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    『ティッシュペーパー・ボーイ』有吉玉青

    ティッシュペーパー・ボーイ
    ティッシュペーパー・ボーイ
    有吉 玉青 2007/2/20発行 新潮社 P.217 ¥1,470
    ★★★★
     情けなくて悔しくて、涙が出てきた。涙をぬぐいながら、とぼとぼと歩いていたら、さっと目の前に白いものが差し出された。何これ、ティッシュ? 私が泣いているのがわかったのかしら。
     手にとって、差し出してくれた人の顔を見ると、赤いキャップのつばの陰から、二つの目がやさしく微笑みかけてきた。ありがとう、心の中でそう言って、舞も微笑み返した。〜『ボーイを探せ!』より〜

    学生時代から7年間付き合い、結婚も考えていた彼氏の高雄に別れを告げようと決心し、最後のデートに向かう翔子は、渋谷のスクランブル交差点を渡り切ったところで、突然、白いつなぎに赤いキャップのティッシュ配りの男「ティッシュペーパー・ボーイ」に腕をつかまれ、何故か怒られてしまうことに…。
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    大人しく従順で清楚な5つ年下の会社の後輩であった麻子に、MBA取得のためのアメリカ留学を機にプロポーズし、海外に渡った周平。
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    の、たまたま「ティッシュペーパー・ボーイ」たちから、ティッシュを受け取ったことで人生ががらりと変わってしまう、まさに渋谷のスクランブル交差点のような複雑な人生の分岐点にいる、老若男女を問わない主人公たちの奇跡を描いた5つの短編集。

    「赤い帽子に白いつなぎ、行きずりの彼が手渡してくれたのは――
    恋の奇跡を信じたくなる5つの偶然の物語。」だ、そうで。


    確かにティッシュ配りの人からは、何気に受け取ってしまう(タダで使えるものなら何でも受け取る)けど…顔とかまじまじと見たことなかったし、気にも留めなかったかも。
    それが元でこうなるとは…なかなか、わくわくするような楽しいお話ばかりで。

    別れを決意した女の子は、「本当に大切な人」に気付き、妻の本性を知った中年男は「重大な決心」をし、人から相手にされないと感じる寂しい二人は「失意のとき」に励まされ、過去のトラウマから彼女を抱けなかった男の「愛」は叶えられるという、読んでいてすごく元気になれるような一冊かも。

    なかでも、一番気に入ったのは『恋が花盛り』かな。
    男女二人ともの視点から描かれているから不公平感がないというか、こんなに想い合っているのに…と、もどかしくて、でもラストは何だか清々しくて。

    一時ブームになってた(古いかな?)「ウォーリーを探せ」のような装丁もなかなか面白くて、この大勢の人達の中に、ここに出てくる主人公達がいるのかなと思うと、人の数だけ、それぞれの人生があることを、改めて思い知らされるというか、「こんなことで…」という出会いが、人によっては本当に人生を左右するようなことって確かにあるかもなと思えてしまった。

    人生の「分岐点」や人の縁というのは本当に不思議なものだなと、この歳になってつくづく思う今日このごろ…なので、結構ツボに嵌ったかも。

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