スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

0
    • -
    • -
    • -
    • by スポンサードリンク

    『膠着』今野敏

    膠着
    膠着
    今野 敏 2006年 中央公論新社 P.254
    ★★★★★
    その日は一日中くたびれていた。前夜、宣材作りでほとんど寝ていないのだから当然だ。一刻も早く家に帰って眠りたいと思った。だが、先輩たちより先に帰るわけにもいかない。
     最近の若いやつらは、そういう心がけがなっていないとよく世間では言われるが、不心得者は少数派なのだ。多くの若者は、何とか会社に馴染み、社会の一員になろうと必死なのだ。

    「糊屋は糊を作るのが仕事だ」という、社長の確固たる信念のもと、いまだに年功序列や終身雇用にこだわり、職人気質を大切にし、バブルの時代にも躍らされず、ひたすらに「糊」だけを作り、売り続けてきたという、接着剤の総合メーカー「スナマチ株式会社」。

    三流私立大学出身で、就職活動に苦労した末に、ようやく「スナマチ株式会社」に入社することができたという丸橋啓太は、一月間の工場での研修を終え、本社の営業部に配属されて早々に、とんでもない失敗をやらかしてしまう。

    入社して間もない啓太のミスを、巧みな話術で、見事に相手を丸め込み、カバーしてくれたのは、「どんなものでも売り込んでみせる」と日ごろから豪語している、一見やる気のなさそうでいて、実は営業部のホープだという、本庄。

    見た目とは違い、有能な営業マンである本庄のオマケとして、御殿場にある工場で開かれた、極秘の会議に急遽出席することになった啓太は、そこで驚愕の事実を聞かされることに…。

    啓太たちに課せられた使命は、社運をかけた新製品の「失敗作」の、有効な利用方法を考え出すこと。

    その日から、啓太たちは情報の漏洩を防ぐため、工場の寮に缶詰めとなり、休む間もなく不毛な議論は続けられるのだが…。

    「新人営業マン丸橋啓太はとんでもない失敗作を目の前にして、寝ても覚めても商品化の道を懸命に模索する―。今野敏だから描けた“新商品開発物語”。」だ、そう。


    表紙のイラストとタイトルの奇抜さに、ついついそそられてしまった。
    (この液体、鼻水かと思って…)。
    ご本人のHPでの弁曰く「ライトに読める企業小説」だとか。
    荻原さんの「神様からひと言」にも、少し通じるものがあったような(会議の場面が多かったせいか…)。

    どこの会社でも、きっとこんなことやってるんだろうなぁと思わせるような、延々と続く実のない会議。
    誰が情報を漏らしただとか、スパイだとか…これも良くありそう。

    株価とか、TOBとか、私にはあまり良く分からないけど、何となく「ふーん、そうなのか。」と、納得。

    失敗作の「くっつかない接着剤」の使いみちがものすごく気になったので、読み始めたら止まらなくなってしまった。

    「アメリカの真似をしても、日本は豊かにはならないような気がする…」の、本庄の台詞に結構考えさせられた(とてもライトじゃないような…)。
    終身雇用制度、私は復活させてもらいたいけど…。

    最後に「糊、好きか?」と聞かれて、答える啓太が何とも清々しい。

    中身があるんだか、ないんだか良くわからない微妙に面白い本だったけど、読んでる間、ひたすら「糊」のことを考えられて、なかなか普段できない貴重な体験だったような…。
    タイトルの意味も、なかなか。

    ちなみに私は100均で売ってる「テープ糊」にとても愛着があるような…。
    0

      1

      calendar

      S M T W T F S
            1
      2345678
      9101112131415
      16171819202122
      23242526272829
      30      
      << April 2017 >>

      読書メーター

      uririnの最近読んだ本 uririnの今読んでる本

      新刊チェック

      selected entries

      categories

      archives

      recent comment

      • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
        uririn
      • 『痺れる』沼田まほかる
        uririn
      • 『絶望ノート』歌野晶午
        uririn
      • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
        いちれん
      • 『痺れる』沼田まほかる
        くり
      • 『絶望ノート』歌野晶午
        智広
      • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
        uririn
      • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
        苗坊
      • 『永遠の0』百田尚樹
        uririn
      • 『永遠の0』百田尚樹
        苗坊

      recent trackback

      recommend

      recommend

      recommend

      recommend

      recommend

      recommend

      悪人
      悪人 (JUGEMレビュー »)
      吉田 修一
      読み終わった後も余韻に浸りたくなるような…これは、すごい。

      recommend

      しずく
      しずく (JUGEMレビュー »)
      西 加奈子
      サイン本買っちゃった。

      recommend

      recommend

      たぶん最後の御挨拶
      たぶん最後の御挨拶 (JUGEMレビュー »)
      東野 圭吾
      猫なんです…。

      recommend

      recommend

      recommend

      ねこの肉球 完全版
      ねこの肉球 完全版 (JUGEMレビュー »)
      荒川 千尋,板東 寛司
      たまらん。

      recommend

      ニャ夢ウェイ
      ニャ夢ウェイ (JUGEMレビュー »)
      松尾 スズキ, 河井 克夫
      たまらん…

      recommend

      recommend

      僕たちの戦争
      僕たちの戦争 (JUGEMレビュー »)
      荻原 浩
      とにかくお薦め。

      recommend

      出口のない海
      出口のない海 (JUGEMレビュー »)
      横山 秀夫
      たくさんの人に読んでほしい…

      links

      profile

      search this site.

      others

      mobile

      qrcode

      powered

      みんなのブログポータル JUGEM

      使用素材のHP

      Night on the Planet フリー素材*ヒバナ *  *

      PR