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    『しゃべれども しゃべれども』佐藤多佳子

    しゃべれどもしゃべれども
    しゃべれどもしゃべれども
    佐藤 多佳子 2000/6/1文庫化 新潮文庫 P.416 ¥620
    ★★★★★
     自信って、一体何なんだろうな。
     自分の能力が評価される、自分の人柄が愛される、自分の立場が誇れる――そういうことだが、それより、何より、肝心なのは、自分で自分を猯匹鍬瓩版柴世垢襪海箸もしれない。猯匹鍬瓩療戮過ぎると、ナルシシズムに陥り、猯匹鍬瓩足りないとコンプレックスにさいなまれる。だが、そんなに適量に配合された人間がいるわけがなく、たいていはうぬぼれたり、いじけたり、ぎくしゃくとみっともなく日々を生きている。

    大の落語好きだった祖父の遺言を守り、18の歳に小三文師匠に弟子入りし、真打手前の二ツ目になって5年、正統派の古典落語を何より愛するものの、あまり受けの良くない短気ですぐにかっとなる噺家「今昔亭三ツ葉」こと、外山達也、26歳。

    最近になってまた出始めたという吃音のせいで、テニススクールでのコーチの仕事に自信をなくしていた従兄弟の良に頼みこまれ、祖母と暮らす下町の自宅で、にわか「話し方教室」を開くことになった三ツ葉の元に噂を聞いて集まったのは、それぞれ「話すこと」に深刻な問題を抱え、このままではいけないと真剣に考える3人の男女。

    素直な気持ちが言葉にできないせいで男にふられた、人間嫌いで会話嫌いの「黒猫」のような美女、十河。
    転校してきてからもいつまでも大阪弁を話すせいで、クラスでいじめられているのではと心配する母親に連れてこられた小学生、村林。
    アナウンサーに二人分しゃべらせてしまうほど解説が下手くそな野球解説者、強面の元プロ野球選手、普段は毒舌家の湯河原。

    とりあえず、話すことと言っても、落語以外に何もできない三ツ葉は、4人に手作りのテキストを渡し落語を覚えてもらうことに。

    そうして4人それぞれの抱える問題に、持ち前のおせっかい気質から、どんどん関わってしまうことになる三ツ葉自身もスランプに陥り、どんどん噺家としての自信を失くしてしまうのだが…。

    『みんな、何とかしたいと思ってる
    今のままじゃ、だめだから
    歯切れのいい語り口で、言葉にできないもどかしさと不器用な恋を描き、「本の雑誌が選ぶ年間ベストテン」第一位に輝いた名作。本屋大賞受賞作家の代表作!』だ、そうで。


    国分君主演で映画になってるのは、友達が見たいと言っていたので知ってたけど、Musagoroさんのブログでこの本のこと知って、こういう内容だったのかと、私も映画が見たくなったので(もっと落語がメインの話だと思っていたので)とりあえず映画見る前に読んでみようと読み始めたら、あまりのテンポの良さに惹き込まれて止まらなくなってしまった。

    不器用で、短気で、でも人情に厚い三ツ葉も、もちろんだけど「話すこと」に問題を抱える4人のキャラも強烈で個性的で…クラスでいじめられても「いじめやない喧嘩や!」と言い張る、プライドの高い小学生村林と、大人の十河のライバル関係や、村林に本当のところを衝かれてぼろくそに言われても、村林のために野球を指導してあげるときの元プロ野球選手、湯河原の「父親の顔」や、細かいところまで実に丁寧に活き活きと描かれていて、すっかり物語の中に嵌り込んでしまった(みんなほんとは優しくて、いい人で…)。

    人に嫌われることを人一倍怖がるあまりに、思ったことを言葉にできなくて…というのは、何だかとても良く分るし、普段無口な人の発する言葉というものの重みというか大切さというか、そういうもの、舌先三寸で適当にその場その場を切り抜け、人からいつも「軽い」と言われる私には、ここに出てくる人達の、心の底から搾り出されるような伝えたい「本当の気持ち」というものが、結構羨ましく思えたりしたかも。

    でも「気持ちだけじゃだめなの。以心伝心じゃだめな時があるの。言葉が必要なの。どうしても言わなければいけない言葉というのがあるの。でも、言えないのよ!」という十河の叫びには、言いたくてもどうしても言えないというもどかしさには、心が痛くなって、ほろりとさせられてしまった。

    そして昨日はレディースデーでお安かったので、映画の方も見に行ってきたけど、原作のイメージそのまんまで(特に十河役の香里奈さんなんて、この役はこの人のためにあるんじゃないのか?と思えるほどイメージ通りだったし)、大好きな松重さんも良かったし、何より村林役の子役の子は本当に上手くて面白くて可愛くて良かった!(落語のシーンでは、話し方が枝雀師匠のそれにそっくりだったので、お孫さんか何かかと思ったくらい)。

    映画の中で「まんじゅうこわい」の噺が一番お上手だったのは、もしかしたら祖母役の八千草さんかも(ちょこっと話すだけだけど)。この人は本当に幾つになっても「可愛らしい人」だなと。

    「ゆず」の主題歌もすごく合ってて、久々に最後の最後までスクリーンに釘付けになってしまった映画だったかも(時間が経つのがあっという間だったし)。
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