていたようなことを、言葉にするとこうなるのか…。
          こういった会話が、たくさん出てくる。
          何だか、とても心が晴れる気がする。

          彼は、人を殺したその右手で、ハンバーガーを食べ、ボウリングをする。
          そして思う「意識しなくても、誰もが、どこかで、他人を殺している。おしくら饅頭をして、誰が押し出されるのか…。その被害者に直接触れていなくても、みんなで押したことに変わりはないのだ。」と…。
          そして、それは「しかたがないことなんだ。」と…。

          確かに、そう思う…。

          最後に分かる、カンナミが空を飛ぶ理由は、とても哀しい。
          一度読んだあとに、もう一度最初から見てみると、全ての不思議なことがよく分かった…。

          本の装丁に惹かれて、ずっと昔に買ったのに、当時は10ページ目ぐらいで挫折して、でも綺麗なので、そのまま本棚に飾ってあった。
          その前に「すべてがFになる」でも、挫折していたのに。
          難しすぎて…。
          やっとこさ読めたけど、どれくらい理解できてるのか怪しい…。

          ただ、出てくる言葉が本当に全部、綺麗だと思った。
          読めて良かった。
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