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    『他人事』平山夢明

    他人事
    他人事
    平山 夢明 2007/10/30発行 集英社 P.281 ¥1,680
    ★★★★★
     魂が根こそぎ砂粒に変えられてしまっていた。
     今後、死なず壊れず生きていくには自分の何かを欺し、裏切り、言いくるめていく他、道はないのだと絶望した。   〜『ダーウィンとベとなむの西瓜』より〜

    対向車を避けようとして崖下に転落し、潰れた車中で身動きの取れなくなった男は、近づいてくる足音に一縷の望みを託すものの、足音の主は一向に助けてくれる様子もなく、そればかりか…『他人事』

    ひきこもりの息子の家庭内暴力に耐え切れなくなった父親は、息子を殺すことを決意し、武器を手に入れ…『倅解体』

    人気料理評論家の家に押し入った男の願いはただ一つ。その評論家のために「もう一度、おいしい料理を作る」こと。過去に酷評を受けた料理人の逆恨みなのか…『たったひとくちで』

    虐待を受ける同級生の彼女を助け出し、母親から盗んだ10万円を手に、ぼろぼろになった身体で逃避行に出た高校生のカップルは…『おふくろと歯車』

    40過ぎの独身女が一人暮らす家に現れた訪問者は、近所でも評判の好青年二人。二人の青年は女の目の前で突然プロレスを開始し…『仔猫と天然ガス』

    他、法律によって高齢者が守られなくなったこの国で、定年を迎えた男に起こる悲劇…『定年忌』。

    やくざの「武器」として日本に連れてこられた、異国の少女「ニーニャ」…『恐怖症召還』。

    動物禁止のアパートでこっそり飼っていた愛猫がくわえて来たのは、人間の「指」…『伝書猫』。

    初めてのBBQで人気のない川原にやってきた家族に襲いかかる恐怖…『しょっぱいBBQ』。

    エリート進学校で起こった陰湿ないじめ…『れざれはおそろしい』。

    虐げられたロボットの反撃によって皆殺しにされる人間達…『クレイジーハニー』。

    クビになる代わりに、男が押し付けられた最悪の仕事…『ダーウィンとべとなむの西
    瓜』。

    飛び込み自殺を図ろうとしている女、そこにもう一人の自殺志願者の男が現れて…『人間失格』。

    無茶なことばかりして、希望を失った男と、幸せの絶頂にいた男…『虎の肉球は消音器』。

    の「理解出来ない他人達に囲まれているという日常的不安が生み出す数々の悪夢を、その残酷さを愉しむように露悪的に描き出した14篇の作品集。」

    『本年度「このミス」第一位の著者による最新作
    空想が生んだ惨事が心の空白を埋める。無意味で不気味な心の暗渠を覗く14編。
    これを読む者は一切の望みを棄てよ。〜帯より〜』だ、そうで…。


    怖いもの見たさで、ついつい平山さんの本、読んでしまうけど…これは本当に怖い、怖すぎる。
    今なら、どこにでもありそうな話と思えてしまうし(そうそう「他人事」ではないというか…)。

    理解不能な話もいくつかあったけど、これまで読んだ中では、比較的解りやすかったかも。

    『定年忌』の、定年を迎えた途端に「ゴミ」扱いされるおじさんたちは、気の毒だけど、それまで自分たちがしてきたことを考えれば…だし、最後のオチにも納得(こんな風にならないように、というか…)。

    『しょっぱいBBQ』は、読んでいて、映画の『ミザリー』とか『シャイニング』の怖い場面、思い出してしまった。

    『れざれはおそろしい』は、これまた解りやすい「いじめ」の話で。
    「れざれ」の意味、きっと最後までわかんないんだろうな〜(これまでの経験上)と、思って半ば諦めて読んでたら、何ともすっきり。
    そしてありがち…。そして嫌な感じ。

    一番怖かったのは、『仔猫と天然ガス』の意味不明さ。
    でも、こういうのが近ごろの犯罪なのかも…とも思えてしまうし。

    『人間失格』は、まさに「人間失格」というか…。
    そこまでするかというか、でも、こういう輩も、へーきでいそうだし。

    帯の裏(後ろ?)に書いてある
    「恐怖とは何かと考えていた。
    確たる答えは見つからず、迷路に呆然と立ち尽くしていた時、最も怖ろしい出来事は常に新聞記事に在ることに気がついた。
    この世が孕む虚無や無関心こそ恐怖の豊潤な源泉だと気づいたのです。―――平山夢明」
    というのも、ものすごく良く分かるし。事実は小説よりも奇なり…というような事件、本当に多いし。

    「絶望」という言葉が何ともしっくりくるお話ばかりで、落ち込みそうになるけど、これが今のこの世の現実なのかもしれないなと。

    に、しても相変わらずタイトルの付け方があんまり良く解らんような…(そこがまた良かったりするのかもだけど)。

    JUGEMテーマ:読書

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      『ミサイルマン―平山夢明短編集』平山夢明

      ミサイルマン―平山夢明短編集
      ミサイルマン―平山夢明短編集
      平山 夢明 2007/6/25発行 P.317 ¥1,680
      ★★★★
      「死ぬも生きるもハプニング……。全く神がかった行為さね。そんなものの真っ只中に神の身ならぬおまえさんがほっそいほっそい嘴を差し込もうっていうんだろう。それしきのことで尻込みしてどうするんだよ。ハプニングこそあんたの殺しが、きちんと神の御手代わりとなった証じゃないか。それが証拠にわたしは絞められながら絶頂に達したんだ。そりゃ嬉しいもんだよ」               〜『枷』より〜

      ある日の学校の授業で自分たちが「影(オンブル)」という存在だと教えられた子供たち。たった一人の自分の「光(リュミエール)」を守るためだけに自分たちが産まれてきたことを知ったパン屋の一人息子の巳影は、ある凄惨な事件を境に、抜け殻となってしまったガールフレンドの「光(リュミエール)」を探すため、この街を出て行くことを決意し…『テロルの創世』

      自分の血と引き換えに、女の愛を一身に受けていたはずの、誰からも畏れられる醜い顔の男は、女の心を繋ぎ止めておきたいばかりに、「血」の味をさらに極上のものにするための努力を重ね…『Necksucker Blues』

      妻の連れ子だった娘を何者かによって殺害され、疑いの目を向けられた男は、特殊な能力を持つ男の父親の力を借り、真犯人を見つけ出し誘き出す事に成功したものの、逆に罠を仕掛けられ…『けだもの』

      人から殺されることを願っていた男は、死を覚悟しても死ぬことができず、死に直面した際に逆に殺害してしまった女からあることを教えられ、それからは「ある定められた状況下」で女を殺すことに執着しはじめ…『枷』

      仕事もなく、家もなく、どうにか辿り着いたゴミ溜めのような町で、ゴミと同化していた「ジョー」を拾ったのは、この町では有名な娼婦の「エミ」。
      「エミ」の家にはいたるところにいくつもの電話が置かれ、耳の聞こえないはずの「エミ」はたった一つの電話が鳴るのを待っているというのだが…『それでもおまえは俺のハニー』

      リストラにあったせいで家を失ったものの、分不相応な家を格安で借りることが出来、タクシー会社への再就職も決まり、ようやく落ち着いた暮らしが出来ると安堵していた男は、ある日次から次へと変わった客を自宅の側まで運ぶことに…。異様な気配を感じた男が妻に電話をかけてみると…『或る彼岸の接近』

      自転車泥棒が縁で知り合った「シゲ」と「俺」。
      一月に一度、テレクラで知り合ったなるべく「最低」な女たちを相手に、猟奇的な殺人を繰り返すことに快楽を覚える二人は、殺害現場に残してしまったシゲの財布を取り戻すために、遺体を掘り起こすことに。そこに現れたのは殺害した女の夫と名乗る異様な男…『ミサイルマン』

      「『独白するユニバーサル横メルカトル』(「このミス」2007年度版第1位)で話題を攫った鬼才・平山夢明、待望の最新刊!
      突き刺され。これが小説だ。人間の全存在を揺さぶる驚嘆すべき傑作集。
      テレクラで売春する女たちを殺して皮を剥ぐ快楽殺人者たちを主人公にした表題作をはじめ、吸血鬼、食人鬼、人狼がこの最低な世界に跋扈する! 想像力と表現の限界に挑み続けた戦いの成果、7編を収録。」だ、そうで。


      独白するユニバーサル横メルカトル』をそんなに気に入ったわけでもないけど、この髑髏の装丁に惹かれてまたもや読んでしまった…(何となく色合いと骨格がマサイ族っぽくて好きだったりするので)。

      で、やっぱり分かったような分からんような…だけど、この短編集では、いたるところに結構「愛」を感じてしまったかも。

      二番目に好きな『けだもの』(うーん、どっちがけだものだ)の、最後の妻の台詞「生きればいいじゃない……」には心打たれてしまったし、一番好きな話『それでもおまえは俺のハニー』は、何だか『春琴抄』(「百恵ちゃん」の映画でしか知らないけど)のようだし、この話は泣けてしまうし、こんな男欲しいし…。

      全編殆どグロい描写が満載なんだけど、あんまり気持ち悪くないというか、むしろ芸術的というか(そんな風に感じてしまうと、きっとアブナイんだろうけど…)思わず顔を背けたくなるような、そんな汚らしさが感じられないのが不思議だなと(でも、やっぱりゴーモンは嫌い…)。

      表題作『ミサイルマン』への「異色の人殺し青春小説」という表現も、複雑だけど納得(小説だから…)。

      『ミサイルマン』は、ザ・ハイロウズの曲らしいけど(知らなかったこの曲)、昔のブルーハーツの『リンダ・リンダ』を初めて聞いたときに受けた衝撃は今も覚えてるし、あのぶっ飛んだ感は、この本にも通ずるものがあるかもなと(で、やっぱりどちらも結構好きだったりするし)。
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        『独白するユニバーサル横メルカトル』平山夢明

        独白するユニバーサル横メルカトル
        独白するユニバーサル横メルカトル
        平山 夢明 2006年 光文社 P.294
        ★★★★★
        「もうなくす物は何もないと思っていたけど…なかなかなくならないものね」
        「君が現在、対峙している状況は限りなく極限に近いと言える。だが君が人の百億万分の一の価値しかない人間だとしても0からすれば一兆分の一、一千億万分の一などとまだまだ両者の間には無限の数字が存在する。ゼロを死と同義だと捉えるならば君は世界中のデパートが束になってもかなわないほど猖潤にもっている瓩肇璽蹐聾世Δ世蹐Α
        〜『怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男』より〜

        出会う人誰にでもあいさつができて、町のみんなから好かれる良い子の「たろう」。
        学校では「たろう」へのいじめが突然始まり、ひとりぼっちの帰り道、気付けば「たろう」は立ち入り禁止の湖の側に。
        そこで一人の汚らしい身なりのおじいさんと出会い、おじいさんの裸に興味を惹かれた「たろう」は、おじいさんにその持ち物の秘密のことを聞いてみたくて堪らなくなり…『ニコチンと少年――乞食と老婆』

        自分では動くことの出来ない腐った象のような大男「オメガ」の世話をすることになったのは、過去には数学者の元で働いていた男。
        死体の処理が仕事の「オメガ」の特殊な才能に気付いた男は、「オメガ」を利用して、いまだ完全な定理の解法には至っていない「リーマン予想」の解決を試みようとするのだが…『Ωの聖餐』

        学校にも家にも居場所のない10歳になったばかりの「ふみ」。
        自分を嫌な目に遭わせた近所のおじさんが何者かに殺されたことを知った「ふみ」は、このところ付近一帯で起こっている連続無差別殺人の事件現場を訪ね歩き、あるメッセージを残していくことに…『無垢の祈り』

        他『オペラントの肖像』、『卵男』、『すさまじき熱帯』、『独白するユニバーサル横メルカトル』、『怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男』の8編から成る短編集。

        『日本は壊れた。世界はどうだ。
        「このミステリーがすごい!(2007年版)、堂々の第1位!
        ミステリチャンネル「闘うベストテン2006」第3位
        業界騒然。掛け値なし、本年最大の問題作。平山夢明。この男、驚くほど高く跳ぶ。
        2006年度日本推理作家協会賞受賞作』だ、そうで。


        最新版の「このミス」の1位というので読んでみたけど、これって万人受けするのかなぁ?と、すごく疑問(カニバリズムとか…半端なく気持ち悪い場面がたくさんあって、おまけに大嫌いな数学の話が出てくるし…)。

        読んでる最中は「ぐえっ」と思うけど、後でじわじわとくる「もの凄いものを読んでしまった感」があって、最後には「これは面白いのかも…」と思わされてしまう。

        後で、どれが一番好きだったかな…と思い返すと、結構どれもはずせなくて(でも『Ωの聖餐』と『無垢の祈り』が特に好きかな)。

        『ニコチンと少年』は、読んだ後にタイトルを見て、妙に納得…。

        『卵男』は、何となく『羊たちの沈黙』っぽいけど、ラストには驚愕してしまったし。

        『オペラントの肖像』の騙された感はすごく良くて(ラスト一行は気に入ってないけど)、『すさまじき熱帯』の父親の豹変振りが面白いし、『独白する――』も犯人の職業に唖然だし…やっぱりどれもこれも印象に残ってるということは、やっぱり「すごい」のかな(装丁も好きな感じだし)。

        最後の『怪物のような――』だけは、ちょっと痛すぎて好きではないけど…(ゴーモンは嫌い)。

        なんだかマニアックなのが「このミス」の1位になる時代なんだなぁと、「日本は壊れた」の帯の文句に一番納得してしまったかも。

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