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    『紗央里ちゃんの家』矢部嵩

    紗央里ちゃんの家
    紗央里ちゃんの家
    矢部 嵩 2006年 角川書店 P.174
    ★★★★
    何故、誰も見つからないのだろう。
    殺されていないのだろうか。
    そういうような物騒な事は、なかったのだろうか。
    じゃあ何故、叔母さんも叔父さんもおじいちゃんも、あんなに変なのだろう。
    なんでみんなこんなにいつもと違うのだろう。

    毎年、夏休みを利用して、家族四人で泊まりに行くことになっている叔母の家。
    だけど今年は僕と父親の二人だけで行くことになった。

    叔母と叔父と、おじいちゃんと、僕より三つ年上のいとこの紗央里ちゃんの住む家には、僕が好きだったおばあちゃんもいたけど、どうやら叔母の話では、風邪をこじらせて死んでしまったらしい。

    強い雨の降りしきる中、車で7時間かけて辿り着いた叔母の家で、出迎えてくれた叔母のエプロンには、血がべっとりついていて、下の模様も見えないほどだ。
    「魚を…」という叔母の言葉を訝しがりながらも、出された夕食、生まれて初めて食べる「カップ焼きそば」の美味しさに舌鼓を打つ僕。

    夕食後に、叔父と一緒にお風呂に入り、先に上がった僕が、洗濯機の下の狭い隙間で見つけたものは、人間の指のようで…。

    僕たちと入れ違いに家を出てしまったという、紗央里ちゃんのものなのか、それとも死んだと聞かされたものの、実感の湧かない、おばあちゃんのものなのか…。

    そして、僕は家の中のあらゆる場所を探し始め…。

    「この家は、いつもと違う。
    驚愕のクライマックスまで、ひたひたと迫りくる恐怖。
    彗星のごとく現れた新鋭が、恐るべき家族の姿を描ききる。
    第13回 日本ホラー小説大賞 長編賞受賞作!」だ、そう。


    しゅ、しゅーる…。
    「僕」が次々に発見していくものは、グロテスクな物のはずなのに、何やらもう単なる「物」でしかなくて。
    読んでいて、御茶漬海苔さんの漫画『惨劇館』を彷彿させるような(結構、好きなので)…。

    最後の方の父親の台詞を聞いて、「子供より、親が大事と思いたい」という、太宰治の『桜桃』の一文を思い出してしまった…。何だか今の世の中を象徴しているような…(考えすぎかな)。

    何よりも、受験勉強のために一緒に来れなかった「僕」の姉との電話でのやりとりが、すごく面白くて、ツボに嵌ってしまった。
    こういうお姉さん、とても好き(これは『まことちゃん』の姉のようかな…)。
    しかも、親戚についての辛辣な意見は、なかなか的を射ているなと感心してしまった。

    異常な大人たち(警察官でさえも…)ばっかり出てくる中で、「僕」の優しい気持ち(「今こうしている瞬間にも人が死んでいるように、あの時そうしていた瞬間に僕の親しいおばあちゃんがこの国のどこにもいなくなってしまったのだ…」のくだり…。)と、電話の向こうの、姉の冷静さが際立つと言うか。

    「だって帰るしかないじゃない。…子供だし。」の台詞は、何か痛々しいというか、虐待とかされても逃げられないでいるのって、きっと「子供だから」と諦めるしかないんだろうな…という現実に胸が痛くなったというか…「家族」の怖さがよく描かれているなと(これも、考えすぎかな)。

    これ書いた矢部さん、19歳だか20歳だかの現役の大学生らしいけど、これからに、ものすごく期待してしまう(最初、一瞬ナイナイの矢部っちかと思ったんだけど…)。
    惜しくも「大賞」には選ばれなかった(「長編賞」なので)そうだけど、いつか何かやらかしてくれそうな…(ただ単に、私がホラー好きだから、そう思うだけかな)。

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