スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

0
    • -
    • -
    • -
    • by スポンサードリンク

    『映画篇』金城一紀

    映画篇
    映画篇
    金城 一紀 2007/7/30 集英社 P.363 ¥1,470
    ★★★★★
    でも、何よりも大切なことを話そうとすると、いつだって言葉は僕の口をすり抜け、音にならないままどこかに消えてしまう。僕はいつでも拙い話し方のせいで大切な言葉がうまく伝わらずに、にせものの響きが宿ってしまうのを恐れた。そんな臆病な僕が、一度だって龍一を救えたはずはなかった。誰よりも身近で、誰よりも最初に救わなくてはいけない存在だったはずなのに。             〜『太陽がいっぱい』より〜

    デビュー小説が映画化されることになり、撮影現場を訪れた原作者の「僕」は、そこで撮影スタッフとして働く、懐かしい同級生と再会することに。
    特別に親しい間柄ではなかったその女性に、一番聞きたかったこと「龍一はどうしてる」の言葉を言えずにいた「僕」。
    そんな「僕」に彼女がぜひとも渡したいというのは、かつて「龍一」にやったはずの「ブルース・リー」のブロマイド。
    奇妙な縁で繋がった中学生の頃、一緒に映画を見倒し、夜が更けるまで川辺で感想を熱く語り合った「龍一」との過去と、疎遠になってしまった、それからと…『太陽がいっぱい』

    理由も分からず夫が自殺した後、マンションの一室に引き篭もり電話線も抜いたままにしていた「わたし」が、心配のあまり手紙を寄越した母親に促され電話線を繋ぐとすぐにかかってきたのは、ずっと掛け続けていたという、レンタルビデオ店からの督促の電話。
    夫が自殺したその日に借りてきたビデオを返却するために数ヶ月ぶりに外に出た「わたし」に、アルバイトの店員が渡してくれたのは、彼のお薦めだというコメディ映画。
    その日から、「わたし」はビデオ店に通うようになり…『ドラゴン怒りの鉄拳』

    初めて会話を交わした日を境に学校に来なくなった、「席が隣なだけ」だったはずのクラスメイトから突然映画に誘われた「ぼく」。
    その日は彼女の誕生日だと打ち明けられ、そして彼女の父親から大金を強奪するという計画を打ち明けられた「ぼく」は、「ぼく」自身のために彼女の計画に乗ることに…『恋のためらい/フランキーとジョニーもしくは トゥルー・ロマンス』

    夏休みの自由研究用の映画を借りに出かけたレンタルビデオ店の前で、クラスのいじめっ子たちに取り囲まれた小学生の「ぼく」を救ってくれたのは、全身黒ずくめの女ライダー。
    映画の主人公のような女性を想像した「ぼく」の前でヘルメットの中から現れたのは、真ん丸えびす顔でパンチパーマの、中年のおばちゃんライダー…『ペイルライダー』

    60年連れ添った連れ合いに先立たれた後、息子にも先に逝かれてしまい、すっかり「だいじょうぶオーラ」を失くしてしまった「ぼく」たち五人の孫の大切なおばあちゃん。
    おじいちゃんの一周忌の法要に集まった「ぼく」たち五人は、「ぼく」たちの避難場所的隠れ家でもあるおばあちゃんの家の存続を守るために、おばあちゃんに元気を取り戻してもらおうと、おばあちゃんとおじいちゃんの楽しかった思い出を蘇らせるという計画を立てるのだが…『愛の泉』

    「友情、正義、ロマンス、復讐、
     そして、
    笑いと感動――。
    五つの物語の力が、あなたを救う。現実よ、物語の力にひれ伏せ。
     金城一紀の最高傑作
     今すぐ映画が見たくなる。今すぐ誰かに読ませたくなる。笑いと涙と感動が詰まった完全無欠のエンターテイメント!」だ、そうで。


    8月31日に区民会館大ホールで上映される、入場無料の『ローマの休日』というのが物語のキーワードというか、それを軸にそれぞれの物語がうまく繋がっていて、最後に「あ〜、そういうことか…」と。
    そしてまた、最後の最後のオチがなんとも良くて…。

    金城さんとは同年代だから、ここに出てくる映画の多くは「懐かしい〜」と思わず声に出してしまうほど懐かしくて、忘れてた記憶も蘇ってきて、ついでにその頃の感傷に耽ったりなんかして、読むのにものすごく時間がかかってしまった。

    初めて見た映画とか、初めてデートで行った映画とか、大好きだった映画とか、大好きだった俳優さん(特に、スティーブ・マックィーンとか、リバー・フェニックス!)とか、とにかくいろんな「映画」に纏わるあらゆることどもが頭をぐるぐる巡って、脳みそがパンクしそうなくらいに、一気に色んなこと思い出せたというか(最近記憶力が乏しくなってるなぁと実感していたので、余計に嬉しくなってしまって…)。

    お話の方は、最初の『太陽がいっぱい』(アラン・ドロンと言えば当時の男前の代名詞みたいなもんだったなぁと…)の友情物語は、金城さん自身の話なのかな?と思える話で、良い意味で裏切られたし、『ドラゴン怒りの鉄拳』(子供の頃、自家製ヌンチャク作って振りまわしてたなぁと…)の10代の頃のような恋愛の始まりもちょっと可愛くて良かったし。

    『恋のためらい/フランキーとジョニーもしくは トゥルー・ロマンス』と『ペイルライダー』(大好きなクリント・イーストウッドが、うちの父親と同い年と知って愕然としたなぁとか…)は、話の途中から意外と重い話になって愕然としてしまった。

    そして何といってもラストの『愛の泉』のおばあちゃんとおじいちゃんのエピソードがすごーーーーく好き。
    おばあちゃん思いの孫達も良いし、孫からこんだけ慕われるおばあちゃんのキャラも良いし、60年連れ添っても、おじいちゃんを好きでい続けるおばあちゃんが本当に可愛くて、私もこうありたいと心から思ってしまった。

    「アホアホパワー」のケン坊はじめ、五人の孫のキャラも良いし。

    そして『ローマの休日』、これはもう何十回と見ても全く飽きないし、面白いし、オードリ・ヘップバーンは可愛いし綺麗だし、グレゴリー・ペック(うちの母親の理想の男性だったそうで…)は渋いし、男前だし…こんなに美しくて切ない映画は後にも先にも見たことないかも。

    アン王女の記者会見での「ローマ」の言葉…ここでは拍手喝さいだったけど、私はいつもここで涙がどっと出てしまったりするし…。
    思い出しても、やっぱりものすごく切ない……本当に切ない…。

    唯一、どのお話の中でもクソみそに言われていたくだらないフランス映画、てっきり『エマニエル夫人』かと思ったら、そうではないみたいだし、うーん、それもとても気になる…。
    0

      『対話篇』金城一紀

      対話篇
      対話篇
      金城 一紀 2003年 講談社 P.221
      ★★★★★
      いつか、僕は大切な人に出会うだろう。そして、その人を生かし続けるために、その手を決して離しはしない。そう、たとえ、ライオンが襲いかかってきたとしても。
       結局のところ、大切な人の手を探し求め、握り続けるためだけに、僕たちはうすのろな時間をどうにか生きてる。
       ねぇ、そうは思わないかい?       〜『恋愛小説』より〜

      《透明人間》と、呼ばれるほど存在感の薄かったクラスメイトと「僕」との対話。
      初めて会話らしい会話を交わした「僕」を家に招きいれ、彼が語ったのは、彼に与えられた、悲しい運命について…。そのために、両親も、友達も失ったという彼は、恋をして、初めて運命に逆らおうとしたのだと言う…『恋愛小説』

      病に冒され、病院のベッドにしばりつけられたままの「僕」と、見舞いに訪れた、クラスメイトらしき男、「K」との対話。
      「死ぬ前に殺さなきゃいけない奴がいる」と考えた「僕」は、「K」に、病院から抜け出す計画を手伝ってくれないかと懇願するのだが…『永遠の円環』

      現実から逃げるように、手術を受けることを躊躇う「僕」が、かつては理想に燃えていたという老弁護士と、鹿児島にあるホスピスまでドライブをすることになった車中での対話。
      長い歳月を費やし、冤罪事件の無罪判決を勝ち取ったばかりの老弁護士は、亡くした妻との記憶を呼び起こすため、思い出に残る新婚旅行の行程を辿りたいのだという…『花』

      まるで、そこだけ世界から切り離されたみたいな、たった二人きりの穏やかで静かな対話で紡がれる3篇から成る中、短編集。


      「彼女のためなら命を投げ出してもかまわない」という言葉、とてもシンプルで分かりやすくて好き。

      「本当に愛する人ができたら、絶対にその人の手を離しては駄目だ。……」というのも。

      「いくら親しい人がいたとしても、会わなくなったらその人は死んじゃうのよ」というのも、すごく良くわかる。

      装丁のシンプルさも。扉画の忘れな草(だと思う)も…。
      やっぱり何もかもがいい。

      特に心に沁みたのは『花』の老弁護士と妻との、離れて暮らしていた28年の歳月のこと。
      「ばかだなぁ…」と、本当に何だかやるせなくなってしまった。
      すごく切なくなってしまう。

      恋愛とはしばらく遠のいていたけど、もう一度、誰かを好きになりたいと、この本を読んで、そう思ってしまった。

      『恋愛小説』と『花』は、DVDになってるみたいなので是非見てみたい。

      に、しても『SPEED』に出てきた家庭教師の彩子さん(だと思う)が出てきたのに驚いた(こっちの方が先だから、ここからあの物語が生まれたのかな)。
      谷村教授って…良くわからない人だ…。
      0

        『GO』金城一紀

        GO
        GO
        金城 一紀 2003年 講談社文庫
        ★★★★★
        僕は、教室の隅のほうへと避難している宮本の背中から、僕に向かってきている挑戦者に視線を移した。そして、今日はどんな決め台詞を吐こうか考えていた。オヤジから教わった、あの言葉がいいかもしれない。
        「ノ・ソイ・コレアーノ、ニ・ソイ・ハポネス、ジョ・ソイ・デサライガード(俺は朝鮮人でも、日本人でもない、ただの根無し草だ)」
        それに、決めた。

        「僕」が14歳の時、正月の特番の旅番組を見ていた「オヤジ」が「ハワイ…」とつぶやいた。
        ハワイに行くために「僕」は、それまでの朝鮮籍から、韓国籍に変えられた。
        だけど「僕」自身は、何も変わらない…。
        「僕」は、日本で生まれ、日本で育った。

        そして「僕」は、ハワイ行きはお断りさせていただき、代わりにその旅費で、日本の高校を受験することにした。
        首尾よく入学した高校は偏差値が卵の白身部分のカロリー数ぐらいしかない私立の男子校。
        猛者たちの集まる中、「はく」を付けるため、最初に「僕」に挑んできたのは、暴力団幹部の父親をバックに持つ加藤。
        勝負は呆気なく決まり、それ以来、何故か加藤の父親に気に入られてしまう。
        そして、呼ばれた加藤の豪勢なバースディパーティーで「僕」は、めちゃくちゃ可愛い日本人の女の子と出会い、恋に落ちた…。


        「軽快なテンポとさわやかな筆致で差別や国境を一蹴する、感動の青春恋愛小説。」だ、そうです。
        ここに描かれているのは、まぎれもなく「青春」と「恋愛」の物語だと思った。
        そして、めちゃくちゃ面白い。

        まず、還暦間際なのに、高校生の息子に喧嘩で勝ってしまう、元ボクサーの「オヤジ」がすごくいい。
        たった独りで色んなことと闘う姿が、ものすごく恰好いい。
        「ハワイ」を口実に使うところも、独学で色んなことに精通しているのも、とにかく尊敬する。

        そして、「僕」の友達の話。
        民族系の学校から日本の高校を受験する際、いろいろないじめにあった「僕」を支えてくれた、小説を読むのが大好きな、勇敢な、友達。
        この悲劇は、本当に哀しくて、悔しい…。
        だけど、これが現実なのだと思う。

        彼の台詞「独りで黙々と小説を読んでる人間は、集会に集まっている百人の人間に匹敵する力を持ってる」「そういう人間が増えたら、世界はよくなる」というのが、すごく好きになった。本当にそうならいいなぁと思う。

        「僕」と彼女のデートは、何だか遥か遠い昔を思い出して、ちょっとわくわくした。
        こんなデート、したかったなぁとも思う。
        きっと大人にはできない。できるのかもしれないけど、多分もうできないだろうなぁと思う。

        彼女に「僕」が自分のことを打ち明ける場面は、少し緊張した。
        同じような告白、実際に私の過去にもあるから、重ねてしまった。
        普通に知り合って、普通に恋愛をして、そこにいつ「実は僕の国籍は…」という隙があるんだろう、と思ってしまう。
        僕が緑色の肌を持っていたら良かった…という「僕」の気持ちは良くわかるけど…。
        多分、それでも好きになる相手は、好きになるし、ずれが生じてくれば、普通に日本人同士と同じように、別れていくのだと、ただそれだけのことだと、思うんだけど。

        前に映画を見たけど、多分、結構そのまんまだった記憶がある。
        電車の前走ってたの、こういうことだったのか…と、いまさら分かった。
        読み終わった後、また映画の方も見てみたくなった。
        お父さん役、誰だっけかな?

        忘れてる自分が、ものすごく悔しい。
        公園みたいなとこで、二人で殴り合ってたシーンは記憶にあるんだけど…。
        0

          『SPEED』金城一紀

          SPEED
          SPEED
          金城 一紀 2005年 角川書店
          ★★★★★
          俺がどうしたいかじゃなくて、おまえがどうしたいかだ。自分から逃げようとするな

          少女マンガのキスシーンごときが問題になるような、とある有名お嬢様学校に通う女子高生。
          一流会社に勤めるパパと、とっかえひっかえ優雅な趣味に没頭するママを持つ、裕福な家庭に育った世間知らずの女子高生。
          そんな何不自由ない環境で育った彼女の、大好きだった家庭教師のおねーさんが突然この世からいなくなってしまった…。
          彼女との約束を果たさないまま。

          「ある証拠」から、家庭教師の自殺に、どうしても納得できない彼女は、真相を探ろうとし、危険な目に遭いそうになるのだが…。
          そんな彼女の「救世主」として登場したのが、「ゾンビーズ」の面々。

          進学校の激戦区、新宿区にぽつんと存在するオチコボレ男子高。
          脳死と判定される血圧値ぐらいしかない、偏差値。
          生ける屍、に近い存在。
          殺しても、死にそうにない「ゾンビ」と呼ばれていたことから、命名された彼ら「ザ・ゾンビーズ」

          そして、彼らとの出会いから、彼女の生まれて初めての冒険譚が始まる。


          今回は、南方がいつも「抱かれてもいい」と思うほど、男から見ても、ほれぼれする、日本人とフィリピン人のハーフ(フィリピン人の母は、スペイン人と中国人のハーフ)という四カ国分のDNAを保有する超ハンサムな、アギーが主として活躍する。もちろん、大好きな朴舜臣もたくさん出てくる。

          「救世主」として登場する場面での、その動きだけでも誰が誰だか、よく分かる。
          やっぱりヒキの弱い山下は、山下だ。爆笑してしまった…。
          自己紹介の場面でも…。

          山下をスペインの牛追い祭りに連れて行く計画は、ぜひとも次回に書いてもらいたい。

          彼らは、よく空を見上げる。飛行機を見つめる。
          空の向こうに、ヒロシがいるみたいに…。

          ヒロシを思って、山下が「ひっくひっく」しゃくりあげる場面では、私も泣かされた…。
          アギーの台詞のひとつひとつも、深い…。

          南方の台詞「俺たちはいまだにどうやって世界を作り直せばいいのかなんて分かってないけど、とりあえず正しいと思うことをしながら、ほんの少しずつでもまえに進んでいきたいんだ。」南方らしくて、素晴らしい…。

          何故こんなに「ゾンビーズ」に惹かれてしまうのか…。
          作者の年齢を見て、ちょっと納得。
          同じ時代、同じ空気を、たぶん吸って生きてきたからかもしれない。
          だから、台詞のひとつひとつがものすごく真っ直ぐに心に、くる。
          大げさでなく、魂が揺さぶられてしまう…。

          文科省のいう「生きるちから」を本当に考えるのなら『ゾンビーズ』の本を教科書で取り上げてもらいたいぐらい…。

          にしても、「スケキヨ」って…。
          また、つぼにはまってしまった。
          0

            『レヴォリューションNo.3』金城一紀

            レヴォリューション No.3
            レヴォリューション No.3
            金城 一紀 2005年 角川書店
            ★★★★★

            遠くに行っちゃった人間はズルいね。残ったほうの人間に自分が悪いみたいに思わせる。でもね、踏みとどまってファイトする人間が本当のヒーローになれるのよ。人間、生きててナンボよ

            進学校の激戦区、新宿区にぽつんと存在するオチコボレ男子高。
            脳死と判定される血圧値ぐらいしかない、偏差値。
            生ける屍、に近い存在。
            殺しても、死にそうにない。
            彼らのことを、人々は「ゾンビ」と呼ぶ。

            そんなオチコボレ男子高に通う彼らが、生物教諭の発案をもとに、「勉強できる奴らののさばる社会」を改革するため「新しい遺伝子の創造」を夢見て、ある壮大な計画をたてる。

            その計画を聞きつけて、自然発生的に集まったメンバー達で結成された『ザ・ゾンビーズ』
            彼らはどういうわけか、そろいもそろって携帯電話とカラオケと巨人軍が嫌いだった。

            結成されて一年目、彼らが立てた計画は《出前作戦》
            二年目の計画は、名付けて《ええじゃないか作戦》
            そして三年目の今年、実質的なリーダー、板良敷が病に倒れてしまい、僕こと、南方に、代役が回ってきた…。
            そして、彼らの「ちょっとした」冒険譚がはじまるのだが…『レヴォリューション癸魁

            そして、表題作の次のお話は…
            三年目の計画を無事に終えた彼らには、どうしても沖縄に行かなければならない理由があった。
            そして沖縄行きを計画し、アルバイトをして旅行代金を捻出するメンバーたち。
            せっかく集まった旅行代金を、よりにもよって、メンバーいち、ヒキの弱い山下の「信金王になりたい」という夢のために、山下一人に預けてしまったばっかりに、彼らはまた「ちょっとした」ハプニングに巻き込まれることになる…『ラン、ボーイズ、ラン』

            最後の『異教徒たちの踊り』は、時間を巻き戻して、前の二作よりもちょっと前の話…。
            南方にある日かかってきた電話は、メンバーの一人、井上からの、ある依頼。
            「美女が命をねらわれている」の一言で、ほいほい出向いた南方は、ある事件に巻き込まれ、命の危険にさらされる…。
            そして、彼らの犯人探しが始まるのだが…。


            『異教徒たちの踊り』で、板良敷が話してくれる昔話。
            『ザ・ゾンビーズ』の産みの親ともいうべき生物教諭、ドクター・モローの「子供を作らない」理由。
            アギーが南方に「どうして、おまえみたいな奴が高校になんか来てんだ?」と聞かれて答えた台詞。

            何から何まで、感動させられっぱなし…。

            しかも、山下の生まれながらのヒキの弱さの理由も…わかったような…。
            なるほど、ダミアンの生まれ変わりかも…か。
            南方がいつも「抱かれてもいい」と思うほど、男からみても女からみても魅力的なアギーのことも…。
            沖縄生まれの、板良敷のことも…。
            そして、大好きな朴舜臣のことも。
            南方が、この学校に来た理由も。
            全てが、この一冊に凝縮されてて。

            重くて、深くて、そのうえ面白い。

            本当にいそうな気がする『ザ・ゾンビーズ』
            いたらいいのに『ザ・ゾンビーズ』

            この本は絶対人には貸さない。
            ぐらい、大切になると思う…。

            おまけに、角川の装丁もやっぱり、いい。
            朴舜臣、なんだかブルース・リーみたいだな…。
            0

              『フライ,ダディ,フライ』金城一紀

              フライ、ダディ、フライ
              フライ、ダディ、フライ
              金城 一紀 2005年 角川書店
              ★★★★

              どんな人間だって、闘うときは孤独なんだ。だから、孤独であることさえ想像するんだ。それに、不安や悩みを抱えていない人間は、努力していない人間だよ。本当に強くなりたかったら、孤独や不安や悩みをねじ伏せる方法を想像して、学んでいくんだ。自分でな。『高いところへは他人によって運ばれてはならない。ひとの背中や頭に乗ってはならない』

              47歳、今以上のポストへの昇進などありえない、しがないサラリーマンの男。
              男の自慢は、愛する妻と、街を歩けばモデルにスカウトされるほど美しく育った17歳の娘。
              そして娘は、男の夢そのものだった。
              命にかえても惜しくないほど…。

              そんな娘をいきなり襲った悲劇。
              街で知り合った見知らぬ男と、諍いを起こし、病院に運ばれるほど殴りつけられたのだという。
              駆け付けた病院で待ち受けていたのは、事件を起こした当事者の少年と、その関係者たち。
              彼らは有名人である加害者の少年の事件をもみ消そうと、男に話をもちかける。
              ただ黙ってその場に立ち尽くすしかなかった男は、娘を守ってやれなかった自分のふがいなさに、娘にふるわれた暴力の理不尽さに、眠れない夜を過ごす。
              あくる日も、その次の日も…。
              そして男は包丁を持ち出し、加害者である少年の高校へ乗り込むのだが…。
              ひょんなことから、5人の落ちこぼれ高校生達と出会い、その日から男のひと夏の冒険譚が始まった…。

              男に闘い方を教えてくれることになるのは、朴君とその仲間たち、いわゆる落ちこぼれといわれる高校生達。
              彼らには、男の闘いを応援するに値するほどのメリットがあったのだが、それはおいといて…。

              「通りすがり」さんのブログで紹介されていた『レヴォリューション癸魁戮なかったので、その2作目の、こっちを先に読んでみた。

              笑おうと思って、読み始めたら、泣ける、泣ける…。
              朴君の、背負っているものの大きさや、その強さの裏側にあるもの…。
              考えさせられるし、ただ読むだけでも、文章が流れるように読みやすくて、頭に入りやすくて、想像しやすくて、すごくいい。
              4人のメンバーが面白くて、優しくて…朴君を信頼していて…。
              携帯を持たなくても、ちゃんと繋がっていられる関係が、いい。
              何より、武器を持たずに正々堂々(?)と、正面から闘いを挑もうとするその姿勢が、すごくいい。
              角川版の装丁もすごくいい。

              「ゾンビーズシリーズ」も、他のも、全部読んでみたくなった…。



              0

                1

                calendar

                S M T W T F S
                 123456
                78910111213
                14151617181920
                21222324252627
                28293031   
                << May 2017 >>

                読書メーター

                uririnの最近読んだ本 uririnの今読んでる本

                新刊チェック

                selected entries

                categories

                archives

                recent comment

                • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
                  uririn
                • 『痺れる』沼田まほかる
                  uririn
                • 『絶望ノート』歌野晶午
                  uririn
                • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
                  いちれん
                • 『痺れる』沼田まほかる
                  くり
                • 『絶望ノート』歌野晶午
                  智広
                • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
                  uririn
                • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
                  苗坊
                • 『永遠の0』百田尚樹
                  uririn
                • 『永遠の0』百田尚樹
                  苗坊

                recent trackback

                recommend

                recommend

                recommend

                recommend

                recommend

                recommend

                悪人
                悪人 (JUGEMレビュー »)
                吉田 修一
                読み終わった後も余韻に浸りたくなるような…これは、すごい。

                recommend

                しずく
                しずく (JUGEMレビュー »)
                西 加奈子
                サイン本買っちゃった。

                recommend

                recommend

                たぶん最後の御挨拶
                たぶん最後の御挨拶 (JUGEMレビュー »)
                東野 圭吾
                猫なんです…。

                recommend

                recommend

                recommend

                ねこの肉球 完全版
                ねこの肉球 完全版 (JUGEMレビュー »)
                荒川 千尋,板東 寛司
                たまらん。

                recommend

                ニャ夢ウェイ
                ニャ夢ウェイ (JUGEMレビュー »)
                松尾 スズキ, 河井 克夫
                たまらん…

                recommend

                recommend

                僕たちの戦争
                僕たちの戦争 (JUGEMレビュー »)
                荻原 浩
                とにかくお薦め。

                recommend

                出口のない海
                出口のない海 (JUGEMレビュー »)
                横山 秀夫
                たくさんの人に読んでほしい…

                links

                profile

                search this site.

                others

                mobile

                qrcode

                powered

                みんなのブログポータル JUGEM

                使用素材のHP

                Night on the Planet フリー素材*ヒバナ *  *

                PR