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    『若くない日々』藤堂志津子

    若くない日々
    若くない日々
    藤堂 志津子 2007/2/25発行 幻冬舎 P.196 ¥1,470
    ★★★★★
     しかし、よくよく考えてみれば、いま星乃が急逝しても、迷惑をかける相手はひとりもなく、そのときは泣いてくれる友人知人も何人かはいるかもしれないけれど、それは他人の死に遭遇したひとびとの、ごく反射的な反応のようなもので、哀しさやつらさは事実としても、流す涙に、それほどの理由があるとは思えなかった。自分以外という意味での他人の死に遭遇した際に、星乃自身が流した涙がそうであったように。
     そこに思い至ったとき、星乃は落ち込みの底から、ゆらりと浮きあがってきた。
     自分の生も死も、自分で怖れたり、自讃したり、唯一無二の存在価値があると自惚れるほど、特別のものでもなんでもなかった。それが、わかった。  〜『若いひと』より〜

    52歳にして突如「結婚するか」と閃き、馴染みの居酒屋で古くから顔だけは知っていた男をパートナーとして選び、結婚話を持ちかけると、相手もまんざらでもない様子で。
    そしてデートを重ね、垣間見える相手の欠点も受け入れる気でいたものの、どんどん男の態度が大きくなっていき…『夢ふた夜』

    若い頃なら歯牙にもかけなかったであろう貧相な中年男からの賞賛が、次第に必要なものになってしまう…『フレンズ』

    週末を愛人の家で暮らす夫を待ちながら酒に溺れていく、いつまでも夫に愛情を持ち続ける女…『ドリンカー』

    他『若いひと』、『オープニング』の、それぞれ「いわくありの小さな歴史」を積み重ねて生きてきた4、50代の女性たちの「性」と「生」を描く、5編から成る短編集。

    『「なんだか、女としてみられなくなった気がする」。現実を知るって、どういうことだろう。言いようのないむなしさが、胸のうちを流れていく…。40代〜50代の女性たちを描く、藤堂志津子の傑作小説。』だ、そうな。


    自分がものすごく若い頃には、30代の恋愛すら想像つかなかったけど、その歳になってみると、その歳なりの恋愛がちゃんとあるものなのだと、安心したと言うか…。
    なので、これを読んで、少し先の自分の姿も見えてきたかも。

    『夢ふた夜』の主人公、52歳の蓮子さんが、そういう理由から、身体の関係なしでの同居相手を求めるのも理解できるし、ラストの心境もすごく良く分かる(蓮子さんより少し若い私には、こんな男は絶対許せないと、まだ思えてしまうけど…)。

    『若いひと』の、「がん病院」に入院した星乃さんの、自分の「死」についての考えは全く同じこと、最近考えてたところなのでちょっと驚いてしまった。醒めてるのかもしれないけど、確かにそんなもんだなと。

    そしてこのラストは、結構好き。
    自分の「死」に対しては醒めてても、他人の「死」はやっぱり辛いし、悲しいし、嫌だと思える人間でいたいし。

    「相手の男に夢中になりすぎ、惚れすぎ、愛しすぎたら、とてもじゃないが、同居なんて、やっていけない……」というのも、若い頃からそう考えていてしまったので…でも、そこまで好きじゃない男と、一生一緒に居たいとは思えないし(それなら一人の方がいいかなと)。

    うーん、男と女の関係は、本当に幾つになっても謎だらけかも。

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      『夜の電話のあなたの声は』藤堂志津子

      夜の電話のあなたの声は
      夜の電話のあなたの声は
      藤堂 志津子 2007/2/10文庫化 文春文庫 P.225 ¥510
      ★★★★★
      遊び、と言えるほどしゃれたゲーム感覚のつきあいではなく、気持ちのバランスがくずれると、みもふたもなく人恋しさがつのった。そうなると、待ちかまえていたかのように、もののはずみが入りこむ。気持ちのバランスが保たれているときは、けっしてそうはならない。もののはずみだった。〜『夜の電話のあなたの声は』より〜

      付き合って半年、お互い独身で同い年の男に、電話一本で突然に別れを付きつけられ、捨てられてしまい、釈然としないまま酒で寂しさを紛らわせる33歳の統子。
      逃げるように引っ越して、今はもうそこにはいない男のアパートへ夜な夜な足を運ぶ統子は、アパート近くの飲み屋で意気投合した男と、以前の男に教えられた、あることを試してみようとするのだが…『雨の夜にホテルへ』

      会社での人間関係の煩わしさに嫌気が差し、定職にはつかず、短期のアルバイトを転々とする31歳、独身の早知子。
      決して愛情を持てない男、でも、結婚相手としては申し分のない北宮を4年間キープしながら、他の男との恋愛に溺れる早知子が、合鍵を使って勝手に出入りする北宮の部屋で、男の裏切りを知り…『男のいない男の部屋で』

      これまで付き合った男の誰とも長続きしなかった37歳の水香が、別れを告げられて初めて未練を感じた9歳年下の男、本条。
      理不尽な別れを受け入れられず、顔も体つきも全てが好みだった本条と後姿がそっくりな、本条の友人の春原に身体を預けることで、本条への復讐を果たそうと企む水香は、間違い電話を装い、春原にコンタクトを取り、「会いたい」と思わせるまでにこぎつけるも…『夜の電話のあなたの声は』


      「女、三十代。つきあっている男はいても、独りの気ままさが好きだった。けれども突然、男から別れを告げられ、自らの心の弱さに直面する。驚き、怒り、喪失感、そして……。恋と孤独を愛する女たちの猜未譴里△鉢瓩砲罎譴訖瓦髻∩〆戮壁致で描く三篇。」だ、そうで。


      その年代を過ぎ去ってしまった私から見れば、どの女もあまりにも怖くて、痛すぎるような…。

      女の方にももちろん、誰にも共感できなかったけど、電話一本で別れを告げる男たちも最低で…(いや、電話ででもはっきりさせるだけ、まだましな方かな?)。

      表題作『夜の電話のあなたの声は』の水香さんの作戦は、人として怖すぎるけど、デート商法とかに、ころりと騙されてる独身の男友達とかを見てると、こういうパターンもありなのかもなと思える。

      なるほど、こうやって男を食いつかせるのかと、そのテクニックは、なかなか為になったかも(面倒くさいから、決して真似はできないけど)。

      そして、これのラストの一行は、とても良かったかな。
      こういうの「あるある」だし(って、「あるある」は、もうないけど…)。

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