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    『クレイジーボーイズ』楡周平

    クレイジーボーイズ
    クレイジーボーイズ
    楡 周平 2007/7/31発行 角川書店 P.444 ¥1,785
    ★★★★★
     許せるものか……。こんな男を親に持った子供の気持ちが誰に理解できるものか……。
     ……
     哲治は初めて父を哀れだと思った。やり場のない怒りが、交錯する感情の中から、急速に頭を擡げてくる。それは父に対するものばかりではなく、どういう経緯にせよ、こんな酷いやりかたで父の命を奪った人間に対するものでもあった。

    ガソリンに代わる新世代のエネルギー自動車、水素自動車を実用化させるためのキーとなるタンクの開発に成功し、その特許権の帰属を巡って、研究員として勤めていた自動車部品メーカーと法廷で争って5年、二審判決でも全面勝訴し、あとは最高裁での闘いを残すのみとなり、事実上の勝利を確信していたはずの柴山が、何者かによって惨殺された――。

    父親亡き後は年間30億円をも転がり込むという特許の継承者となり得るかもしれない、現在はアメリカで暮らす一人息子、哲治。

    父親の遺体に残された痕跡から、自ら父親の死の真相を究明しようとしていた哲治に突きつけられた現実は、父の裁判を全面的にバックアップし、アメリカでの住居も用意したという、世界有数の環境保護団体「グリーン・シーズ」からの一切の援助の打ち切り。

    このままでは、最高裁で争うこともできず、巨額の借金を抱えることになってしまうと危ぶむ哲治は、父の無念を晴らすためにと復讐を誓い、志を同じくする友らとともに、日本とアメリカをまたにかけた前代未聞の無謀な賭けに出るのだが――。

    『エンタメ度クレイジー級!!
    自動車業界ばかりでなく世界のエネルギー事情さえ一変させる画期的な発明を成し遂げた父が、何者かに謀殺された。
    特許の継承者である息子の哲治は、絶体絶命の危機に追い込まれる。
    僕は知力の限りを尽くして戦う。
    この世界を勝ち抜くために。
    ベストセラー「フェイク」の楡周平が放つ最新作。』だ、そうで。


    「ガソリン」がいらなくなったとしたら、こんな風に世界に影響を及ぼすのか…と、あまりのスケールの大きさにかなりびびってしまったものの、話としては結構単純かも。

    まあ、企業と個人との特許の帰属を巡る争い自体は、青色発光ダイオードでの前例があるから、何となく分かりやすいし、ここで柴山を殺せと命じる人の危機感も良く分かる。
    まあ、父親の趣味は別として…。

    ただ、哲治の復讐の仕方は…うーん、アメリカナイズされちゃった人間の発想だなぁと(最初の方の、ドラッグのシーンは必要なのかどうなのか、あんまり意味がわからんかったのだけど…それもアメリカらしさなのかなと勝手に思うことにして…)。

    まあそこに度肝を抜かれてしまったのと、読み始めてからずーっと気になっていたことが解消された時の、「あー、そういうことか」感はなかなかのものかなと。

    でも、なんかこの主人公はちょっと許せないかも。その考え方嫌だし、じいちゃんに迷惑かけるなんて、もってのほかだし。
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      『陪審法廷』楡周平

      陪審法廷
      陪審法廷
      楡 周平 2007/3/29発行 講談社 P.331 ¥1,785
      ★★★★
      この国には、日本にはない優れた部分が数多くある。まっとうな生活を営んでいる限り、快適そのものの生活が約束されていると言ってもいい。しかし、一旦間違った方向に走り始めた人間を、助長するような環境が整い過ぎている面があることも否めない。その最たるものが銃と薬の蔓延だ。お前がもし日本にいたら、仮に今回と同様のケースに直面したとしても、撲殺や刺殺という行動には決して出なかったろう。血飛沫が飛び、相手がもがく苦しむ様を見ながら命を奪うなんてことは正常な感覚の持ち主では到底為しえる業ではない。ところが拳銃となれば話が違う。なにしろ引鉄を引けば、自動的に弾が発射され、簡単に命を奪えるんだからな。命の重さなんて考えている暇もない。簡単なもんだ

      グアテマラでの貧しいストレートチルドレン生活から一転し、逃げ込んだアメリカで、優しく裕福な養父母に引き取られ、実の子ども以上に愛情をかけられ、何不自由ない生活を送っていたかに見えた15歳の少女「パメラ」。

      そんな「パメラ」が卒業式を間近に控えたある日、父親同士が同じ職場で働き、家族同様の付き合いのある隣家の日本人一家の一人息子、幼馴染でもありクラスメイトでもある「研一」に、打ち明けたのは、おぞましい虐待の事実…。

      そして、卒業式のダンスパーティーの夜、細工を施した拳銃を手に、隣家に忍び込み凶行に及んだ「研一」は、銃声を聞きつけた隣人たちの通報で駆けつけた警察官達に現行犯として捕らえられ、やがてこの国の「陪審員制度」に則り、裁きを受けることに。

      果たして、「愛する人」を守るために、決して犯してはならない罪を犯してしまった15歳の少年に対して、法律の専門家でも何でもない、無作為に抽出された12人の陪審員たちが下す判決とは……。

      『あなたは、この「無償の愛」を裁けるか。
      終身刑か、無罪か――決めるのは「明日のあなた」かもしれない。
      来たる裁判員制度に警鐘を鳴らす、迫真の法廷サスペンス!』だ、そうで。


      やっぱりこれを読んですぐに思い出すのは昔見た映画『12人の怒れる男』(これは本当に面白いので、是非是非)。

      そして、まだあの大学構内での銃乱射事件の記憶が生々しいままなので、銃が誰にでも簡単に手に入れられる、アメリカの銃社会についても、かなり考えさせられるお話で…(なるほど、人を殺すことをたやすくやってのけさせる、銃の威力は、他のどんな武器よりも恐ろしいと)。

      辣腕弁護士「ロビンソン」の「研一」の無罪を主張する強引な持って行き方には、なるほどなぁと唸らされるし、でも、後に陪審員たちが議論するように、それを許してしまうと、同様の犯罪は後を絶たないとも思えるし…、それこそ喜劇だなとも。

      法廷でのやりとりもさることながら、日本のようなグレーゾーンを持たない、白黒はっきりさせたがる、アメリカの少年犯罪に対する徹底した厳しさは、かなり読み応えがあって、面白かったし、すごく勉強になったかも。

      「罪の重さとは与えられた量刑にあるのではなく、罪を犯した人間の心にあるものだ」というのは、そういうことに思い至らない犯罪者も多くいるのだろうなと、少し悲しくなるし。

      15歳の少年の未来を委ねられることになった陪審員の一人の「私は神じゃない…」という呟きも、「陪審員制度」が、こうして一般の市民に求める「情」も、かなり理解できるし、もし自分なら…と、近い将来日本でも導入される、この「陪審員制度」について深く考えさせられる一冊なのではないかなと。

      でも、日本で導入されたとして、毎日のように新聞記事に載るような地位のある人たちによるセクハラや、子どもの給食費さえ払わないという親たち…、けったいな大人が沢山いるこの国に、いったい他人の罪を裁ける大人なんて、そうそういるのかな?という疑問にもぶち当たってしまうような…(かく言う私自身も、この歳になって、関ジャニ∞のコンサートチケットが当たったことに狂喜乱舞するような、あんまりちゃんとしてない大人の一人だし…)。


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