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    『天使の囀り』貴志祐介

    天使の囀り
    天使の囀り
    貴志 祐介 1998年 角川書店 P.445
    ★★★★
    弟は、兄に起こったことを告げた。もう、兄ではなくなったから、殺さなくてはならないことを告げた。何か、おかしなものが兄に取り憑いたのだ。湿った森の奥で、変なものが取り憑いたのだ。もう、兄ではないのだ。殺さなくてはならない。村人たちは、弟の話を聞いて、もう、兄でなくなったものを、殺さなくてはならないことを知った。
    〜カミナワ族の民話より〜

    新聞社の主催によるある調査のため、アマゾン探検隊に参加したメンバーが、帰国後間もなく相次いで、謎の自殺を遂げた。

    ホスピスで終末期医療に携わる精神科医の北島早苗は、自殺したメンバーのうちの一人、恋人だった高梨の、帰国後のあまりの変容を目の当たりにし、彼が自殺した背景には、アマゾンの奥地で起こった、あることが関係しているのでは、と考える。

    それまで典型的な死恐怖症(タナトフォビア)だったはずの高梨は、帰国後、一転して、死に病的なまでの興味を抱くようになっていた。
    そして「天使の囀り」という、幻聴と妄想、異常なまでの食欲の増進と、性的嗜好の変化…。

    それらは全て、アマゾンの奥地で、道に迷った彼らが、ある生き物を食べたことによるものではないかと考えた早苗は、アマゾン探検隊の一人で、サファリパークでトラに身を投げ出して自殺したという男の解剖医の元を訪れる。

    その頃、別の場所では『地球の子供たち』という怪しげな団体による、インターネットのチャットで集められた、心に傷を持つ者たちのセミナー合宿が行われていた。

    軽い気持ちから参加していたフリーターの信一は、セミナー終了後、これまでにない高揚感や幸福感に包まれ、怖くて近づくこともできなかった蜘蛛を捕獲し、室内で飼い始める。

    そして、とうとうアマゾン探検隊のメンバー以外にも、異常な自殺を遂げる者が現れた…。

    「頻発する異常自殺事件!それは人類への仮借なき懲罰なのか。迫り来る死の予兆と快楽への誘惑。漆黒の闇から今、天使が舞い降りる。
    現代社会の病根を抉りだす、前人未到の超絶エンタテイメント」だ、そうな。


    何故かこの本は異常に好きで、何度も読み返しているような…。

    自分が日頃一番恐れているものを顕在化し、それによって自殺するというのは、考えただけでも鳥肌が立つ。

    蜘蛛嫌いの信一の、蜘蛛を愛でる姿も、想像しただけでも…怖すぎる。
    合宿場の大浴場のシーンは、想像すらしたくない…でも、このシーン、ものすごく映像化してほしいと思ってしまう(怖いもの見たさで…)。

    最後に主人公が行った行為は…だから、この職場だったのか…と、納得。

    ホラーなのに、きちんと登場人物たちの背景もしっかり書き込まれてて(その分長いけど)、全てのことに納得させられるというか、よく出来た話だなぁと感心してしまう。

    ただ、怖がらせればいいだけじゃなくて、きちんとテーマがあって深い。

    ここに出てくる人たちみたいに、自殺してしまうとすると、私が日頃一番恐れているものは何だろうと、ふと考えてしまった。
    いくら考えても、人の名前しか出てこないんだけど…。
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      『青の炎』貴志祐介

      青の炎
      青の炎
      貴志 祐介 2002年 角川文庫
      ★★★★

      一度火をつけてしまうと、瞋りの炎は際限なく燃え広がり、やがては、自分自身をも焼き尽くすことになる

      たとえば、火事。
      寝タバコに見せかけて装置を仕掛ければ、清浄な炎が、ごく潰しの男のことなど、きれいに焼却してくれる…。
      やはり、普通に殺害し、死体をきちんと処分する。
      突然いなくなったところで、この男のことなど誰も気にもとめないだろう。
      死体さえ見つからなければ…。

      17歳の少年は、完全犯罪を、繰り返し頭の中でシュミレーションする。
      そうすることで、心に燃え盛る怒りの炎を必死に押さえつけようとしていた。
      母と妹と少年、3人の平穏だった生活は、10日前、突然家にふらりとやってきて、そのまま住みついた寄生虫のような男「昔の義父」のせいで、毎日が脅威に晒されていた。

      母が離婚したのも、この男の子供への暴力が原因だった。
      毎日酒を浴びるように飲み、母から金をせびり、脅して母を自由にものにする男。
      妹にさえも、魔の手をのばそうとしているかのような男。
      二階の一番奥の部屋。
      そこにその男はいる。

      母と妹をこの男から守らなければ…。

      少年の願いはたった一つ。
      この男の存在を完璧な形でこの世から消してしまうこと。
      罪を犯した後、自分が捕まれば母や妹に迷惑がかかる。
      そんな事態だけは回避しなければならない。

      そして少年は、法医学書を読み漁り、インターネットを駆使し、あらゆる方法の中から、一つの手段に辿りつく。

      アリバイも、犯罪も、すべて完璧なはずだった。

      少年を追い詰める脅迫者さえ現れなければ…。


      これまでのおどろおどろしい貴志さん作品とはがらりと変わって、一見爽やか…。

      たった一人で、全てのことを背負い込もうとして苦悩する少年。
      法律も彼の家族を守ってはくれない。
      力では、とうてい敵う相手ではない。

      じゃあ、少年はいったいどうすれば良かったのかな。
      こんな時、人はどうやって大切なものを守ればいいんだろう…。

      罪を犯した後の、彼の苦悩は、そのまま全ての犯罪者に通じるのかな…。
      通じてほしい、と思う。
      こんなに苦しまなければならないということを。
      全てを知りながらも、彼のために、嘘の証言を必死でしてくれた友達がいたということを。

      できることなら、このまま遠くへ逃げてほしい…。
      と、思わせるようなラストだった。

      映画にもなってたけど、二宮君は演技派なので、多分ただの「アイドル映画」にはなっていないと思う…。

      少年の唯一心休まる場所、ガレージを改造した部屋、こんな部屋がほしいなぁと思った。
      ここで飲んでるコーヒーや、バーボンがやけに美味しそうに思えて…。
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        『クリムゾンの迷宮』貴志祐介

        クリムゾンの迷宮
        クリムゾンの迷宮
        貴志 祐介 1999年 角川ホラー文庫
        ★★★★

        「火星の迷宮へようこそ。」

        男が目を覚ますと、そこは深紅色(クリムゾン)の景色の広がる異様な世界だった…。
        両側を奇妙な形をした岩山に挟まれた、峡谷のような場所。
        見渡す限りすべての岩山には、深紅色と黒と白の横縞模様がまるで年輪のように刻まれ、奇怪な模様を形成していた。

        倒れていた男の側に置かれていたのは、円盤形の水筒と、ブロックタイプの栄養食品、そして銀色のポーチに入れられた小型のゲーム機。
        ゲーム機の電源を入れると安っぽいファンファーレとともに現れた文字。
        「ゲームは開始された。無事に迷宮を抜け出て、ゴールを果たした者は、約束通りの額の賞金を勝ち取って、地球に帰還することができる。」

        男はここに来るまでの記憶を失っていた。
        覚えているのは、自分が現在失業中で、妻から離婚を言い渡され、ホームレス同然の生活をしていたこと…。
        怪しげな、求人広告に応募していたこと…。
        その面接が行われたこと…。

        そして男は、偶然そこに現れた同じ境遇の女と共に、ゲーム機に現れる文字に従い、第一チェックポイントとされる場所まで辿りつく。
        そこには、同じように集められた7名の男女。
        いずれも訳ありの面々。
        お互いに持ちうる情報を交換し、それぞれ手に入れたアイテムを分け合い、4組に分かれてゴールを目指そうとする。

        しかし、賞金を手に入れるのはただ一人、このゲームはゼロサム・ゲーム。
        たった一人生き残った者だけが賞金を手に入れることができるのだ。
        そして彼らの壮絶なサバイバル・ゲームが開始された。
        いったい誰が何の目的で、彼らの命がけのゲームを楽しんでいるのか…。

        昔流行ったという、ゲームブック「火星の迷宮」のストーリーに沿って、登場人物たちは行動していく。
        そして分岐点で選ぶ道によって「バッドエンド」「ハッピーエンド」「トゥルーエンド」にたどり着けるはずなのだが…。

        食物もなく、いつ、どこで、何に襲われてもおかしくない極限の状況におかれて、人間の本性はむき出しになる。

        人間が食屍鬼となり、人間を食らう…。

        最後に生き残るのは…。

        人間が食屍鬼になっていく過程が、結構現実味を帯びていて納得。
        奇しくも「バトル・ロワイヤル」と同時期に発表され、内容が多少かぶっているため、こちらはあまり日の目を見なかったらしい。
        「バトル・ロワイヤル」が若者のサバイバル・ゲームなら、こちらは大人のサバイバル・ゲーム。
        そして、最近筒井康隆さんが老人達のバトル・ロワイヤル「銀齢の果て」を発表された。
        うう、読んでみたい。











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          十三番目の人格−ISOLA−

          ISOLA
          ISOLA―十三番目の人格(ペルソナ)
          貴志 祐介 1996年 角川ホラー文庫
          ★★★★★

          人の思考を自由によめるというテレパスとは違い、人の心の感情をよんでしまう、エンパス…。
          この能力を、震災で傷ついた人達のために役立てようと、神戸でのボランティアに参加した由香里。
          そこで彼女は、入院中の少女、千尋のケアを任される。
          両親を事故で亡くし、叔母夫婦にひきとられた千尋には虐待を受けていた様子が伺える…。
          そして千尋の中には、千尋を含め、13人の人格が棲みついていた。
          瞭子 陶子、瞳、幸生、陽子、殊理、忍、創、悠子、満、範子、…阪神大震災の後、突如現れた「ISOLA」
          それぞれの名前には、それぞれの役割を表すような意味が込められている。
          例えば「忍」という字には、「こらえる、がまんする」と「むごい」という意味があり、年齢不詳のこの人格は、千尋が虐待を受けているとき、たった一人その痛みを引き受け、耐え忍んでいた…。
          そして、千尋が退院した後、すぐに、彼女の叔父が心臓発作で死んでしまう。
          叔父の死に、由香里は正直安堵してしまうが、その後、東京へ戻った由香里は、千尋のまわりで次々と人が死んでいることを知らされ、再び神戸を訪れることとなる。
          偶然なのか…それとも…。
          そして見慣れた風景が近づくにつれ、由香里の心に強く流れ込んできた、おぞましいほどの「憎悪」…。

          「ISOLA」=上田秋成の雨月物語の「吉備津の釜」に出てくる、あの旦那に裏切られて悪霊となった可愛そうな磯良なのかと思いきや…。なるほど…。

          臨死体験の話や、心理学の専門用語がバンバン出てくるところがとても面白かった。
          ビリー・ミリガンにもちょこっと触れてるし。
          ただ、由香里の現在の職業を最後の方まで、なぜそこまでひっぱって隠す必要があったのかと、突然恋愛が始まっちゃうところが……うーん、納得できない困惑










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            黒い家

            黒い家
            黒い家
            貴志 祐介 1998年 角川ホラー文庫
            ★★★★★

            生命保険会社に勤める男にある日かかってきた電話。
            「自殺でも保険金は出るのか?」という緊迫した女の声。
            そしてある日、顧客に呼び出された男がその家で見せられたのは、子供の首吊死体…。
            そして男と、男の周囲の人間を全て巻き込む恐怖の日々が始まる。
            第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。

            本を開いてすぐに目に飛び込んできた口絵に惹かれて、誰の本かも知らずに買っていた。
            ただしばらくは読まずに置いておいたので、買ったことすら忘れてしまっていて、何ヶ月かしてまた同じ絵に惹かれて「どこかで見たような…」と思いつつ同じ本を二度も買ってしまったという本。なので家に二冊もある唖然
            怖いです。なるほど、保険金ってこうやって手に入れようとする人がいるのか…。ここまでするのか…。て、普通はいないかたらーっ
            さすが保険会社に勤めていたという経歴を持つ作者ならでわの本だと思う。
            そして舞台が京都なので、すごく私には読みやすかった。
            映画では、大竹しのぶ、西村雅彦、内野聖陽が出ていた。
            人気のないビルの階段で主人公が必死で逃げ回るシーンはときどき目隠ししながらでないと見れなかった、ぐらいに怖かった。大竹さん、怖すぎますピピピ



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