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    『風紋』上下 乃南アサ

    評価:
    乃南 アサ
    双葉社
    ¥ 900
    (1996-09-12)
    Amazonランキング: 134382位

    評価:
    乃南 アサ
    双葉社
    ¥ 800
    (1996-09)
    Amazonランキング: 113909位

    父親は一流企業に勤めるごく普通のサラリーマン、長女は2浪中の予備校生、次女は姉も卒業した女子高に通う17歳。
    そして、平凡な専業主婦の母。
    傍目からは、ごく一般的な家庭であったはずの高浜家の平穏は、ある日を境に破られる。
    9月の連休前の土曜日の午後、次女の学校での父母会に参加するために、いつものように車で出かけた母親は、そのまま帰らぬ人となる。
    容疑者として逮捕されたのはかつて長女の担任であった高校教師。
    事件の概要が明らかになるつれ、被害者のはずの家族にも向けられるマスコミや世間の好奇の目。
    そして裁判が始まり、一度は犯行を認めたはずの容疑者は一転無罪を主張する……。
    ある善良な家族の上に降りかかった一つの殺人事件。被害者の遺族、そして加害者の家族がその運命を狂わされていく様を、多感な年頃の少女・真裕子を主人公にして描いた社会派問題作。(内容「MARC」データベースより)
    ここに出てくる高浜家とは家族構成が一緒だし、私も子供の頃はかなりのお母さんっ子だったので、母の死を受け入れられず、裁判が始まってからもなお、犯人を有罪にしてほしいのではなく、ただ母を返して欲しいと、それだけを願い自らも命を絶つことだけを考えて生きる高浜家の次女、真裕子に感情移入しまくってしまった。
    これほど本の世界にのめりこんだのは久しぶりかも(『悪人』以来?)。

    母親を失くしてから、それぞれの思いを持って、バラバラだった家族がかろうじて繋がって、これからを生きていこうとするのに、真裕子だけはいつまでも頑なで、でもその理由も仕方ないし、結局母親のことを一番考えて、一番必要としていたのも真裕子だし、とにかくこの子が痛々しい。

    一方の、ある日突然、殺人者の妻と呼ばれるようになり、それまでの暮らしぶりから一転、坂道を転がるように堕ちていく容疑者の妻、香織の変貌振りは鬼気迫るというか、人間の弱さなのか強さなのか、あまりのイタイ人さ加減に、とにかく凄い人としかいいようがなくて、こちらには全く同情の余地もなく。

    一人の人間が殺されたことによって、周囲に与えた影響はいかばかりか計り知れず、事件そのものを「爆風」と例えられているけれども、関係者たち、そしてそれに付随する人たちをも巻き込んで、爆風による風紋はどこまでも広がり続ける。

    事件が起こって、容疑者が逮捕されて、裁判が始まって、その間の遺された家族の心情や生活が実に表面上は淡々としていて、でもこれからもその人たちは生きていかなければならないのだから、というのがとても丁寧に描かれていて、作り物の小説を読んでいるという感じがしなかった。

    裁判ってお母さんのためにやるんだと思ってた、というようなことを真裕子がつぶやいていたけれど、確かに、裁判によって犯人の罪が確定するだけであって、殺された被害者には何の関係もないのかもしれないと、そんなもので遺された人たちの気持ちがどうなるわけでもないというのが良く分かった気がする。

    これとは全く関係ない本のレビューを見ていて、その中に、『白夜行』『疾走』と並べて『晩鐘』があげられていたので、それはぜひ読んで見たいと思って調べてみたら、『晩鐘』は、『風紋』の続編だということで、とりあえず順番通りにこちらから読んでみたけど、この事件から七年後の彼女たちがどうなっているのか、本当に早く続きが知りたいと思えるほど、1000ページ超えのページ数を感じさせないほど、かなり嵌ってしまった。

    かれこれ17年ほど前に書かれた本らしいけど、今読んでも全く違和感もなく。
    インターネットや携帯電話の普及や人間を取り巻く住環境は時代とともに随分と変わってしまった気がするけど、人間の感情や内面といったものには大した変化がないのだなとつくづく考えさせられてしまった。被害者家族に対する扱いも、現在も全く変わってない気がするし。

    本当に何でこんな凄いの知らなかったんだろうと、今までこの本の存在さえ知らなかったのを悔やまれるけど、考えたら乃南さん、昔々一冊読んで、その印象があんまり良くなかったので他のには手をつけなかったのでした。
    こんなに暗くて重い小説を書く人だったなんて、知らなかった。のは、私だけ?
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