『オブラディ・オブラダ』佐藤弘

オブラディ・オブラダ
オブラディ・オブラダ
佐藤 弘 2006年 光文社 P.203
★★★★★
「好き」という言葉がこの世界から消去されてしまい、慌てふためく二人という状況が取って代わるほうが、その姿はあまりに滑稽で、人のことを好きになって泣くことなんて無くなってしまうのかもしれない。人に笑われようがどうしようがそっちのほうが幸せなんじゃないかと思う。

近所に住む大学生のフルヤ君のことを好きな陽子ちゃん、のことが大好きな高校生の僕は、フルヤ君の部屋で、フルヤ君のことを考えながら何かをしている陽子ちゃん、を見つめることが幸せなので、時々学校をサボって、フルヤ君の部屋へぐだぐだしに行き、3人で、ただくだらない時間を過ごしたりする。

学校には、僕のことを好きな、クラスメイトのしっかり者の綾がいて、他にも、僕と良く目が合うクラスメイトも僕のことを好きなのでは…と密かに思ってたりする。

友達の一樹は、同じ美術部の後輩と付き合っていて、二人が別れたら、どっちかが部活に来なくなるんだろうか…などと、本人達が考えもしないことを、僕はうだうだと考えたりする。

陽子ちゃんとは付き合わないというフルヤ君は、年上の女性に飼われていて「出張」と言って一ヶ月のうちの一週間ほど、部屋を空ける。
そんな時、陽子ちゃんは僕にフルヤ君への不満をぶちまけたりする。

そして、僕の高校の文化祭が近づき、やる気のない僕も、携帯で呼び出され、クラスの出し物の準備をだらだらと手伝うのだが……。

「1人だったり、3人でいたり、みんなと一緒にいたり。そして、僕とあの人。文化祭と大学生の部屋と学校の帰り道、それはきっと本当に素敵なことなんだ。第36回新潮新人賞を受賞の25歳著者が描き出す“僕と大切な人たち”のやさしい想い。」というようなお話。


つい最近読んだ『愛でもない青春でもない旅立たない』の、高校生版のよう。
主人公のぐだぐだした頭の中が延々と綴られていて、正直、こんなに色んなことをいちいち事細かく考えてたら、しんどくなってしまいそうな気がする。
これが、純文学というものなのかな。

とは言え、そこに綴られていることは、とても分かりやすかった。
誰かが誰かを好きでいても、その想いが必ずや報われるというものでないというのも、付き合うことが幸せなのか、というのも、何だか、すぐにくっつくよりも好感が持てた。

友達のカップルのことも、綾の気持ちも、こんなこと、思ってても口には出さないなというようなことが、全部言葉にして書かれているようで。

「フルヤ君がそうなのは、やっぱり人のことを本当に好きになったことがないからだよ」
「だって、本当に好きになるなんてことそんなに何回もあることなのだろうか」
「本当なんてのは、本当になったことがない人が分かるわけないじゃない」
「本当なんてことがそもそも間違いかもしれないじゃないか」

まあ、こんな感じの会話が多くて、フルヤ君には私も煙に巻かれそうだけど、馬鹿正直なんだなと思えた。
悪い人なら、きっと陽子ちゃんと「遊び」でも付き合ってそうなので…。
最後の方でも、それは如実に現れてたけど。

文化祭で、見せた「僕」の意外な一面にも好感が持てたし(少々幼い気はするけど…)、そんなことで喜ぶとは思ってもみなかった。

この本のタイトル、曲は知ってたけど、ビートルズとは知らなかった(洋楽に全く疎いので…)。
ナイジェリアのヨルバ族の言葉で「人生は続く」という意味だとか、いや、そんな言葉はないだとか…、でも、この本には良く合ってるなと思えた。

NHKの子供番組「みんなのうた」?で、この曲をカバーして歌っていたのがフォーリーブスだったとは…、き、聴きたい…(「イエローサブマリン音頭」は、嫌というほど耳に残ってるんだけど…)。
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