スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

0
    • -
    • -
    • -
    • by スポンサードリンク

    『このベッドのうえ』野中柊

    このベッドのうえ
    このベッドのうえ
    野中 柊 2007/2/28発行 集英社 P.202 ¥1,365
    ★★★★★
    私の人生における、唯一無二の恋。そんなふうに感じていたのは、年齢のせいだったろうか。まだ若かったからなのだろうか。もちろん、彼との将来も夢見ていた。いや、それは嘘かもしれない。彼のそばにいるときには、いつだって未来はどこにもなかった。現在と――いくら手を伸ばしても、すんでのところで手の届かない過去しかなかった。
     今になってみると、こう思う。いつか失われる恋だと予感していたからこそ、私はあれほどまでに彼を愛しがっていたのかもしれない、と。   〜『真夜中にそっと』より〜

    名残雪が静かに舞い降りる真夜中、窓の外の同じ景色を見せたくなり、電話をかけたものの、優しい現在の恋人の声を聞くに止めた女は、一人ぼっちで自作の石榴酒を飲みながら過去の激しい恋愛を想い…『真夜中にそっと』

    つつじが燃えるような初夏の夕暮れ、家を訪れていた一時は疎遠になっていたはずの姉の友人であり、かつての憧れの人を、駅まで送ることになった大学生の「僕」は、彼女の離婚話を聞き、駅までのつもりが一緒に電車に乗り込み…『余音』

    なにもかもが燦然と輝く夏の午後、海に近いマンションに住む女に招かれたカップルは、去年は彼女の隣にいたはずの男の不在に違和感を感じ…『さざなみ』

    付き合って八年近くにもなる恋人と過ごす秋風の吹く夜、いつもと同じように食事をし、シャワーを浴び、いつもとは違う、部屋には場違いな真鍮のベッドに潜り込んだ「私」は、ベッドの前の持ち主の従姉妹のことを思い…『このベッドのうえ』

    冬の到来を告げるかのようなマリーゴールドの花の終わりに、馴染みのバーのカウンターで言葉を交わすようになった、年齢の離れた女性から他愛もない話を聞くうちに、付き合っている彼女への自分の態度を後悔する男は…『マリーゴールド』

    姉がいた頃と変わらず姉の元彼とのクリスマス・パーティーを、もう何年も続けている「私」は、今年が最後と思いつつ…『七面鳥を焼いて』

    付き合い始めてから、初めて迎えるバレンタインデーに彼氏へのプレゼントに迷う彼女が選んだのは…『なんでもない感情』

    花びらも散り行く桜の季節の終わり、大学時代からの友人に花見に誘われた「僕」は、彼女のあまりの変貌振りに、現在の彼女の心境を問いただすと意外な答えが返ってきて…『春の嵐』の、8編から成る、恋に揺れる男女の複雑な心のうちを、美しい筆致で描く恋愛短編集。

    「この恋は いつまでも続かない。
    続けられない。
    だからこそ今
    私は、夢中で、恋をする。
    恋のもたらす恍惚と危うさをつぶさに描いた生命感あふれる恋愛小説。
    今、最も支持される恋愛小説の書き手が贈る、季節を巡る珠玉の8編。」だ、そうで。


    ここに出てくる多くの物語には、特別な何かは、何もなくて、結末も特にはなくて、ただ、ごくごく普通の男女や、カップルの、その時々の心の揺れというか、そういうのが濃ゆく描かれていて、だからこそ読んでいて懐かしい気持が蘇ったり、今の自分の心境をずばり言い表されているようで…痛いところをつくような。

    『真夜中にそっと』の主人公が、突然理由もなく涙してしまうのも、現在の彼氏の誠実さと優しさと、その安心感への不安さも、手に取るように解るかも。

    「失うとわかっているからこそ愛しく思える」というのは、まさにその通りで(と、恋愛がいつまでたっても日常化しない私は、いつか失う怖さに怯えて暮らしているのが、ある種の快感にもなっているような…まあ、結構ドMな性格なので、これはこれでいいのかも知れないなと)。

    表題作の『このベッドのうえ』には、ちょっとドキドキさせられたけど、どの話も、読み終えるとすぐに忘れてしまうぐらい、何も残らないような話だなぁと、その時には思ったけど、実は妙な余韻をひきずるというか…寂しい心の隙間にそっと入り込むような話ばかりだったのかも。
    0

      『祝福』野中柊

      祝福
      祝福
      野中 柊 2006年 角川書店 P.206
      ★★★★★
      どうせ、ひとはいつかは死ぬのだから――だれもが、この世から消えてしまうときが来るのだから、たった今だけでも、生きることをおそれるのはやめましょう。目の前にいる愛しいひとに言いたいことがあるとすれば、それがすべてだと思う。〜『遊園地』より〜

      予言めいた言葉を最後に残し、別れた恋人の記憶は、髭剃り用の「しゃぼん」の匂い。
      「恋をせずには生きられないタイプ」の「私」は、その後も、幾つかの出会いと別れを繰り返し…『しゃぼん』

      ひと夏の海辺の家の住人に招かれ、自慢の飲み物をご馳走になり、その日から毎日のように彼女の元へ通う大学生の「ぼく」。
      その家の本当の持ち主がやって来る日を気にしつつ…『セカンドハウス』

      絵に描いたような幸せな結婚生活を送る妹と、妹にひきとってもらった愛猫に会いに妹の家を訪れる姉。
      祖父と祖母を一度に失った二人が、子供の頃に憧れていたのは「赤い糸」…『銀の糸』

      大人になって再会した、幼馴染の「三原くん」と「私」。
      二人のその時間は、まるでジェットコースターに乗っているようだと「私」は思う。
      そして会うたびに「三原くん」の行為はエスカレートしていき…『遊園地』

      友達の結婚式で隣りの席に座った女性に、粗相をしてしまった「僕」が、お詫びの贈り物を届けると、思いがけずお礼の電話がかかってきて、なりゆきから「僕」の家にやって来るという…『メトロノーム』

      お気に入りだったビストロに行けなくなってしまった「私」を、時々深夜の植物園に連れ出して、料理をふるまってくれるのは、その店のオーナーシェフ。
      シェフの報われない恋の話と、「私」が、これまで恋人にも話したことのないという「奇跡」の話…『祝福』

      「ほんとうの居場所を見つけようとして、私は恋をする。
      『あなたのそばで』『きみの歌が聞きたい』で新世代の恋愛小説を切り拓いた著者初の短編集。
      幸せな予感に満ちあふれた表題作『祝福』を含む、色鮮やかな恋の物語。」だ、そう。


      色鮮やかな表紙のイラストに、まず目を奪われてしまった。
      最近、白っぽい表紙に慣れていたせいか、すごく斬新。

      『しゃぼん』の、「匂いの記憶」というのが、嫌になるくらい、良く分かる。
      街中とかで、その「匂い」を感じると、一瞬にしてその頃の記憶が鮮明に蘇ってくるということが良くあるので(何でいつまでもいつまでも忘れないかな…と思うぐらいに、ずーっと以前の記憶でも)。

      全体的に、なんとなく「ふわふわした物語」という感じ。

      『遊園地』だけは、なかなかきわどかったけど、これだけ掲載されてた雑誌が別物ということで、納得。
      これは、これで面白かったんだけど…。

      何より、物語の中で、猫が大切にされていたので好印象。
      きっと猫が好きな人なんだろうな…と勝手に想像して嬉しくなってしまった。

      藍色さんもブログで書かれてた「りんごにピーナツバター」、私も試してみようかな…。

      0

        1

        calendar

        S M T W T F S
         123456
        78910111213
        14151617181920
        21222324252627
        28293031   
        << May 2017 >>

        読書メーター

        uririnの最近読んだ本 uririnの今読んでる本

        新刊チェック

        selected entries

        categories

        archives

        recent comment

        • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
          uririn
        • 『痺れる』沼田まほかる
          uririn
        • 『絶望ノート』歌野晶午
          uririn
        • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
          いちれん
        • 『痺れる』沼田まほかる
          くり
        • 『絶望ノート』歌野晶午
          智広
        • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
          uririn
        • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
          苗坊
        • 『永遠の0』百田尚樹
          uririn
        • 『永遠の0』百田尚樹
          苗坊

        recent trackback

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        悪人
        悪人 (JUGEMレビュー »)
        吉田 修一
        読み終わった後も余韻に浸りたくなるような…これは、すごい。

        recommend

        しずく
        しずく (JUGEMレビュー »)
        西 加奈子
        サイン本買っちゃった。

        recommend

        recommend

        たぶん最後の御挨拶
        たぶん最後の御挨拶 (JUGEMレビュー »)
        東野 圭吾
        猫なんです…。

        recommend

        recommend

        recommend

        ねこの肉球 完全版
        ねこの肉球 完全版 (JUGEMレビュー »)
        荒川 千尋,板東 寛司
        たまらん。

        recommend

        ニャ夢ウェイ
        ニャ夢ウェイ (JUGEMレビュー »)
        松尾 スズキ, 河井 克夫
        たまらん…

        recommend

        recommend

        僕たちの戦争
        僕たちの戦争 (JUGEMレビュー »)
        荻原 浩
        とにかくお薦め。

        recommend

        出口のない海
        出口のない海 (JUGEMレビュー »)
        横山 秀夫
        たくさんの人に読んでほしい…

        links

        profile

        search this site.

        others

        mobile

        qrcode

        powered

        みんなのブログポータル JUGEM

        使用素材のHP

        Night on the Planet フリー素材*ヒバナ *  *

        PR