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    『サクリファイス』近藤史恵

    サクリファイス
    サクリファイス
    近藤 史恵 2007/8/30発行 新潮社 P.245 ¥1,575
    ★★★★★
    教えてほしい。
    どこからやりなおせば、この結果を避けられるのだろう。後悔せずに済むのだろう。


    「勝つこと」の重圧から逃げ出すために、陸上選手から自転車のロードレーサーへと転向した「チカ」こと白石誓。

    大学卒業後、プロのロードレースチーム「チーム・オッジ」にスカウトされ、2年目の今はチームのエース石尾のアシストとして、自分が勝つために走ることより、ただ石尾を勝たせるためのチームプレイに徹することに、自分の持てる力をあますことなく発揮する「チカ」。

    ところがアシストとして働くために選抜されたはずの国内大会で、思いがけずも勝利を手にしてしまい、海外のチームからも注目されるようになった「チカ」に、同じチームの先輩から明かされる、石尾に潰されたという過去のチームメイトの事故の話。

    そしてロードレースの本場、ヨーロッパでの「チカ」にとって初めての海外遠征先で起こる悲劇――。

    「ただ、あの人を勝たせるために走る。
    それが、僕のすべてだ――。
    二転三転する真相、リフレインし重さを増す主題、押し寄せる感動!
    自転車ロードレースの世界を舞台に描く、青春ミステリの逸品。」だ、そうで。


    装丁からして、ただのスポ根ものかと敬遠してたけど、本屋大賞の2位に選ばれていた(しかも私が大絶賛の『悪人』を抜いて)ので、それほどまでに面白いのか…と、とにかく読んでみたら「とにかく読んでみて下さい。絶対に損はさせません!」の帯に偽りなしだなと、納得(ミステリとは知らなかった…)。

    競輪とロードレースの違いもあまりよくわからなくて、個人競技じゃなくてチームプレイだというのに、まず驚いたし、一人のエースのために、そんな風にサポートに徹する選手たちがいるというのも、そして「そういうのが好きなんだ」と考える、ちょっと暗めの主人公「チカ」の辿り着いた真相に、しばし茫然。
    そして真実を知ったあとにじわじわと湧いてくる、ものすごい感動。

    そこまでの伏線も素晴らしいし、何となく「やられた」感もあって…(ただ、「チカ」の時間が止まるほど、あの彼女は素晴らしくないような…)。

    「チカ」のチームメイト、伊庭の言うように「そんなことのために…」とも思えるけど、実際にスポーツやってる人なら、まさにそれが悲願なら、理解できるのかもしれないなとも。

    タイトル「サクリファイス」の意味と、勝利の重圧から逃げ出したはずの「チカ」の最後の台詞「ぼくの勝利は、ぼくだけのものではない。」に込められる、様々な思いに、また涙…。

    オリンピックが終わった直後なので、なんとなく余計にこの本を読んで良かったなと思えたのかも。
    人を感動させることのできるスポーツって、本当に奥が深いんだなと、しみじみ。

    JUGEMテーマ:読書



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      『タルト・タタンの夢』近藤史恵

      タルト・タタンの夢Amazonで購入書評/ミステリ・サスペンス
      ★★★★★
      ……要するに、気心が知れたスタッフだけだから、安心してまかせて、自分は楽ができる、ということなのだろう。さすがに、スタッフが十人近くなれば、まかせっぱなしにしておくわけにはいかない。
      だが、たしかに小さな店だからこそ生まれる、お客さんとの親密な関係だとか、心地よさというものも存在する。
       この、事件とも呼べない小さな事件が起こったのも、〈パ・マル〉が小さい店だったからなのだ。

      下町の商店街の片隅にある小さなフレンチ・レストラン〈ビストロ・パ・マル〉。
      カウンター七席、テーブル五席、従業員はたったの四人。

      フランスの田舎町を転々とし修行を積んだという、風変わりで一見気難しい三舟シェフと、正統派フレンチの修行を積み、高給ホテルのメインダイニングで働いていたにもかかわらず、三舟の味に惚れ込み、自ら働かせて欲しいと〈ビストロ・パ・マル〉にやってきてサブに徹する、温厚な志村シェフ。

      思ったことを何でも俳句にしてしまう俳句好きで社交家の「紅一点」のソムリエ、金子さん。そして、この店で働き始めてまだ日の浅い、ギャルソンの「ぼく」こと高築。

      取材嫌いの三舟シェフのせいで、雑誌などには取り上げられないものの〈ビストロ・パ・マル〉は今日も予約で満杯で。

      そんな〈ビストロ・パ・マル〉の味に惚れ込んでやってくる常連客たちが抱える、料理にまつわる不思議な出来事の数々…。

      結婚間近の常連客、西田さんは婚約者のふるまってくれた手料理を食べてから、どうも腹の調子が良くないという。彼女も同じ料理を食べたはずなのに、何故彼だけが…『タルト・タタンの夢』

      あまりにも偏食が過ぎるために、粕屋さんからの予約の電話は受けないよう言い渡されていたにもかかわらず、予約を入れてしまった「ぼく」。食べられる食材の方が少ない粕屋さんのために、三舟シェフが特別に作った料理が、粕屋の連れの女性にとって「人生を変える料理」になったと言うのだが…『ロニョン・ド・ヴォーの決意』

      シャンソン歌手である志村シェフの奥さんに、クリスマスに店で歌ってもらうことを提案する三舟シェフと、どうしても奥さんを店に呼びたくない志村シェフが珍しく衝突することに。志村シェフの意外な抵抗の理由とは…『ガレット・デ・ロワの秘密』

      奥さんに出て行かれ、近ごろ一人で頻繁に店に来るようになった脇田さん。脇田さんには妻が出て行った理由がさっぱりわからないと言うのだが…『オッソ・イラティをめぐる不和』

      近ごろ三舟シェフお気に入りの商店街にある甘味屋〈はぎのや〉。プロからも誘いが来るほどだったという〈はぎのや〉の若旦那が、野球を諦め、結果店を継ぐことになった当時の不可解な事件の真相とは…『理不尽な酔っぱらい』

      出版社に勤める常連客が今度店に連れてくるという人気エッセイストのリクエスト料理は、彼女にとって「嫌な思い出」のはずの料理。彼女のエッセイにヒントを得、当時の味をそっくり再現してみると…『ぬけがらのカスレ』

      〈パ・マル〉で出すデザートを「まずい」と言い放ったのは、最近店を開いたばかりなのに、行列ができるほどの人気のチョコレート専門店のショコラティエ。試しに早速チョコレートを買いに行かされた「ぼく」。その店のチョコレートの詰め合わせは、何故か全て素数になっていて、その割り切れなさと、男の不遜な態度の裏にあったのは…『割り切れないチョコレート』

      「ビストロ・パ・マルへようこそ。
      客たちの巻き込まれた不思議な事件や不可解な出来事。
      その謎を解くのは、シェフ三舟。
      絶品料理と極上のミステリをご堪能あれ!」だ、そうで…。


      語り手である「ぼく」の存在感がちょっと薄いけど、主役はどうやら見た目もインパクトの強い、謎解き名人の三舟シェフ(というより、シェフの作る料理)みたいなので、それはそれで良いのか…(そもそも、食いしん坊な私は、謎解きよりも、食べたことのない名前も知らなかった料理にばかり気が行ってしまったし)。

      『タルト・タタンの夢』の、常連客西田さんのお腹を壊している理由は、「へー、あれでそんなことが…」と、ちょっと驚き(こんなことされたら堪らんなぁというか…)。

      『ロニョン・ド・ヴォーの決意』の、一見雑な料理の下ごしらえに隠された真実にも「なるほど…」と感心させられてしまったし、この物語の結末はなかなか辛口で好きかも。

      『オッソ・イラティをめぐる不和』の、奥さんが出て行った理由は、女の人ならものすごーーーく共感できると思える理由だし、男の人って、本当にこういうタイプ多いなと、この何でもないような理由の目のつけどころに感心。

      『割り切れないチョコレート』の、詰め合わせのチョコの数の割り切れない理由は、ものすごく優しくて、最後の締めくくりに相応しいお話で。

      いわゆる「日常の謎」系のお話なので、ちょっと地味な感じもするけど、「読書の秋」なのに読書力の落ちてきた最近の私には、ちょうど良いボリュームというか、ここに出てくる料理のように優しくて良かったなと(深く考えなくてもいいから、サクサク読めるし)。

      大好きな漫画『ザ・シェフ』っぽくもあり、ドラマ化されたら、結構見ごたえありそうな、とも。

      そして何より、最近読書よりも料理とお菓子作りに嵌っている私には「タルト・タタン」が、かなり気になるので、早速「クックパッド(ここの人気レシピで作った料理は、私でも簡単に美味しくできてしまうからすごい)」で調べて作ってみようかなと。

      そんな無謀なチャレンジ精神をかきたてられるほど、ものすごく美味しそうな一冊だったかな。


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