『空色ヒッチハイカー』橋本紡

  • 著:橋本 紡
  • 出版社:新潮社
  • 定価:1470円(税込み)
空色ヒッチハイカー
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書評データ
★★★★
どうしてお兄ちゃんはお兄ちゃんなんだよ! 僕がお兄ちゃんじゃないんだよ!
現実は変えられない。僕がどれだけ叫ぼうと、喚こうと、微動だにしない。だから僕は黙ることを覚えた。顔の表情を変えないことを覚えた。諦めることを覚えた。自らの分を、才を、ただ知るしかなかった。そしていつの間にか、僕は叫ぶことのできない人間になっていた。
 今も、そうだ。

勉強もスポーツも、何でも一番で、両親の自慢の息子、来年の春には東大を卒業し、晴れてエリート財務官僚となるはずだった「お兄ちゃん」。

そんな天才だった「お兄ちゃん」の背中を追い続け、少しでも近づきたくて頑張ってきた「僕」は、「お兄ちゃん」という目標を失った18歳の夏休み、「お兄ちゃん」の残してくれた年代物のキャデラックで旅に出ることにした。

どうせ酔狂な旅だから…と、ヒッチハイカーを拾っていくことを思いついた「僕」が最初に車に乗せたのは、「僕」より少し年上の謎の美女。

そうして神奈川を出発して七日間、行く先々で様々なヒッチハイカーと出会い、時には山道に迷い込み、辿り着いた先に見えたものは…。

「バカだからこそ、突き進める。
真面目だからこそ、迷わない。――究極の青春小説!」だ、そうな。


一見目的のわからないような長距離ドライブ、の話とくれば、金城さんの『対話篇』の中の『花』や、絲山さんの『逃亡くそたわけ』のようなものかなと思ってたけど、途中でヒッチハイカーを拾うという思いつきが、まあ、変わってたのかな。

電波少年の猿岩石のヒッチハイクの企画以降は、一瞬ブームになってたような気がするけど、今はどうなんだろう?

四日目のOL二人組を拾ったあたりから徐々に話に引き込まれていって、五日目に石崎さんという変わり者の男の人を拾ってからは俄然面白くなってきて、そこからはページを捲る手が止まらなくなってしまった(そこまでは正直、退屈だったんだけど)。
石崎さんのキャラも、やってることも、すごく好き(一緒にバンバンジー食べたいなと、バンジーは嫌だけど)。

石崎さんと一緒に降り立ったテーマパーク(?)は、「探偵ナイトスクープ」の小枝のパラダイスネタで出てきそう(もしかして、もう出たのかな?)。

キャデラックでは走りにくかろうと思ったけど、そこにもちゃんと意味があって…。

所々挿まれる「お兄ちゃん」との回想シーンを読んで、「僕」の向かう先に何があるのかと、どきどきしながら読んでしまった。

そして迎えたこのラストは、なかなかのものかも。
橋本さん、初読みだったけど他のも読みたくなってしまった(ラノベは手を染めたことがないから多分読まないとは思うけど…)。
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