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    『有頂天家族』森見登美彦

    有頂天家族
    有頂天家族
    森見 登美彦 2007/9/25発行 幻冬舎 P.357 ¥1,575
    ★★★★★
     平安遷都この方続く、人間と狸と天狗の三つ巴。
     それがこの街の大きな車輪を廻している。
     天狗は狸に説教を垂れ、狸は人間を化かし、人間は天狗を畏れ敬う。天狗は人間を拐かし、人間は狸を鍋にして、狸は天狗を罠にかける。
     そうやってぐるぐる車輪は巡る。
     廻る車輪を眺めているのが、どんなことより面白い。

    狸界を束ねる、洛中に名高い立派な狸であった父親の血を引き継いだ下鴨家の四匹の息子たち。

    責任感の強さだけを受け継いだ、かちかちに頭の堅い長男「矢一郎」、暢気さだけを受け継いだ引き篭もりの二男「矢二郎」、阿呆さだけを受け継いだオモシロ主義の三男「矢三郎」、そして純真さだけを受け継いだ、底抜けに繊細で化け下手の末の弟「矢四郎」。

    そんな四匹の「ダメ兄弟」のだめっぷりを温かく見守る偉大な母。

    大正時代から続く美食家たちの集まり、毎年行われる忘年会で「狸鍋」を喰らうのが習わしの「金曜倶楽部」。

    下鴨家と敵対する夷川家。

    そして下鴨一族の恩師でありながら、山を追われ、今は出町柳のアパートでつましく暮らす孤高の天狗「赤玉先生」と、「赤玉先生」が愛してやまない、人間でありながら天狗よりも天狗らしい「金曜倶楽部」の紅一点のメンバーである美貌の「弁天」。

    そんな個性溢れる面々と、立派すぎる父親を持つがゆえに「立派な父の血を引きそこねた阿呆たち」と、世間からは評される、堅い絆で結ばれたちょっぴり残念な四人の息子たちが、京都の街を縦横無尽に駆け巡る壮大なファンタジー(?)もしくはドタバタ劇。

    『偉大なる父、優しい母、かけがえのない兄と弟、こんなファミリーがまだ日本にあった。
    ……でも、これ、全部「狸」の話。
    かくも毛深き家族愛!! 』だ、そうで。


    これは、なんとも説明のしようがないオモシロさというか。
    完全にツボに嵌ってしまった。

    京都に住んでて良かったなぁと(出町の桝形商店街は馴染みの場所なだけに余計に…)つくづく思わせてくれるし、すれ違った人たちが実は狸だったりしないかなと期待してしまうし。

    誰もかれもものすごく愛すべきキャラクターで、物語の構成もなんとも素晴らしいし。徐々に徐々にきて、最後にドッカーンとはじけるのが堪らなく楽しい(そんなもんにまで化けられるのか…と、想像を絶する化け合戦もわくわくするし)。

    笑いあり、涙あり(母親狸の命の恩人の話や、矢二郎がカエルになってしまった話なんて、もう号泣してしまうぐらい)、そしてちょっぴりサスペンスというか、父親の死を巡る陰謀ありの盛りだくさんで。

    敵対する夷川家のアホ兄弟、四文字熟語好きな「金閣」「銀閣」も最高だし、その妹の矢三郎の元婚約者で姿を現さない「海星」も堪らなく可愛いし、矢四郎のしっぽもえも言われず可愛いし。

    まさに「面白きことは良きことなり!」の台詞を地でいく極上のエンターテイメント。

    そして「くたばれ」の台詞もまた最高(いつか誰かに使ってしまいそうな)。

    JUGEMテーマ:読書
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      『新釈 走れメロス 他四篇』森見登美彦

      新釈 走れメロス 他四篇
      新釈 走れメロス 他四篇
      森見 登美彦 2007/3/20発行 祥伝社 P.216 ¥1,470
      ★★★★
      「約束を守るも守らないも問題ではないのだ、信頼するもしないも問題ではないのだ。迷惑をかけてもいいだろう。裏切ってもかまわん。助け合いたければそれもいい。何であってもいいのだ。そんなことはどうでもいいのだ。ただ同じものを目指していればそれでいい。なぜならば、だからこそ、我々は唯一無二の友なのだ!」 〜『走れメロス』より〜

      「世間から忌み嫌われることを意に介せずのらりくらりと詭弁を弄し続ける」という茨の道をなぜか選び取った物好きたちの流刑地である「詭弁論部」に籍を置く、大学生の芽野史郎。

      汚い下宿で惰眠を貪り、落第を重ねて暮らしてきただけの阿呆学生である芽野ではあるが、厄介なことに人一倍邪悪に対して敏感なため、学園祭中に起きた「詭弁論部」の危機を知り、全学生の個人情報を一手に握る陰の最高権力者である図書館警察長官に、ひとり立ち向かうことに…。

      そして…芽野は走った…「詭弁論部」を廃部の危機から救うため、しいては芽野の身代わりに、人質として捕われの身となった無二の親友、芹名との「真の友情」を示すために(そして何より、桃色ブリーフの辱めから逃れるために)…表題作『走れメロス』

      他、大文字山の山中で人々を次から次へと襲うけだものに姿を変えてしまった男の話…『山月記』

      昔の彼氏と今の彼氏、二人の男と一人の女が置かれたそれぞれの立場で、それぞれの心中を吐露するものの、真相は誰にも分からない…『藪の中』

      作家志望の大学生の男は、桜の下で出会った女に魅入られ、女の言うがままに東京へ出て成功を収めるものの…『桜の森の満開の下』

      イギリス留学帰りの男が、知り合いから誘われて出向いた主催者不在の「百物語」のイベントで、最後に出会ったのは…『百物語』

      「あの名作が、京の都に甦る!?
      暴走する恋と友情――
      若き文士・森見登美彦の近代文学リミックス集!」だ、そうで。


      そういえば、森見さんの『夜は短し歩けよ乙女』が第二十回の山本周五郎賞を受賞されたそうで、「おめでとうございます」、ですね(「本屋大賞」もかと密かに期待していたのですが…)。

      で、かの有名な近代文学を、森見さん風に、現代風にアレンジされたこちらの作品も、やっぱり『夜は短し歩けよ乙女』を読んでからの方が、より一層楽しめるのではないかなと(登場人物然り、「パンツ番長戦」然り…個人的に好きな「象の尻」然り)。

      ここに出てくる5作品中、3作品は(坂口安吾の『桜の森の満開の下』と、森鴎外の『百物語』は全く知らない…)中学、高校の頃に一度は読んだ作品なので、大まかな筋は大体掴んでいたつもりでいたけど、ここに出てくる、全く原典とは異なるシチュエーションのはずの登場人物たちが、意外にもその枠に嵌りすぎてて驚いてしまった(て、いうかそれだけ森見さんの持って行き方がお上手ということなのか)。

      これは是非国語の時間に使ってもらいたくなるような…。

      中でも『藪の中』(これは元の芥川龍之介のお話もとても好きなので、ほんとに良く出来てる)と、抱腹絶倒の『走れメロス』は、秀逸。

      京都の街を走り回る芽野の行く先々の情景がすぐに浮かんでくれるので、京都に住んでて本当に良かったなぁと、しみじみ(河原町から烏丸までの地下道や、烏丸今出川から鴨川デルタや、その他もろもろ)。

      に、しても万城目さんの『鴨川ホルモー』もだけど、京大にはパンツ一丁で踊る伝統が本当にあるのか?と、なんだかそんなイメージが定着してしまいそうな(まあ、あるならあるで、是非見てみたいもんだと…)。

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        『太陽の塔』森見登美彦

        太陽の塔
        太陽の塔
        森見 登美彦 2006/6/1文庫化 新潮文庫 P.231 ¥420
        ★★★★★
        …何が特別なのか知らんが、世間ではクリスマスイブは特別である。クリスマスイブに比べたらクリスマスイブイブは重要ではない。ましてクリスマス当日などはなおさら無意味である。クリスマスイブこそ、恋人たちが乱れ狂い、電飾を求めて列島を驀進し、無数の罪なき鳥が絞め殺され、簡易愛の巣に夜通し立てこもる不純な二人組が大量発生、莫大なエネルギーが無駄な幻想に費やされて環境破壊が一段と加速する悪夢の一日と言えるだろう。彼らが信じ込んでいるものがいかにどうでもいいものか、我々が腹の底から分からせてやる。…

        大学に入ってからの三年間というもの、絶望的に女性との縁がなく、男たちだけのフォークダンスを踊りくるい、全く華のない生活を送っていた「私」が、万策を尽くし、仲間たちから抜け駆けして手に入れた、はじめての恋人、クラブの後輩でもある「水尾」さん。

        「恋人」ができたぐらいで…と自分に唾を吐きかける反面、嬉しくてたまらなかった「私」は、あろうことか一年前のクリスマスイブの日に「水尾」さんに袖にされてしまい、あくまで紳士的に別れに応じたものの、「彼女はなぜ私のような人間を拒否したのか」という疑問を解明すべく、その後も「水尾さん研究レポート」を続行することに。

        そして「水尾」さんの行動を、あくまでも「研究」と称してつけまわす「私」は、「水尾」さんのマンションから現れた、謎の男から屈辱的な言葉を浴びせられ……。

        「すべての失恋男たちに捧ぐ、爆笑妄想青春巨編in京都
        クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作」だ、そうで。


        ふぁ、ファンタジー……?なのか、これは(妄想も、そうなのか…)。
        男じゃないからわからんけど、男の人ってモテないと、こんなになってしまうのかと、あまりにも哀れで…(まあ、そこが笑えてしまうんだけど)。

        「私」を取り巻く個性的な男たちの醸し出す「男汁」臭もまた、本から漂ってきそうで、得も言われず…(結構むさ苦しいのは好きだけど、ここまではちょっと…)。

        立派に使命を果たそうと「水尾さん研究」に邁進する姿は、完璧なストーカーだけど、まあ確かに「水尾」さんも、研究するに値するような不思議な人物のような。

        何故あのプレゼントが気に入らないのか…私にも理解できなかったし(これ、すごく欲しいと思ったんだけど…)。

        彼女が惹かれる「太陽の塔」は、(関西人なので)高速に乗るたび目にしていた気がするけど、何故、そこまで…と(あれ見ると「芸術は爆発だ!」と叫びたくはなるけど…)。

        まあ、観覧車の場面では、私が彼女でもそうするだろうけど、逆に「私」という人間の研究もしたくなってしまうような、あまりにもオモロイ展開。

        何にせよ、モテない(わけでもないんだけど…自分から拒否ってるし)男たちによる、クリスマスイブの京都の四条河原町で繰り広げられる「ええじゃないか騒動」は、参加はしたくないけど、阪急のエレベーターや、高島屋の屋上ら辺からなら、見てて痛快かも知れないなと。

        私もここ最近は、クリスマスを一人淋しく迎えているから、この男たちの気持ちは痛いほど良くわかるし……。

        一番印象に残ってしまったストーカー同士の贈り物合戦は、どんなホラーよりも恐ろしかったし…布団に入ったら、耳元で「カサカサ」という音が聞こえてきそうで。


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          『四畳半神話大系』森見登美彦

          四畳半神話大系
          四畳半神話大系
          森見 登美彦 2005/1/15発行 太田出版 P.290 ¥1,764
          ★★★★★
          「慰めるわけじゃないけど、あなたはどんな道を選んでも僕に会っていたと思う。直感的に分かります。それでいずれにしても、僕は全力を尽くしてあなたを駄目にしちゃうからね。運命に抗ってもしょうがないでしょう」
          小津は小指を立てた。
          「我々は運命の黒い糸で結ばれているというわけです」

          大学三回生の春までの二年間を思い返し、実益のあることなど何一つしてこなかったことに今更ながら気づいてしまい、本当なら今頃は、幻の至宝と呼ばれる「薔薇色のキャンパスライフ」を送っていたはずの主人公である「私」が、こうもねじくれてしまい、この二年間の貴重な学生生活を、棒に振ってしまうこととなった全ての元凶は、遡ること二年前、桜の散った後の構内で、彼のサークルのビラを受け取り、後についていった先で出会ってしまった、一人の男。

          他人の不幸をおかずにして飯が三杯は食えるという、「私」にとっての宿敵であり、盟友であり、唾棄すべき男…。

          弱者に鞭打ち、強者にへつらい、わがままで、傲慢で、怠惰で、天邪鬼で…およそ褒めるべきところが一つもない恐るべき男、まるで妖怪ぬらりひょんのような小津。

          廃墟のような、今にも倒壊しそうな、九龍城に迷い込んだかのような四畳半の下宿にちょくちょく小津がやって来る度、赤子の如き美しかった魂を汚されてしまった「私」は、当然のごとく異性とは孤立し、学業は放棄せざるを得ず、果ては体力さえ奪われ、「ああ、あのときに別のサークルに入っていれば、今頃は薔薇色の…」と、ただひたすら悔恨の日々を送ることに…。

          映画サークル「みそぎ」に入った「私」は、その和気藹々とした雰囲気に馴染むことができないまま、ただひたすら他人の恋路の邪魔をすることばかりに専念した挙げ句…『四畳半恋ノ邪魔者』
          他『四畳半自虐的代理代理戦争』、『四畳半の甘い生活』、『八十日間四畳半一周』の4篇から成る連作短編集(?)。

          「無意味で楽しい毎日じゃないですか。
          何が不満なんです?
          『太陽の塔』(第十五回日本ファンタジーノベル大賞受賞作)から一年――
          再びトンチキな大学生の妄想が京都の街を駆け巡る!
          書下ろし700枚。」だ、そうで。


          いや、もうこれは「ガハハ」級の面白さで…。

          何より、妖怪じみてる小津の小悪魔的な性格(その昔、「小悪魔にょろよ」という台詞で「バカボン」に出てくるホンカンさんのようなキャラを演じていた、松っちゃんのギャグを彷彿させるような…)が、何となく鏡に映った自分の姿のようで、好きかも(こんなんなのに、ちゃんと彼女がいて、彼女の前では別の顔…という意外性も)。

          「世にも奇妙な物語」の後にちょこっとやってた「ifもしも」を見ているような(こっちの方が選択肢が多いけど)、不思議な物語…そして何となく「ドラえもん」のような…。

          最初の一篇を読み終わって、次のページをめくったときには「これは、もしや印刷ミスなのでは?」と、思ってしまったんだけど、なるほどねと。
          そして最後のひと言も、うーん、なるほど…で。
          出てくる小道具も、人も、本当になるほどね…としか言いようがなくて、もどかしい…。
          (実際、三条大橋の西にある束子屋さんは、前から不思議な存在だったし…)。

          夜は短し歩けよ乙女』に出てきたあの人たちは、こういう人たちだったのか…と、それもまた楽し。

          結局は、どうあがいたところで、こうなる運命なのね、と。

          に、しても「ジョニー」は今頃暴れん坊になっているのかしらん?と、とても気にかかる。
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            『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦

            夜は短し歩けよ乙女
            夜は短し歩けよ乙女
            森見 登美彦 2006年 角川書店 P.301
            ★★★★★ 
             しかし重大な問題は、彼女がまったく意を払わないということであった。私の持つたぐいまれなる魅力どころか、私の存在そのものに。こんなにしょっちゅう会っているのに。
            「ま、たまたま通りかかったもんだから」という台詞を喉から血が出るほど繰り返す私に、彼女は天真爛漫な笑みをもって応え続けた。「あ! 先輩、奇遇ですねえ!」

            ほっそりとした小柄な身体つき、艶々と光る短く切り揃えた黒髪、猫のように気まぐれな足どり…賀茂川の源流のごとく滾々と湧き出して尽きることのない、たぐいまれなる魅力と天然キャラを兼ね備えた「彼女」。

            所属するクラブの後輩である「彼女」と初めて言葉を交わしたその日から、魂を鷲掴みにされてしまった先輩の「私」は、着実に彼女の外堀を埋めた後での本丸攻略を夢見て、まずは何とか彼女の眼中に入ろうと、日夜、彼女の行く先々に出没するという、地道で怪しい「ナカメ作戦」を決行することに…。

            あるときは、夜の木屋町先斗町で、夏の下鴨神社の古本市で、さらには日々の行動範囲の、附属図書館や、大学生協で、吉田神社で、出町柳駅で――。

            ありえない数々の作られた運命の赤い糸的「偶然の出会い」も、気がつけば、春が過ぎ…『夜は短し歩けよ乙女』、夏が来て…『深海魚たち』、秋を越え…『御都合主義者かく語りき』、冬を迎え…『魔風邪恋風邪』。

            四季折々の京都を舞台に繰り広げられる、キュートで奇抜な恋愛(片思い?)小説。

            『「黒髪の乙女」に片想いしてしまった「先輩」。二人を待ち受けるのは、奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大回転だった!
            大傑作。文句なしに今年の恋愛小説ナンバーワン…(大森望「文芸評論家」)』だ、そうで。


            後輩の「彼女」の天然ぶりが、とにかくもう、可愛いくて可愛くて…(「おともだちパンチ」からして、やられてしまった…)。
            森見さん独特の擬音も可愛いし。

            出てくるキャラはみんな濃ゆくて、変わり者ばっかりなんだけど、そこがまた奇妙奇天烈で、すごく面白い!
            もちろん「先輩」をはじめ、こんなにキャラ全員を好きになる小説も珍しいかも。

            最初の章で高利貸しの「李白」さんが登場した場面は、何となくジブリの映画っぽくて(「湯ばぁば」みたいだし…)、摩訶不思議な世界。

            夏の古本市に出てくるお子さま(古本の神様?)も、そこで繰り広げられる馬鹿馬鹿しいような灼熱地獄も、秋の学園祭に出てくる「パンツ総番長」の恋の話も、どれもこれも、すごく楽しくて、上手く出来ていて、ものすごくわくわくさせられてしまった。

            自分に自信がなくて、彼女に打ち明けることができずに悶々と悩む先輩の姿は、本当に見ていてもどかしくて、微笑ましくて、可笑しくて…。

            でも、最後はちょっぴり現実的かな。
            最後のページの「先輩」と「彼女」、それぞれの思いが、絶妙かも。

            学園祭事務局長の「どいつもこいつも好き放題! 盗んだバイクで走り出したあの日のように、行きつく先も分からぬまま、走っていけると思っているのか!」という爆笑台詞に私は心を鷲掴みにされてしまった(尾崎ファンなので…)。

            タイトルを見て「い〜のち〜みじ〜かし♪恋せよ〜乙女〜♪」と、ついつい歌ってしまうけど、この歌のタイトルが『ゴンドラの唄』ということを、これ読んで初めて知った。(てっきりオペラの「蝶々夫人」の歌かと…)どのみち、古いけど…。

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              『きつねのはなし』森見登美彦

              • 著:森見 登美彦
              • 出版社:新潮社
              • 定価:1470円(税込み)
              きつねのはなし
              livedoor BOOKSで購入
              書評データ
              ★★★★★
              町が夕闇に沈みだすと、横に伸びた路地は神秘的に見えた。懐かしいようでもあり、不気味なようでもある。その奥へ入って行くと、そのまま迷って出られなくなるような気がした。枝分かれした路地の奥で何かが私を待ちうけているように思われた。雨が降り始める前は、ことさらそんな気配が漂う。〜『魔』より〜

              京都の一乗寺にある、小さな古道具屋、古くて面白いものであれば何でも扱う「芳蓮堂」。
              頼りなげな女主人が一人で切り盛りしている「芳蓮堂」で、バイトをすることになった大学生の「私」が、お得意様である風変わりな客との取り引きに応じて、差し出してしまった大切なもの…『きつねのはなし』

              大学生の頃、「先輩」が住んでいた一乗寺の古いアパートに入り浸り、飲めない酒を飲みながら「先輩」の話してくれる様々な話に耳を傾けるのがとても好きだった「私」。
              そんな「私」の前から姿を消し、もう二度と会うことのない「先輩」との思い出の日々…『果実の中の龍』

              家庭教師の教え子の自宅、御所の東側の入り組んだ狭い路地界隈で、近ごろ次々と人が襲われる事件が起きていると聞かされた「私」。
              ふと覗いた近所の煙草屋の店先で「私」の顔を見て何故か奥へ逃げ込んだ老婆は、夜な夜な人を襲っているものの正体は、人間ではないと話しているらしく…『魔』

              鹿ヶ谷にある屋敷に一人で暮らしていた祖父が亡くなり、その通夜に起きた不思議な出来事。
              深夜、寝ずの番を務める「私」と伯父たちの前に現れた「芳蓮堂」の女主人が、祖父から預かっていたものは…『水神』
              の、4編から成る、微妙な繋がり方の連作集。

              「熱狂的支持を得た、『太陽の塔』から三年、京の骨董店を舞台に現代の「百物語」の幕が開く。
              端整な筆致で紡ぐ、妖しくも美しい幻燈に彩られた奇譚集。」だ、そうで。


              これまた京都独特の古めかしさと、怪しさが醸し出す、不思議な感覚に陥る話で…。
              現代の話、なのに(数年前の出来事だとしても)何故か懐かしい匂いがするような。

              つい最近、京都新聞に掲載されていた森見さんのインタビュー記事を読んだばかりなので、本当に京都にとりつかれちゃった人なんだなぁと思ってたけど(写真で見る限りは、かなりの男前…)、それだけに、出てくる場所が、なかなか地味な京都の路地だったりするのでちょっと嬉しかったりして。

              読んでいて、子どもの頃に怖がっていたものを次々と思い出してしまった(今見れば何でもないようなもの、何故か家に飾ってあった能面とか、おばあちゃんの部屋の床の間の掛け軸とか、何となく不気味なもの)。

              そういう類の「怖さ」がひしひしと…。

              『魔』を読んで「逢魔が刻」の言葉が真っ先に頭に浮かんだので、意味を調べてみたら何だかすごく、この本にしっくりきたような。

              黄昏時は、沈んでいく太陽を背にして、その人が誰であるか分からない状態、誰彼(たそがれ)であり、近づくまで誰であるか分からない、近づいて初めて人か魔物なのかを知ることになる、魔物と会う時間…。

              「逢魔が刻」に、入り組んだ京都の路地をうろうろしてしまったら(似たような路地が多いし)、本当にとりつかれてしまうのかもしれないなと思わされてしまう。

              そんな「怖さ」の中で、一つだけ種類の違う「怖さ」が味わえた『果実の中の龍』が一番「ぞわっ」としてしまった。

              やっぱり人間の心が一番怖いのかも…。

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                吉田 修一
                読み終わった後も余韻に浸りたくなるような…これは、すごい。

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