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    『最愛』真保裕一

    最愛
    最愛
    真保 裕一 2007/1/20発行 新潮社 P307 ¥1,500
    ★★★★★
    姉さん――。
    今もベッドで横たわる姉に向かって呼びかけたかった。どうしてあなたは、そう自らを追い込むような、人の愛し方しかできないのですか。

    幼い頃、事故で両親を一度に亡くし、別々の親戚の元へ引きとられ、離れ離れになり、運命を分かつこととなる姉と弟。

    思いやりのある義父母や兄たちに囲まれて、優秀な末っ子でいられた弟の悟郎とは反対に、新しい兄姉達から妬まれ、いつしか出来の悪い妹を演じるようになり、伯母の家を出たまま、居場所も分からず音信不通となってしまった姉、千賀子。

    そして親戚中から「厄介者」扱いされる姉を遠ざけたまま、小児科医として病院に勤務している悟郎の元に、ある日警視庁の刑事から、千賀子が意識不明で救急病院に搬送されたという電話が入り、病院に駆けつけた悟郎が18年ぶりの再会を果たすも、意識は戻らず、昏々と眠り続ける、大好きだった姉。

    姉が婚姻届を提出した翌日に、事件に巻き込まれ、病院に運ばれたという事実を知らされ、未だ病院にも姿を現さない、前科のある夫の存在に不信感を抱き、姉の住んでいたアパートへと出向き、部屋を調べることにした悟郎が見つけたのは、ボロボロのアパートには不釣合いな金額が刻まれた預金通帳と、たった8通しか届かなかった年賀状…。

    年賀状の差出人を頼りに、離れ離れに暮らしていた18年間の姉の軌跡を辿るうち、悟郎に見えてきた、姉の真実の愛とは――。

    「愛の内側。
     愛の外側。
     18年ぶりに再会した姉が選んだ夫は、かつて人を殺めた男だった――
     慟哭の長編小説。」だ、そうな。


    何か微妙…。
    久しぶりの真保さんだー!と期待し過ぎてしまったからなのか…ちょっと違和感を感じてしまうというか。

    姉と関わりのあった人達に話を聞くうちに、「姉」という人物像が浮かび上がってくるけど、「いつも力なき者の側に立ち、誰に頼ることもなく、一人で生きてきた人」は、まあ分かるにしても、「姉の愛し方には、一本の太く逞しい信念が貫かれている。」と、弟がそこまで絶賛するような、これが「愛」なのかなと、正直疑問に思ってしまった。

    人通りのある路上で男と殴り合いのケンカをしてたり、何の関係もない店のもめごとに立ち入ったり…そういうのを「強さ」と言うのかな(力は強いのかもしれないけど)?

    なので、「姉」という人にも全く共感できなかったし、ましてや如何なる理由があろうとも、こんな時に姉の側にいてくれない前科のある夫にも、恋人を作っておきながら、無責任な態度の主人公の「弟」にも、誰一人として共感できなかった。

    「姉」が引き取られた伯母の家の兄と姉は、「キャンディ・キャンディ」に出てくるイライザとニールみたいだし。

    終始一貫して何度も出てくる「警察は事が起こらなければ動いてはくれない」というのは分かるけど、だからって…。

    おまけにこの終盤20ページぐらいの、こ、これは…。

    「愛」かなぁ?こういうのが「愛」なら、「愛」っていったい何なんだろう…と、色んな箇所で考えさせられた(誰の「愛」も、残念ながら私には理解できないものばかりで)。

    引用部分の「どうしてあなたは、そう自らを追い込むような、人の愛し方しかできないのですか。」には、自分のこと言われているようで、ぐさっときてしまったけど…。


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      『繋がれた明日』真保裕一

      繋がれた明日
      繋がれた明日
      真保 裕一 2006年 朝日文庫
      ★★★★
      罪を犯したのだから、たとえ刑務所を出たあとも苦しむのは当然だ。そういう見方はあるだろう。おまえらは生きていけるだけでも幸せじゃないか。被害者の家族は、きっと言う。でも、人は苦しみから逃れたい。楽はできずとも、人並みに生きていきたい…。

      19歳の中道隆太は、一人の女をめぐるいさかいから、護身用にと隠し持っていたナイフで相手を刺し殺してしまった。

      殺すつもりはなかった、あいつが先に殴りかかってきたからだ、と彼は必死で訴えた。
      そして彼に下された判決は、短期五年以上長期七年以下の懲役。
      塀の中にいる間、彼は被害者の遺族に花を贈り続けた。
      そうするのが仮釈放への近道だと悟ったからであって、決して被害者ヘの謝罪の気持ちからではなかった…。

      そして6年の刑期を経て、仮釈放となり彼はとりあえずの自由を手に入れる。

      彼には罪を犯してもなお、受け容れてくれる家族も、その仕事以上の気持ちで接してくれる保護司も、そして条件が良いとはいえないまでも、働かせてもらえる職場もあった。

      それでも彼は、自分は運が悪かったのだと、裁判で、彼に不利になるような証言をした相手への恨みごとを口にする。

      更生などしていない。

      そして一見普通の暮らしを手に入れたかのような彼の近辺で、ある日ばら撒かれたビラ。
      そこには「この男は人殺しです」という文字と、昔の彼の写真。
      彼が唯一大切に想う妹の職場にまで…。

      彼は決して赦されてなどいなかった。


      何故だろう。
      読んでいて、彼をあまり憎む気持ちにはならなかった。
      それは、殺された被害者も、彼と同類のつまらないチンピラみたいな男だったからかもしれない。
      もちろん、先に殴られたから刺しただけだ、という彼の理屈にはついていけるはずもなく…。

      物語は彼の視点から淡々と進んでいく。
      あまりにも淡々としていて、逆にリアルな感じがした。
      彼は、昔の彼女に会いたいだとか、嘘の証言をした相手を探したいだとか、本当に自分勝手だ。
      だけど、そこがリアルだ。
      そして「もう、そんなことするな、相手の気持ちを考えろ」と何度も言いたくなった。
      それぐらい物語に入り込んでしまった。
      そして最後のページ。私は、不覚にも泣いてしまった…。

      NHKで先週から放送されているドラマは結構いい。
      何となく昔の「少年ドラマシリーズ」を思い出させるようなセットや、織田裕二主演の「19歳」という大好きだったドラマを思い出させるような…。
      NHKのドラマはシンプルで、原作に忠実なところが好き。

      に、しても山崎裕太君、最近こんな役多いけど「あっぱれさんま大先生」の頃から見ていたから何となく辛いな。
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        奇跡の人

        奇跡の人
        奇跡の人
        真保 裕一 2000年 新潮文庫
        ★★★★★

        交通事故により一度は脳死判定をされかけ、奇跡的に目を覚ました男…。
        彼は病院で「奇跡の人」と呼ばれていた。
        彼は22歳から30歳まで、8年もの間、病院でリハビリ生活を送っていた。
        8年前目覚めた彼のそれからは、赤ん坊からの再出発のようなものだった。
        そして、入院中の彼を暖かく見守り続けてくれた唯一の肉親である母の死後、退院をすすめられ、彼は一人ぼっちでの生活を余儀なくされる。
        母が残してくれた家で、彼の新しい生活は始まる…。
        しかし、家に帰った彼は、ふとしたことから、事故に遭う前、記憶を失くす前の「自分」がいったいどんな人間だったのか、知りたいと願うようになる。
        知り合いがいるかもしれないと、事故に遭う以前、彼と母が住んでいたという住所を調べてみるが、そこには彼らが生活していた形跡は何一つ残されていなかった…。

        自分は一体どんな人間で、何をして、どんな事故に遭ったのか…。
        母はなぜ、住民票を偽ってまで、彼に真実を隠そうとしていたのか。

        母親が守りたかった秘密、それは全て彼の将来を思ってのことだった。
        過去より、未来に目を向けて欲しいと、母は強く願っていたのではないのかな。
        そのための8年間、だったのに…。

        ラストがなぁ…。
        途中までは良かったのに。
        あまりの彼の変貌ぶりというか…、どっちが本当の「彼」だったのかな。




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          『発火点』真保裕一

          発火点
          発火点
          真保 裕一 2005年 講談社文庫
          ★★★★★

          12歳の夏、父親を殺された少年は、父の死の真相を知らされぬまま21歳になった。
          「父親を殺された子供」を見る周囲の好奇の目に抗うように、一人とんがって生きていた。
          手を差し伸べてくれる人の手も振り払って…。
          そして、9年の歳月を経て父を殺した男が仮出所してきたことを雑誌記者から知らされる。
          父を殺したのは父の旧い友人、のはずであった。
          何故父親は友人に殺されなければならなかったのか…。
          これまでの生き方を見つめ直すために、彼は生まれ故郷を訪れる決心をする。
          そして謎が解けたとき、あまりに意外な真相が見えてくる。
          人はこういう理由で人を殺したいと思うほど憎めるものなのか…。

          物語前半の彼の彼女に対する態度はとことんひどかった…。
          読んでて、自分ならここまでされたらどうするかな…と胸が痛くなるほど。
          そして仕事も恋愛も何一つ夢を持たなかった彼は、父親の死の真実を探ることでどんどん成長していく。
          大人とは、こういうものなのだということを突きつけられるというか…。
          ミステリーというより、恋愛小説だったのかな…。

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            『誘拐の果実』真保裕一

            誘拐の果実 (上)誘拐の果実 (下)
            誘拐の果実 (上)
            誘拐の果実 (下)
            真保 裕一 2005年 集英社文庫
            ★★★★★

            とある病院の院長が溺愛する17歳の孫娘が何者かに誘拐された。
            娘の黒髪を切り落として送りつけてきた犯人の要求は、病院がかくまっている政財界の大物患者を殺せというもの。

            苦渋の選択を迫られる院長と、誘拐された娘の父親である婿の副院長が考え抜いた苦肉の策…。

            同じ頃、もう一つの奇妙な誘拐事件が起こる。
            人質となったのは祖父と二人で暮らす19歳の青年。
            彼は赤ん坊の頃にも誘拐事件に巻き込まれていた。

            犯人は青年の指を切り落として叔母夫婦に送りつけ、ある会社の株券を要求してくる…。

            同時期に起こった二つの誘拐の接点とは…。

            途中までぐいぐい引き込まれるように読んだ。
            ただ、最後に明かされる犯人の動機が何となく弱いような気がして、ちょっとがっかり。
            きれいごとすぎるような気が、私にはしてしまった…。
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