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    『魔球』東野圭吾

    魔球
    魔球
    東野 圭吾 1991年 講談社文庫 P.319
    ★★★★★
    「俺は、将来これで食っていけるように野球をしているんだ。おまえ、うちの家が貧乏だってことわかるだろ?グローブだって高いんだ。遊びで野球やれるほど金持ちじゃないんだよ。なあ勇樹。おまえ、頭がいいだろ。頭で稼げればそれが一番いいんだよ。おまえは勉強して偉い人になれよ。俺はプロの選手になるからさ。二人でお袋に楽をさせてやろうぜ。」

    プロのスカウトから、二十年に一人の逸材と言われ、天才投手の名をほしいままにし、地元ではその名を知らぬ者などいないという兄、武志。

    武志の存在は、一つ違いの弟の勇樹にとって、誇りであり、また、勇樹は、武志の血の滲むような努力を目の当たりにし、自分自身が兄から分担された役割を、まだ消化していないことに焦りを感じてもいた。

    昭和39年、春の選抜高校野球、甲子園のマウンドに立つ須藤武志。

    一点差でリードしていた九回裏、味方のエラーにより、二死満塁、一打逆転のピンチに陥り、今大会最強の四番打者をバッター・ボックスに迎えた武志には、ある予感めいたものがあった。
    武志が精神の全てを込め、投げた運命の一球…。

    そして大会後間もなく、捕手の北岡が、犬の散歩中に愛犬もろとも刺殺されるという残虐な事件が起こり、監督の森川や、野球部のメンバーたちにも疑いの目は向けられる。

    主将でもあった北岡の死を悼むでもなく「スター選手はいらない」と、馴れ合いの練習を再開するチームメイトをよそに、黙々と二年生を相手に、投球練習を続ける武志。
    そんな武志の様子を見守る、控え投手の田島。

    ある朝、早朝の受験勉強に励んでいた田島の元に、かかってきた電話は、控え投手に甘んじていた田島が「ものすごいやつ」と認めていた、天才投手の武志が殺されたという報せだった。

    愛犬と共に殺された北岡に続き、右腕を奪い取られた死体で発見された武志。

    不可解な連続殺人事件と、春の選抜高校野球が行われていた頃、ある企業内で起こっていた爆弾騒動。

    二つの事件が、一人の男によって結びついた時、あまりにも悲しい真実が語られていく…。

    「高校生活最後の暗転と永遠の純情を描いた青春推理小説」だ、そうな。


    最初、なんで設定が昭和39年なんだろう…と思ったけど、最後で納得した。
    そこに描かれている計り知れない「愛情」と言うか、「恩返し」と言うか…。
    今の世の中では、なくなりつつある情のようなものが、ここに込められているような。

    周囲の目から語られる「武志」という男は、天才であり、孤独であり、冷静であり、冷徹であり、残酷であり…様々な彼の一面を覗かせる。
    けれど、母親への思いだけは一貫して、とても優しい。

    自らに与えられた役割を必死で果たそうとした、武志が投げた最後の一球は、紛れもなく「魔球」だったと思いたい。

    「魔球」と言えば、『侍ジャイアンツ』に出てくる「大回転魔球」とか、「えびぞりハイジャンプ」(違ったかな?)とか、子供の頃わくわくしながら、こんなの本当にあったらいいなぁと思ってたけど…あの頃は「魔球」ブームだったのかな?

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      『11文字の殺人』東野圭吾

      11文字の殺人
      11文字の殺人
      11文字の殺人
      東野 圭吾 1990年 光文社文庫
      ★★★★★
      『無人島より殺意をこめて』――これだけだった。そして、これがすべてだった。

      「命を狙われている」
      バーのカウンターで、バーボンを飲みながら、冗談のように彼が言った。
      彼には、思い当たることがあるという。
      「命を狙われたとして、心当たりが全くないと断言できる人間なんているのかな…」と。
      「あたし」がその夜、最後に聞いたのは「気が小さいのさ」という彼の言葉…。

      そして「あたし」の恋人は殺された。
      それもただの殺され方ではなく、最後にはまるでゴミのように、東京湾に捨てられていたという。

      「あたし」と彼を引き合わせたのは、推理作家である「あたし」の担当編集者であり親友でもある女。
      彼とは「大人同士」の付き合いを続けて、二ヶ月が過ぎていた。
      その間、二人で旅行もしたし、結婚の話が出ても、おかしくはなかった。
      けれど葬儀の席で、彼の仕事関係の人達の話を聞くうちに「あたし」は彼のことを何一つ知らなかったのだと、思い知らされる。

      そして、遺品の中から、彼のスケジュール帳を形見として分けてもらった「あたし」は、そこに書いてある不思議な記述に違和感を覚え、そこに記された人物に会ってみるため、各方面に顔のきく、親友に助けを求める。
      親友は言う「少し意外よ。あなたがそんなふうに一生懸命になるなんて」と。
      「あたし」は答える「彼のこと、好きだったのよ」と。

      そして「あたし」と親友は、一年前に起きた、クルーザーの転覆事故に彼が居合わせていたという事実をつきとめる。
      その事故で、一人の男が亡くなっていた事を知り、そのクルーザーに乗り合わせていた全ての人物に、会って話を聞くことにするのだが、誰も彼も何かを隠しているようで、当時の様子を話そうとはしてくれない。

      唯一、事故で亡くなった男の弟だけが口を開く。
      「泳ぎの得意だった兄だけが死んだということがあきらめきれない」と。

      そして、事故当時クルーザーに乗っていた人物が、次々に殺され「あたし」の身にも危険が迫ってくるのだが…。


      あんまし記憶に残っていない作品、というのが正直なところ。
      犯人の動機には、あんまし納得できない、というか、一年前の事故で死んだ男に、ここまでしてやるほどの価値があったのか…。

      そして、その場に居合わせた人達の考えも、あんまり納得できなかったのは、私には別に失って困るものとかが、ないからなのかもしれないけど…。
      そこら辺がこの本に出てくる「価値観」の相違なのかな。

      いくら前から想いを寄せていたとしても、あんな所で、あんな時に、そんなこと考えるものなのかな。

      これは、私が女だから分からないのかもしれないけど…。
      犯人が勿体ないな、と思った。

      そして、ここにもアカザ・クリスティが…無人島が…。
      アガサ・クリスティの映画とかいっぱいやってたの、何十年前だったかな。

      あの「ミステリーナイル」のフレーズだけ、やたらと頭にこびりついてるんだけど…。
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        『放課後』東野圭吾

        放課後
        放課後
        東野 圭吾 1988年 講談社文庫
        ★★★★★
        彼女たちにとって最も大切なものは、美しいもの、純粋なもの、嘘のないものだと思います。それは、時には友情であったり、恋愛であったりします。自分の肉体や顔の場合もあります。いや、もっと抽象的に思い出や夢を大切にしているケースも非常に多いものです。逆に言えばこういう大切なものを破壊しようとするもの、彼女達から奪おうとするものを、最も憎むということになります

        学校というところは分からないことが多すぎる―
        講義とは、単に金をもらう手段としか考えない、とある女子高の数学教諭。
        生徒達からは敬意をもって「マシン」と呼ばれている。
        アーチェリー部の顧問を務める彼には、ある女性徒との、小さな秘密の夜があった。
        その夜、別の部屋で起こっていた、ある小さな事件のことなど何も知らず。

        そんな彼のまわりで、最近起こっている不思議な出来事。
        「誰かが自分を殺そうとしているのではないか」
        彼は、身の危険をひしひしと感じはじめていた。

        そして起こった、第一の事件。
        口うるさい、生徒指導の男性教諭の密室殺人。
        事件は解明されないまま、体育祭の最中に殺された、体育教諭。
        どうやら、その体育教諭は、彼の身代わりに殺されてしまったらしい…。

        彼には、殺意を抱かれるほど、人から恨まれる理由など、思い当たらない。

        意外な動機、意外な犯人…。


        東野さんのデビュー作であり、第31回江戸川乱歩賞受賞作。
        犯人の、動機、に賛否両論あるみたいだけど、どっちのことなんだろう…。

        教育現場で、先生とは違った立場で、長く子供達と接していて、本当に驚くほど、高校生ぐらいの年頃の子達の心はナイーブで、傷付きやすいことを思い知らされた。
        「そんなしょーもないことで?」と、大人なら笑い飛ばせるようなことでも、子供達は、ものすごく必死で、真剣で、本気で…悩みまくる。
        そして、みんな驚くほど、自分以外のもののせいにする。
        自分にも多少の非がある、とは思わないみたい…。
        私も子供の頃は、そうだったのかもしれないなぁと思う。
        もう、忘れてしまっただけで。

        なので、この犯人の動機には、十分納得させられるし、こういうことを動機にした、東野さんの観察力というか、洞察力というか、そういったことに感心させられる。

        もう一つの動機は…伏線はあったけど、あんまり良くわからないかな…。
        ただ、彼の「マシン」というあだ名は、きっとここにも生きているのかな。

        一応、密室とか、トリックもあるけど、それよりもやっぱり犯人の殺人に至る「動機」が、東野さんの作品の一番好きなとこ、かな。

        に、しても、アーチェリーとか、スキージャンプとか、バレエとか…これまで何の興味もなかったようなスポーツのこと、色々と書いてくれるのも、楽しみの一つかも。

        そのうち、セパタクローとか、出てきそう…。
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