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    『世界でいちばん淋しい遊園地』西田俊也

    世界でいちばん淋しい遊園地
    世界でいちばん淋しい遊園地
    西田 俊也 2006/11/30発行 角川書店 P.284 ¥1,470
    ★★★★★
     遊戯器具に灯る明かりの輝きがさっきより鮮やかになって、夕闇に滲んでいた。ジェットコースターも、観覧車も、メリーゴーランドも、コーヒーカップも、お伽噺の国の家並みも、まるで泣いているように光っている。ぼくらのことを忘れないで。ぼくらを壊さないで。ぼくらのことを思いだして。光はぼくに無数の言葉を語りかけてくる。
     いったいどれだけ多くの人がここにやって来て、どれだけたくさんの思い出が生まれたのだろうか。
     ぼくは光に向かい、ありがとうとつぶやいた。

    78年間もの長きに渡る歴史に幕を下ろすことになった遊園地。
    昭和の初めにオープンし、戦争での中断もありながら、戦前戦後とみんなから愛され、全盛期にはどの乗り物も行列が出来ていた人気の遊園地も、近年のレジャーの多様化と少子化の影響から、今ではもう訪れる人もまばらとなり。

    そんな閉園間際の寂れた遊園地に、過去に導かれるようにやって来るのは、恋人、元恋人、友人、親子、そして夫婦…。
    十数年ぶりに訪れた遊園地で、彼らは忘れ去っていた過去を思い出すこととなり…。

    14歳の頃、しょっちゅう学校をサボっては秘密の抜け穴から入り込み、ベンチで煙草をふかしていた「ぼく」は、12年ぶりに訪れた遊園地で、当時この遊園地で預かってもらっていた「未来の夢」を書いた色紙を受け取ることになり…『ジェットコースターの最後のカーブで』

    他『魔法のあった場所から』、『さよならの歌は響かない』、『迷子の恋人たちへ』、『ただの楽園にて』、『サイレント・ライト発』、『聖夜のウサギ巡り』、『残響スノードーム行き』、『もうだいじょうぶと、ひとりで乗るよ』の、ノスタルジックなきらめきを放つ9つの物語と、エピローグ、から成る連作集。

    「楽しいことは、いつかは終わる。
    でも、だいじょうぶ。思い出は消えないから。
    『Love History』の西田俊也が描き出した、
    いとしい記憶のかけらたち。」だ、そうで。


    そう言えば、中学生の頃初めてデートしたのも遊園地だったなぁと、しみじみ…(しかも、その思い出深い「伏見桃山キャッスルランド」も数年前に閉園してしまったし)。

    ここに出てくる遊園地は、かなり規模がでかいものらしく(「ひらパー」ぐらい?)、最盛期にはさぞかし賑わっていたんだろうと思うと、時代の流れの残酷さを思い知ると言うか…(やっぱり今日日はみんな「TDL」とか「USJ」に行ってしまうのかな?)。

    一つの物語の主人公の昔一緒にこの遊園地に来た相手が、次の物語の主人公だったり、ニアミスしてたり、その繋がり方がなんか良くて、「あれ?この人は…」と、思わず前のページに戻って、うれしくなってしまった。

    好きなのは、結婚相手に逃げられてしまった『ただの楽園にて』の主人公かな。
    相手が戻ってきてくれればいいなと、本当に願ってしまうし。

    最後を迎える遊園地を、自分たちの演奏で見送ろうとする老人の一人の台詞「…前に進むことに夢中で、大切なことをたくさん置き去りにしてきたんじゃないかって。…」というのに、確かにそうだったなと。

    病気で余命幾ばくも無い父親の、「死んだらそこにはもうなにもないのかもしれない。けれど、もしどこかにいくと信じるなら、あのときの遊園地のような場所ではないか。…」というのも…そうであって欲しいと思うし。

    私が高校生の頃に「TDL」が出来たけど、それまでは本当に「遊園地」が娯楽の王様というか、何かそこにさえ行けば子供も大人もカップルも、誰もが楽しめて大満足、みたいな場所だったなぁと…そういう場所が廃れてしまうのは、結構淋しいものがあるかなと。

    「楽しいことは、いつかは終わる。」というのは、正にその通りで、それは人生そのもので、だからこそ、その楽しい思い出をできるだけたくさん作っておきたいかなと思えてしまった。

    初めてダブルループコースターに乗ったときには、あまりの怖さに、乗ろうと誘った相手を「こいつぶっ殺す」と恨みに思い、コーヒーカップで吐きそうになって、お化け屋敷では腰がひけてしまい、どんなにひきずられても入ることが出来なくて…(もしかして、私には遊園地での楽しい思い出はないかもだけど…)。

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