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    『みなさん、さようなら』久保寺健彦

    みなさん、さようなら
    みなさん、さようなら
    久保寺 健彦 2007/11/10発行 幻冬舎 P.332 ¥1,575
    ★★★★★
    団地の中にとどまる限り、危険な外部とは隔たっていられる。しかし、団地は外部と完全に隔絶しているわけではない。三か所の入り口から、外部の猖皚瓩侵入してくる恐れは常にある。同級生たちはいわば、反転した炭坑のカナリアだった。炭坑と外部を行き来する彼らの様子を、おれは鳥かごの中からうかがっていたのだ。

    小学校を卒業すると同時に、中学へは行かないと宣言し、その日から団地の敷地内から一歩たりとも外へ出ない生活を始めた「渡会悟」。

    同じ団地に住むかつての同級生たちが普通に中学校へ行っている間、団地内のコミュニティセンターにある図書室で、本を片っ端から読み漁り、強くなるために身体を鍛え、トレーニングに励む毎日。

    みんなが下校し、団地に帰って来てからは、団地内に住む同級生全員の行動を把握するためのパトロールに専念し、最初は面白がって行動を共にしていた仲間たちが、一人、また一人と脱落してしまう中、一日も欠かすことなくパトロールを続けるものの、そんな悟の行動は、かえって団地の人たちから訝しがられ…。

    そうして悟が団地という限られた空間だけで職を見つけ、恋愛をしていた十数年の間に、かつての同級生たちは次々と団地から外の世界へと飛び出して、悟の前から去って行ってしまい……。

    「団地という限られた世界の中だけで生きようとした少年。だが誰もが彼の前から去ってゆく……。少年が孤独と葛藤に苛まれながらも伸びやかに成長する姿を描く、第一回パピルス新人賞受賞作!」だ、そうで。


    悟が団地から出られなくなってしまった理由があまりにも痛々しすぎて、その理由が分かるまでの前半と、知ってしまってからの印象がガラリと変わってしまった。

    こんなに重い話だったのかと…。

    一年ごとに、かつての同級生達が次々と姿を消していくのを、外の世界へ出て行くのを、どんな気持ちで見送るのかと、結構取り残され派の私にはその辺も痛々しかったかな。

    もちろん、外の世界は楽しいことや良いことばかりじゃなくて、みんなが団地から出て行く理由もさまざまで、そこもまた面白いというか、時の流れの残酷さというか、時代が良く反映されているなぁという感じ。

    外の世界に出なくても、団地の中だけで、こんな風に生きていけるものなのかと感心してしまったけど、そこは一番の理解者である悟の母親の存在や、友達や、悟に関わった多くの人たちの助けが、どうしても必要だったわけで、悟はそういうの気付いてたんだろうか、みんなに感謝してたんだろうかと、そこら辺が何だかひっかかったような。

    なので、主人公の悟のことは、最後まであまり好きになれなかったかな…というか、やっぱり狭い世界で生きてると、こうなってしまうのかなと(自分自身も、職場と家との往復だけの狭い世界で生きてしまっているので、悟とあんまり変わらないような気もするけど…)。

    JUGEMテーマ:読書
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      『ブラック・ジャック・キッド』久保寺健彦

      ブラック・ジャック・キッド
      ブラック・ジャック・キッド
      久保寺 健彦 2007/11/20発行 新潮社 P.228 ¥1,365
      ★★★★★
      ふと、ページの合間から、引きずるようなロングコートを着て走り回る、自分の姿が浮かび上がる気がした。あの頃のおれは娘とは違い、字を読んで台詞を追える年齢になっていた。暗記するまで読み込み、なんでも分かっているつもりだった。世の中のことも、人の気持ちも。理不尽としか思えないできごとが、時には起きてしまうことまで。
       もちろん、おれはまだ子供で、分かったつもりだった事柄を、一つ一つ学び直さなきゃならなかった。それには長い時間がかかったけれど、どれだけ大人になれたのか、本当はいまだに心もとない。

      毎週雑誌で読み、単行本も全て揃え、全エピソードを暗記するまで読み直すほど、マンガ『ブラック・ジャック』に傾倒し、ブラック・ジャックそのものになりたいと本気で考えていた小学生3年生の「アッチョン(このあだ名は、もちろんあそこから)」こと織田和也。

      服装も、髪型も、ブラック・ジャックにできるだけ近づくように似せ、誕生日に買ってもらったオペの道具で「オペ」の真似事をして仲間と遊んでいた、のどかな小学生時代。

      ところが突然母親がいなくなってしまい、借金をこしらえた父親とやむなく引っ越し、転校した先でつけられた和也のあだ名は「死神」。

      転校先のクラスに馴染むことができず、いじめの標的とされてしまう和也。
      唯一のよりどころだった以前の友人たちとも疎遠になってしまい、独りぼっちで居場所をなくしてしまった和也の目の前に、突然不思議な少女が現れ……。

      「雪降る聖夜、奇蹟が起きる! 三冠制覇、青春小説の超新星!
      ブラック・ジャックになりたいおれと、『ガラスの仮面』を教えてくれた内気な宮内君。そして、眼鏡を外すと超綺麗な泉さん。イブの晩、駅の向こう側の見知らぬ街に姿を消した泉さんの弟・健太を捜して、三人の大冒険が始まった――。ドラマ原作大賞選考委員特別賞、パピルス新人賞同時受賞に輝く、驚異の超大型新人登場!」だ、そうで。


      私も単行本でも文庫本でも揃えるぐらい『ブラック・ジャック』には思い入れがあるので、ここに出てくる色んなエピソードはかなり懐かしくて、和也の気持ちも良く分かるかも…(なりたいとは思わなかったけど、現実にこんなお医者さんがいたらいいなとは思ってたかな)。

      同級生の女の子とのお医者さんごっこのシーンはちょっとひいてしまったけど、小学生時代の独特の空気感は「なんかこんなだったなぁ」と、これまた懐かしくて(当時は学級崩壊なんてなかったような…)、転校した後の元のクラスメイトたちとの関係はちょっと酷だけと、実際そんなもんだった気もするし…。

      とにかく大好きだったマンガがどんどん出てくるのが面白くて最高(そして『ガラスの仮面』好きの宮内君最高!)。

      母親の言う「ブラック・ジャックにはピノコがいたからがんばれた」というのも、私も今なら分かる気がするし、ブラック・ジャックは独りぼっちではなかったと…。

      久保寺さんの『みなさん、さようなら』が読みたくて、これよりも先に図書館で予約してたけど、なかなか回ってこない…とにかく短期間に色んな賞を受賞されているみたいなので、これからも楽しみな作家さんがまた一人増えたかなという感じ。

      JUGEMテーマ:読書


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