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    『犬はどこだ』米澤穂信

    犬はどこだ
    犬はどこだ
    米澤 穂信 2005/7/25発行 東京創元社 P.309 ¥1,680
    ★★★★
    今更言っても遅い。遅いが、つい、呟いてしまう。
    「犬捜しだったら、よかったのに」
    だったら、こうはならなかった。

    順風満帆だったはずの人生に挫折し、半年間のひきこもり生活を経て、社会的リハビリのために、生まれ育った小さな町で〈紺屋S&R〉調査事務所を開業することにした、若干25歳の紺屋長一郎。

    「犬捜し」だけを業務とすることに決めていたはずの〈紺屋S&R〉が受けることになった最初の依頼は、想定外の失踪人捜しと、古文書の解読――。

    紹介人の顔をつぶすことを考えると、どちらの依頼も引き受けざるを得なくなってしまい、困ってしまった紺屋の前にふらりと現れ、探偵志願してきたのは紺屋の高校時代の後輩、見た目からして頼りにならなさそうなハンペーこと、半田平吉。

    そして二つの依頼を分担し、それぞれの業務を遂行すべく動き回る二人の調査は、いつしか交差し、物語は意外な展開を迎えることに…。

    「犬捜し専門(希望)、二十五歳の私立探偵・紺屋、最初の事件。『さよなら妖精』で賞賛を浴びた著者が新境地に挑んだ青春私立探偵小説。」だ、そう。


    茶髪で眉ゾリで何をやっても中途半端、なハンペーの意外な博識と活躍ぶりに、思わず拍手喝采したくなってしまった(人は見た目じゃないんだよ、というか…「オロロ畑」がこんなところに出てくるとは、それだけでちょっと感動)。

    紺屋の行きつけのコーヒーショップで働く、妹の梓にも(え?昔はそっち?と)。

    失踪した美女の、失踪理由も、最初は紺屋同様「こんな、つまらないことで?」と思ったけど、これがなかなか現代的で怖くて、でもって最後はもっともっと恐ろしくて(下手なホラー映画より想像力をかきたてられた分、怖かったかも…)。

    これまで米澤さんの作品を4作読んできて、何にこんなに惹かれるのかと考えると、主人公の「諦めた感」漂う、やる気のなさと、結末近くに漂う陰鬱さなのかもしれないなと。

    一度は抜け殻になってしまった主人公が、いつの間にやら「やる気」になって、最後に突き落とされる、というようなパターンが、結構好きなのかも。

    そして最後の一行を読んで、タイトルに改めて「にんまり」してしまった。
    多分続編もあるそうなので、それも楽しみだし(ちなみに、「小市民」シリーズの続編は「秋期限定マロングラッセ事件(仮題)」とあったので、それもかなり楽しみ)。

    甘い物より何よりコーヒー好きな私には、結構たまらん一冊だったかも(一日一杯なんて制限されると辛すぎるかもだけど…)。
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      『夏期限定トロピカルパフェ事件』米澤穂信

      夏期限定トロピカルパフェ事件
      夏期限定トロピカルパフェ事件
      米澤 穂信 2006年 創元推理文庫 P.235
      ★★★★
      要するに、そんな風に思っていた。そんな風に思ってしまうから多くの人を傷つけ、不愉快にさせ、自らも責めを負ってきたというのに。だからこそ「小市民」を標榜し、頬かむりをしていこうと決めたのに。
      ……それでもまだぼくは、こんなことを思ってしまうのだ。

      恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある、小鳩常悟朗と小佐内さん。

      小賢しい知恵働きで人が隠している裏を読んでしまう小鳩君と、仕返しを企んで楽しむという性癖を持つ小佐内さんは、その性格ゆえに二人それぞれが苦杯を嘗めた中学時代の経験から学んだ護身術として、『小市民』として生きるように協力し合うだけの関係。

      高校に入学して一年が過ぎ、周囲の目からは二人は地味なカップルとして認められ、お互いを盾にする『小市民』としての平和な日々を送っていた。

      そして小市民が故に、一緒に行動する友達もなく、一人で過ごすはずだった小鳩君の夏休み、ひょんなことからスイーツをこよなく愛する小佐内さんの〈小佐内スイーツセレクション・夏〉企画に付き合わされる破目に陥り、やがて二人の運命を左右する事件が…。

      「緊張の夏、小市民の夏。
      波乱と驚愕の夏休み!
      小市民を目指す小鳩君の、苦悩と甘いものと推理の日々
      新世代ミステリの旗手が贈る、待望の人気シリーズ第二弾!」だ、そう。


      前作『春期限定いちごタルト』の頃から、小佐内さん怪しすぎる…と思ってたけど、なんとしたたかな。

      小佐内さんの夏休み中の呼び出しに、あれこれ推理を巡らす小鳩君を見ていて、これは、もしや…と、ちよっとウキウキしてしまったのに(そうなればいいのになーと)。

      なのに、ここまで突き落とされてしまうとは…せ、切ない。

      小佐内さんの台詞「残るのは、傲慢なだけの高校生が二人…」に、これ読んでる間中感じてたまさにそのことが、すっきりしたと言うか、分かってたのか…と。

      続きの秋も冬もあるのかな?このままでは消化不良というか、小佐内さんの過去を是非知りたいし。

      小鳩君と同じく、甘いものはあまり好きではない私だけど、お祭大好きなので〈むらまつや〉のりんごあめには、かなり惹かれてしまったかも…これ、食べたい。
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        『春期限定いちごタルト事件』米澤穂信

        春期限定いちごタルト事件
        春期限定いちごタルト事件
        米澤 穂信 2004年 東京創元社文庫 P.245
        ★★★★★
        それは誰だったろう。心当たりは何人かいる。ぼくにそういうことを言ってくれそうな相手は。彼、もしくは彼女は、にこにこと笑いながらこう言った。
        「本当にお見事。鮮やかな推理。綺麗な証明。でも、その、まあ、なんていうか、言いづらいんだけど、はっきり言わせてもらうとさ。
         きみ、ちょっと鬱陶しいんだよね」

        中学三年の夏から訳あって共に行動するようになった「ぼく」こと小鳩常悟朗と小佐内さんは、互恵関係にあるが、依存関係にはなく、まして比翼連理の類(要するに恋愛関係)では全くなく…高校入学を機に「小市民」デビューを果たし、手に手を取って「小市民たれ」をモットーに、目立たず清く慎ましい高校生活を送ることを何より望むだけの友達関係。

        ところが高校入試の合格発表の日に、「ぼく」の小学生の頃の同級生、「割とおせっかいだけどいい奴」堂島健吾と再会したことから、小佐内さんの危惧する通りに、健吾が持ちかける様々な問題にふりまわされ、二人がせっかく掴みかけた「小市民」の地位を揺るがされる事態に陥ることに…。

        『羊の着ぐるみ』『For your eyes only』『おいしいココアの作り方』『はらふくるるわざ』『孤狼の心』の5編の連作短編集なのかなと思いきや、小佐内さんが楽しみにしているスイーツを巡る、スイーツだらけの話なのに、得てして甘くないミステリ。

        「そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を。
        小市民を目指す小鳩君と小佐内さんのコミカル探偵物語
        『さよなら妖精』の米澤穂信が放つライトな連作ミステリ」だ、そうで(『さよなら妖精』読んでないんだけど…)。


        可愛すぎる表紙のイラストにちょっとひきぎみで読まなかったので、いまさら…という気がしないでもないけど、面白かった。

        健吾が半ば強引に持ち込む「謎」は、本当に小さな「謎」だけど、それがこうなってこうくるのか…というか(「おいしいココアの作り方」は全く思いつかなかった、てか、それ本当に大丈夫なの?やってみたいけど…)、なかなか良く出来ていて。

        この二人は一体過去に何があって「小市民」を目指すんだ???と、不思議でならなかったけど…なるほどねと(でも小佐内さんの過去も知りたい…)。

        小鳩君の背後に忍び寄る小動物系の小佐内さんの不気味さ(?)が、かなりツボに嵌ってしまった。

        「小市民」という言葉は何気に使うけど、実際に「小市民」として生きるのも、案外難しいものかもしれないとな思えてしまった(そんな風に意識して生きなきゃならないほど、今の世の中はしんどいものなのかなと)。

        どちらかと言えば柳沢きみおの漫画の『大市民』的な生き方に、憧れたりはするんだけど…あっちは大人の浪漫かな(若者にはわかるまい…というか、歳取れば取るほど図々しく楽になれるのかもしれないな…)。

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          『ボトルネック』米澤穂信

          ボトルネック
          ボトルネック
          米澤 穂信 2006年 新潮社 P.248
          ★★★★
          〈グリーンアイド・モンスター〉
          ゴーストけい
           ねたみのかいぶつ。
           生をねたむ死者のへんじたもの。
           一人でいるとあらわれ、いろいろなほうほうで生きている人間の心にどくをふきこみ、 死者のなかまにしようとする。

           心のどくを消すほうほうはない。

          恋していたノゾミの死から2年が経ち、ようやく彼女の最後の場所、東尋坊を訪れることができたという、主人公、高校一年生の嵯峨野リョウ。

          そこへ母からの電話で急遽家に呼び戻されることになり、母の機嫌を損ねないようにと、手にした花を海へと投げ込み、急いで帰ろうとしたその時、突然の眩暈に襲われ、崖から転落――、そして、気が付けばリョウの眼前に広がるのは、何故か見慣れた金沢の街並。

          不可解に思いながらも、とにもかくにも、辿り着いた自宅でリョウを迎えるのは、見ず知らずの女の子…。

          どうやら「サキ」と名乗るその女の子は、リョウの世界では「産まれることのなかった姉」であるらしく、ここは、リョウが「産まれてこなかった世界」らしい。

          そして、サキと行動を共にし、元の世界へ戻る手がかりを探すうちに、リョウが知ることになるのは、あまりにも残酷な現実…。

          「懐かしくなんかない。爽やかでもない。
          若さとは、
          かくも冷徹に痛ましい。
          ただ美しく清々しい青春など、どこにもありはしない――。」なるほど、そうかも…。


          これは、感想を書くのがものすごく難しい(こんなに悩んだのはじめてかも…)。
          面白いと言えば、ものすごく面白いけど…面白いとは言えないというか。

          東尋坊には、若い頃一度だけ訪れたことがあるけど、何か、「死にたくなくても、死にたくなるような」…何かに引き摺り込まれてしまいそうな、そんな場所だなぁという印象が…。

          いろんな方のブログを読んでいて、いったいどんな最後が待ち受けているのかと、おそるおそる読んだけど、半分ぐらいのところで、「ああ、こりゃ本当に痛々しい…」と感じてしまった。

          現実として、そんな世界があると知ったら、それを思い知らされるのは、残酷すぎるのかも。

          多分私はどうやっても、うまくできないと思うので、気付いた時点で、心にドロドロした塊が溢れて、ものすごく嫌な人間になると思う(でも、これって特別な世界でなくても、他人に対して持つ感情かも)。

          主人公は、何かいまどきの若者だなぁと言うか、その考え方はどうなのかなぁと(こういう両親だから仕方ないのか、それとも本人の問題なのか…)。

          最後の何ページかは、何度も何度も読み返してみたけど、これはやっぱり救いがないのかな…。

          ただ、米澤さんの本は、初めて読んだので良くわからないけど、単なる怪奇現象?とも思えてしまった(全くの見当違いなら、ごめんなさい…)。

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