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    『びっくり館の殺人』綾辻行人

    びっくり館の殺人
    びっくり館の殺人
    綾辻 行人 2006年 講談社
    ★★★★★
    今回はとにかく、タイトルからして『びっくり館』です。はたして「かつて子どもだった」あなたが、これを読んで多少なりとも「びっくり」してくださるかどうか。――著者としてはやはり、いつものようにおずおずと作品を差し出すしかないようです。
                            ――「あとがき」より――

    大学生の永沢三知也は、古本屋でたまたま手にしたある一冊の本をきっかけに、10年前に起こったある事件を回想する。

    当時、小学6年生だった三知也は、父親の仕事の都合で、神戸の小学校に転校してきたばかりの頃から、近所のある屋敷にまつわる噂をたびたび耳にしていた。

    神戸の異人館を思わせるその屋敷は、通称「びっくり館」と呼ばれ「びっくりユーレイ」なるものまで出てくるらしい…。
    ある日三知也が、塾の帰りにたまたま「びっくり館」の前を通りかかると、門が少し開いており、いけないと思いつつ、好奇心にかられ、ドキドキしながら中へ忍び込んでみる。

    そこで、この家に住む俊生から思いがけず声をかけられた。
    三知也と同い年の俊生は、身体が弱く、学校へはほとんど行っていないから友達もいないという。

    その日から、たびたび屋敷を訪れるようになった三知也は、この家の主、俊生の祖父龍平と、三年前に亡くなった、姉の名前をつけられた「リリカ」という人形を紹介され、この屋敷に仕掛けられた、ある秘密を教えてもらうまでに、仲良くなっていく。

    そしてクリスマスの夜、龍平に招かれて屋敷を訪れた三知也たちは、この屋敷の、ある部屋で、背中にナイフを突き立てられ、絶命している龍平を発見することになる。

    この近辺で、最近頻発していた強盗事件。
    そして、三知也が出会った、屋敷を眺めていた謎の男の存在…。

    この部屋に隠された秘密を教えてもらっていた三知也は、完全なる「密室」であることを知っていた…。

    その後、すぐに父親についてアメリカに渡った三知也は、そのまま事件の記憶を封印した。
    そして、あれから10年以上も経った今でも、犯人は捕まっていないという…。


    「かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド」から刊行された、館シリーズの最新作。

    「子供向けだから…」と敬遠しつつ、やっぱり読まずにいられなかった…。
    読み始めて、しばらくは違和感感じたけど、すぐに物語に引き込まれていく。
    七戸優さんの色つきの装画のおどろおどろしさといい、本に出てくる不気味な老人といい、腹話術の人形といい、何だか昔夢中になって読んだ本の数々を思い出させてくれるような…。

    小学生の頃なら「近所にこんなお屋敷があったら、絶対探検しに行くのに」と、わくわくしながら読んだと思う。
    当時の遊び場はもっぱら京都御所だったので、御所の中に「秘密基地」とか作って遊んでたのが懐かしい…。
    いつ忘れてしまったんだろう。

    ミステリーとしても、私は十分「びっくり」させられてしまった。
    老人の腹話術の場面は、もし自分がその場にいたら、どう反応して良いか、困っただろうな…と思うぐらい奇怪というか、珍妙というか…。

    そして、ラスト2ページにも、ちょっと「びっくり」。

    本を手にした時から、小学校の図書館に戻ったみたいな気になった。
    図書館でいつも読んでいた本から漂うのと同じ匂いがしたからかな(さすがに、毒がしみついたような感じはなかったけど)。
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      『眼球綺譚』綾辻行人

      眼球綺譚
      眼球綺譚
      綾辻行人 1999年 集英社文庫
      ★★★★★
      読んで下さい。
      夜中に、一人で。

      人里離れた山中の別荘。
      外はひどい雨。
      部屋の中では、酩酊した男が一人、顔のない妻に話しかけていた。
      比喩ではなく、実際に妻の首を、男は自分で切り落としたのだ…。
      そして、男は待っている。
      妻の新しい首が生えてくるのを…『再生』

      赤ちゃんが欲しいと切実に願う妻。
      妻は、ある日夫が「呼子池」で釣ってきた、奇妙な魚に異常なほどの執着を見せる。
      水槽で飼われていた、畸形の魚の胸びれは、やがて足のようなものに変化していき…『呼子池の怪魚』

      ある人物から薦めてもらった「変わったもの」を食べさせてくれるというレストランに入ってみることにした男と妻。
      男は以前、偶然カレーの中に紛れ込んだ「あるもの」を食べてしまったことから「イカモノ喰い」に強い興味を持つようになっていた。
      最初嫌がっていた妻も、何度も店に通ううち、だんだん興味を惹かれていく。
      二人の「イカモノ喰い」は、どんどんエスカレートしていき、とうとう、その店のスペシャルメニューを食べさせてもらえることになり…『特別料理』

      クリスマス・イヴの日、20歳の誕生日を迎えた女子大生。
      サークルのクリスマス・パーティーに参加することになり、奇妙なプレゼントを買おうと、ある店に立ち寄る。
      そこにあったはずの、彼女が以前から気に入って眺めていた、アンティークなナイフが無くなっていた。
      そう言えば、昨日の夜に見た恐ろしい夢の中で、彼からプレゼントにもらった気がする。
      あれは夢ではなかったのだろうか…そして、夢の中では、彼女はそのナイフで彼を…『バースデー・プレゼント』

      夜行列車で、避暑地に向かう二組のカップル。
      四人は、怪談話で盛り上がっていた。
      そんなものは所詮作り話だと一人の男が言い出し、それならお前の言う「本物」の話をしてみろと促された男。
      これまで男が怪談話を聞かせると、その後で変なことが起こったと言う。
      怖がる彼女をよそに、話し始める男。
      そして、話し終えた後に…『鉄橋』

      妻が旅行中、久しぶりの実家に帰ってみることにした作家の男。
      そこでの仕事がはかどらず、仕方なく犬の散歩に出かけることに。
      そして河原で鎖を放された愛犬は、おかしな人形を口にくわえ、戻ってきた。
      目も鼻も口も耳も、髪の毛一本もない、のっぺらぼうの人形。
      家に持ち帰り、テーブルの上に置いたはずの人形が、彼がまどろんでいる間に、どこかに消えていた。
      奇妙に思いながら、風呂に入り、鏡を見た男には、さっきまであったはずの黒子がなくなっていた…『人形』

      東京の出版社に勤める女の元に、大学の後輩から送り付けられた小説らしきもの。
      訝しがりながらも、目を通してみることにした。
      そこに書いてある内容は、大阪万博の頃に起きた無差別連続殺人事件に関連すること。
      殺されたあと、眼球をくり抜かれるという、おぞましい事件に関わった男の体験談なのだろうか…。
      何故これが彼女の元に…『眼球綺譚』


      「妖しくも美しい7つのホラーストーリーを収録。著者の新境地を拓いた初の短篇集」だ、そうです。

      全編通して「由伊」という名の女性が出てくるけど、私には、あまりよくその意味がわからなかった…。なんとなく、しか。

      とりあえず、気持ち悪い短篇集、というか…。
      ホラーだから、当たり前か…。
      に、しても気持ち悪かった。
      嫌いじゃないけど。

      『再生』は、最後のオチ、というか、それ、想像すると恐ろしい…。
      『呼子池の怪魚』は、ほっと安心。
      『特別料理』は、無理…「ごきげんようおひさしぶり」食べるなんて、噛み切るなんて…。
      『バースデー・プレゼント』は、なんだかよくわからなかった。
      『鉄橋』も。
      『人形』は、一番わかりやすくて、一番好きな話。
      何となくこんな話、大好きな『ドラえもん』にもあったような…。
      そして『眼球綺譚』で、全体の締めなのかな。

      うーん。やっぱり気持ち悪い。
      夜中に一人で、読まないほうがいいと思う。
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        『十角館の殺人』綾辻行人

        十角館の殺人
        十角館の殺人
        綾辻 行人 1991年 講談社文庫
        ★★★★★
        彼らを待ち受けるものは勿論、死だ。それが、彼らの全てに対して例外なく科されるべき当然の罰なのだ。
        そしてまた、それは決して呆気ない死であってはならない。例えば、彼ら全員を爆薬で一度に吹き飛ばしてしまうなどといったやり方は、たとえそれがより容易かつ確実な方法であったとしても、用いるべきではない。
        一人一人、順番に殺していかねばならない。丁度、そう、英国のあの、あまりに有名な女流作家が構築したプロットのように――じわじわと一人ずつ。そうして彼らに思い知らせてやるのだ。死というものの苦しみを、悲しみを、痛みを、恐怖を。

        九州大分県のある港から、五キロ離れた、孤島に向かう一艘の漁船。
        向かう先に見えるのは、断崖絶壁に囲まれた小さな無人島「角島」。
        狭い入り江に降り立つ、大分県にある大学の、ミステリ研究会のメンバーたち。
        漁船は、彼らを降ろして本土へと戻っていく。
        次に島に迎えが来るのは、一週間後…。

        彼らの目的は、この島に建てられた「十角館」に泊まること。
        この地では、半年前に凄惨な殺人事件が起こっていた。
        殺されていたのは、この島の元の持ち主であり、有名な建築家の男、そして男の妻と、使用人夫妻。
        男の妻は、手首から先を切り落とされており、それは、未だ見つかってはいない。
        そして、そこにはもう一人、庭師の男がいたとされるが、男の消息は不明のまま…。

        偶然、この島を手に入れた、あるメンバーの叔父の計らいで、彼らは、風変わりな建築家の設計した、この館に泊まれる運びとなっていた。
        過去の事件に対する好奇心、漠然としたスリル、彼らにとっては、ちょっとした冒険旅行、のはずだった。

        この島に滞在する、ミステリ研究会のメンバーは「エラリイ」「カー」「ルルウ」「ヴァン」「ポウ」「アガサ」「オルツィ」の男女七人。
        会の伝統に従い、彼らは仲間内ではお互い、著名なミステリ作家たちの名前から由来した、ニックネームで呼び合っている。

        彼らが足を踏み入れた館、そこは十角形の建物に、十角形のホール、十角形のテーブル、十角形の天窓、十角形の灰皿、十角形のカップ…何から何まで、十角形の形に取り囲まれていた。
        そして、メンバー達七人には、それぞれ一部屋ずつがあてがわれ、それぞれが自由気ままに、この一週間を楽しむ予定だった。

        そのころ、本土では、ある事情からミステリ研究会から離脱することになった、ある男に届けられた、死者からの一通の手紙を元に、角島で起きた半年前の殺人事件についての、新事実が浮かび上がってきていた。
        あの男は、生きているのではないか…。

        そして、島に到着して三日目の朝、十角館で起きた、最初の殺人事件。
        メンバーの一人が絞殺され、手首から先が失われていた。
        そして、その夜起こるもう一人の、殺人事件。
        まるで、アカザ・クリスティの小説さながらに、次々と殺されていく彼ら。

        いったい誰が、何故、彼らをここに呼び寄せたのか…。
        彼らは、何をしたのか…。


        綾辻さんのデビュー作だったのですね、これ。
        綾辻さんの本との出会いは、十数年前に、扁桃腺手術のため(たかが扁桃腺、なのに全身麻酔までして、おおげさな…)入院していたときの、友達の差し入れからだったことを思い出した…。
        その時の本は『フリークス』という、ホラーみたいな中編集だったけど、それからすっかり、綾辻さんにはまってしまった。

        なかでも、これは特に気に入っていて、最後に彼らの本名を聞いたとき、心底「えっ?」っとおののいたのを覚えてる。
        ものすごく驚かされて、納得させられて、感心させられて…。
        周りの人に「これ、絶対面白いから読んで」と薦めて回った。

        昔読んだ本を見ると、その本を読んだ当時のことが、すぐさま思い出されるから面白い、と思う(昔の歌を聞いても、そうなんだけど)。

        なので、思い出深くて、捨てられなくて、どんどん部屋が本だらけになってしまうんだけど…。
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          『最後の記憶』綾辻行人

          最後の記憶
          最後の記憶
          綾辻 行人 2006年 角川書店
          ★★★★★
          僕が「僕」でなくなってしまうこと。僕という人間を形成する記憶が否応なく失われていくこと。今ここでものを考えているこの僕の意識自体が崩れ果ててしまうこと。―そういった事態を想像すると僕は、それこそ我を忘れて喚きだしたくなるような恐怖に憑かれる。手や足を失うよりも、視覚や聴覚を失うよりも……どんな苦難よりも、僕には怖い、恐ろしい。

          美しく、優しかった母親…。
          ある病にかかり息子の「僕」のことも、判別できなくなっている母。
          彼女は、起きている間中、遥か昔の子供の頃の記憶のみを思い出し、恐怖につきまとわれ、稲光の閃光におののき、「ある音」に、激しく反応し、喚き、叫ぶ。
          入院中の母親の、そんな様子を見るのが怖くて、病院からも足が遠のく「僕」。

          それでも、兄や妹の手前、仕方なく見舞った病院の帰り、横切った公園で突然目に入ってきた、子供の惨殺死体…。
          彼には、そこに辿りつくまでの、記憶が、ない。

          母親の病が、遺伝性のものなのかもしれないと考える彼は、母親の、その母親もまた同じ病で死に至ったことを知り、この先自分に訪れる恐怖に耐え切れず、何もかもなげやりになっていた。
          子どもの頃からの夢だった、大学での研究も途中で投げ出したまま…。

          そんなとき、偶然出会った昔の同級生の「ゆい」
          彼女の導きによって「僕」は、母親の「恐怖の記憶」と、それに纏わる出世の秘密を知るため、母親の生まれた故郷を訪れるのだが、そこでも起こる、子供の連続惨殺事件…。

          彼は、何をしたのか…。


          高校生の頃、私は「死」についてよく考えていた。
          死んだら、今こうやって考えている、目に見えない「心」みたいなものは、どうなってしまうのか、肉体の消滅は理解できても、目に見えない、記憶や、感情みたいなものの消滅は、結局、どう理解して良いのかわからないまま…。

          でも、どんどん歳を取るにつれ、確かに日々記憶力が衰えていくことを実感すると、何となく、死んだら「無」になる、ような気がしてきた。
          何もかもが…。それで良いのだと近頃は思う。
          楽しかったことも、辛かったことも、全部全部、生きている今だけの記憶なんだと思う。
          なので、できれば毎日楽しいことがあった方が良い、と思う。

          「綾辻さんは、人間が描けない」みたいなことを、随分と昔、どこかで読んだ気がするけど、ここに出てくる「唯」や、叔父さんの家族や、彼らの暖かさは、とても伝わってきた気がする…。
          母親の母親、の冷たさも、理解できる。

          でも、ホラー?
          うーん…。

          いつも行く本屋さんの新刊コーナーに積んであったので「綾辻さんの新刊!」とよく見もせずに買い求め、家に帰って、中をぺらぺらめくってみて、「バッタ」で、思い出した…。

          四年ほど前に、確かに読んだ…。
          またやってしまった。

          私の本棚には、『パタリロ』の75巻が3冊もある。
          こうやって人は記憶を失くして、どんどん楽になっていく、ような気が…。
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