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    『彼女の部屋』藤野千夜

    彼女の部屋
    彼女の部屋
    藤野 千夜 2006年 講談社文庫 P.217
    ★★★★★
    うっかりミスをしたのはやはり最初に家へ誘われたとき、行く気がないなら「ない」とはっきり言わなかったことだ。そんなところで意味のないいい顔をしたせいで、なんだかややこしいことになってしまった。べつに家に遊びに行くなら行ってもいいのだけれど、そこまで熱心に誘われる理由がわからないのが嫌だ。〜『彼女の部屋』より〜

    結婚しても、しなくても、どちらでもいいようにと考えて、ファミリータイプのマンションを購入した30代独身の編集者。
    10月なかばに回ってきた回覧板で、「ハロウィン」のイベントがマンション内で行われることを知り、関係ないと思いつつ、とりあえず可愛くラッピングしたお菓子を用意したものの…『ハローウィーン』

    太りすぎて小型犬とは言えなくなってしまった愛犬、ポメラニアンの「アメリカ」のために、婚約者からは止められても深夜の散歩を続けるファンタジー作家の女。
    犬の散歩で知り合った、専業主婦の女に誘われて、深夜にも関わらずマンションにお邪魔し、ごちそうになり、後日婚約者にその出来事を報告すると…『アメリカを連れて』

    八年前に病気で他界した父が家に帰って来たと、母親から電話で聞かされ、今は兄夫婦と母親が暮らす実家に帰った児童書専門の出版社に勤めるともえ。
    家族全員が、ありえない現実をすんなりと受け入れ、親子の感動の再会シーンに興味を隠せない、ともえより年下の兄嫁。
    父も含めた家族全員で、父の墓参りに行き…『父の帰宅』

    友達に届いたストーカーからの手紙を、興味本位で預かることになったイラストレーター。
    ひとりで中身を確認するのが嫌で、次々と知り合いに声をかけ、皆に手紙を見せるうち、律儀にも住所も名前もきちんと書いてあるストーカーの家を探しに行こうと誘われて…『愛の手紙』

    お腹の痛みのせいで仕事が手につかないWebデザイナー。
    離れて暮らす二卵性双生児の兄に、「いちじく」の薬を買ってきてくれるように頼んだものの、すげなく断られ、仕方なく様変わりしてしまった馴染みの薬屋に行き、いつものおばさんではないお店の人から、強引に別の高価な薬を薦められ…『薬屋事件』

    二、三度会っただけで大して親しくもない知り合いから、何度もしつこく誘われて、断るのも面倒になり、しぶしぶ家を訪ねることにした、花屋でバイトをするバツイチの恭子。
    無職で暇な時間を持て余しているらしい独身の彼女の住むマンションは、意外にも豪奢で…。
    部屋を全部見せてくれるという彼女の申し出に従い、あちこち見て回る恭子が最後の部屋の前に立つと、急に態度を変える彼女に止められて…『彼女の部屋』

    「何気ない日常を淡々と描きながら、気にも留めずにやり過ごしている狄瓦里兇錣瓩瓩鯀〆戮防發び上がらせる掌編集。芥川賞作家が描く、6つの透明な物語。」だ、そう。


    うーん…、本当に本当に、ものすごく些細な日常と言うか(『父の帰宅』と『愛の手紙』以外は)、独身の私には、結構共感できる話ばかりで。

    『ハローウィーン』では、主人公の隣に住む、推定60代前半の福田夫人の落胆振りを、本人の気持ちを書かずして、読み手に伝えられるってすごいなぁと感心してしまった。
    誰にも悪意も何もなくて、でも傷ついてしまうというのはよくあることで…。

    主人公の部屋の様子や、冷蔵庫の中身があまりにも私のとこと酷似していたので、「そろそろ掃除しないとな…」と(冷蔵庫の中の発酵して蓋が膨らんだ「キムチ」って…忘れてた)。
    でも、意外とみんなこんなものかもと、ほっとしたというか。

    『アメリカを連れて』の、婚約者との「わからないこと」の考え方のズレや、その後の展開も、劇的でも何でもないところが、「ああ、こんなもんだなぁ」と、何もないことに安心してしまった。
    愛想をふりまく太ったポメラニアンの「アメリカ」が何より可愛くて、道で会ったらきっと触ってしまいたくなる。

    『愛の手紙』は、私なら、家を見に行くよりもまず、そのストーカーの顔を見たいと思ってしまうんだけど…(でも、怖いから陰からこそっと)。

    『彼女の部屋』の、八方美人と言われる主人公の気持ちは、ものすごく分かる。
    そういうことで「病院に行ったほうがいい」という、元ダンナの方が全然分からない…。

    ここに出てくる、少々病的な「家に誘う彼女」には、うんざりするけど、きっと相当寂しい人なんだろうなと想像する。

    朝から仕込んでおいたという晩御飯が、それかよ…と、主人公同様「ガクッ」となってしまったけど、そういうズレに気付かない人だから、こうなっちゃうんだろうなぁと。
    その歳まで、よくそれで来れたもんだと感心してしまった。

    そう言えば最近「強い子のミロ♪」のCM全然見てないけど、今もあるのかななどと、どうでもいいような些細なことを考えさせられるような一冊だったかも。

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