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    『心にナイフをしのばせて』奥野修司

    心にナイフをしのばせて
    心にナイフをしのばせて
    奥野 修司 2006年 文藝春秋 P.271
    ごく単純なことだが、Aが「更生した」といえるのは、少なくとも彼が加賀美君の遺族に「心から詫びた」ときだと思う。……
     もちろん少年法は、遺族に謝罪することを義務づけてはいない。それゆえ、法律上は彼が謝罪しなかったからといって非難される筋合いのものではない。だが、どこかがおかしい。少年法を楯に、加害者もその親も責任を免れるとしたら、やはり少年法のどこかが間違っているのだ。                    〜「あとがき」より〜

    その日の午後三時三十分ごろ、母親は息子が救いを求め、母を呼ぶ白昼夢のような光景を目にしていたという。

    1969年の春、午後四時すぎ、部活に励む生徒達が残る高校の校庭に、一人の生徒が担ぎこまれた。
    この春高校に入学したばかりの一年生のその生徒、少年Aは「頭のおかしな奴が日本刀を持って暴れているから助けて欲しい」と、自身も傷を負い、血だらけになりながら駆け込んできたという。

    そして慌てて事件現場に到着した教師達は、首を切断された生徒の死体を発見する。

    事件の三日後、目撃者の証言から犯人を割り出していた警察によって事情聴取を受けた少年Aは、犯行を自供した。

    その後の少年Aの消息は、教師達にも、無論遺族たちにも知らされてはおらず、少年院で自殺したという噂だけが流れたという。

    それから三十余年の時が過ぎ、1997年に起きた、神戸の児童連続殺傷事件を調べていた著者が、「28年前の酒鬼薔薇事件」に行き当たり、10年間に及ぶ取材の結果、発掘したという驚くべき事実…。

    「高1の息子を無残に殺された母は地獄を生き、同級生の犯人は弁護士として社会復帰していた!追跡!28年前の『酒鬼薔薇』事件 
    これまでの少年犯罪ルポに一線を画する、新大宅賞作家の衝撃ノンフィクション。」だ、そうです。


    新聞の広告かなんかでこの本のことを知ったとき、最初は、28年前に殺人を犯した少年が、更生して弁護士になって、自伝を書いたのか…などと間抜けなことを思ってしまった。

    少年Aのことについて触れられていたのは、最初と最後の部分だけで(それも「少年法」の壁なのか)、大半は、少年Aに殺された同級生の遺族のその後、の話。

    特に、一家の希望の星であった兄ではなく、自分がいなくなっていれば…と何度も考え、後にリストカットで自分を傷つけたと言う妹さんの、事件後の心の葛藤は、読んでいてとても辛くなってしまった。

    事件以来、家族の前では決して涙を見せなかった父親が、心を解放する場所も…。
    登山だけが唯一の趣味だった少年を思い、「こんなことなら山で死んでくれたほうが…」という言葉が、唯一父親が漏らした恨み言だったかも。

    二年間あまりは薬に頼り、その間の記憶がないという壊れてしまった母親も痛々しい。

    それでも、少年Aを恨むと余計に辛くなるからと、平和な生活だけを望んでいた遺族の姿は、あまりにも高潔というか、人間ができてるというか…。
    それはおそらく、本当にそういう目に遭った人たちにしか分からない心境なんだと思う。

    ここに書かれていることが、真実なら…どうして弁護士にまでなった人間が、自分が命を奪った被害者の家族にそんな態度を取れたのかが、全くもって理解できなかった。

    つくづく理不尽な世の中なんだと思い知らされる。

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