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    『超・殺人事件―推理作家の苦悩』東野圭吾

    超・殺人事件―推理作家の苦悩
    超・殺人事件―推理作家の苦悩
    東野 圭吾 2004年 新潮社 P.301
    ★★★★★
    奇妙な時代だ、と思う。本をあまり読まないくせに、作家になりたがる者が増えている。さほど売れていないのにベストテンが発表されたりする。一般読者が知らないような文学賞が増えている。本という実体は消えつつあるのに、それを取り巻く幻影だけがやけに賑やかだ。
     読書って一体何だろうな、と黄泉は思った。
                           〜『超読書機械殺人事件』より〜

    小説家になって十年、例年になく収入が増えてしまったがための、税金対策に慌てふためく推理作家の苦悩。
    確定申告に備え、知り合いの会計士から算出された額は、思わず笑うしかないような、でたらめな、滅茶苦茶な金額…。
    あちこちから領収書を掻き集め、試行錯誤の末、経費に算入するために推理作家が書き上げた小説は…『超税金対策殺人事件』

    理系人間を自負する中学校の理科教諭。
    タイトルに惹かれ、本屋で手に取り、夢中で読み始めた『超理系殺人事件』。
    小難しい専門用語の連なるこの本を、何度も同じところを繰り返し読み、必死に理解しようとするのだが…『超理系殺人事件』

    ベストセラー作家、鵜戸川の別荘に、突然呼びつけられたのは、別々の出版社に勤める四人の編集者たち。
    近々雑誌に掲載される予定の鵜戸川の「犯人当て小説」を読み、一番最初に見事犯人を当てた編集者には、賞品として長篇新作が与えられるというのだが…『超犯人当て小説殺人事件(問題篇・解決篇)』

    九十歳になっても、なお現役で活躍している作家、藪島清彦。
    近頃では、「いよいよあの人にも来るべきものが…」と、担当編集者の小谷が思うほど、おかしな兆候が作品の中に見られるようになり、それらはいちいち小谷の手で修正されていくのだが…『超高齢化社会殺人事件』

    デビューして三年、わずかな原稿料で生計を立てている、売れない小説家の苦悩。
    ようやく巡ってきた連載の大仕事、連続殺人を扱った推理小説に登場する人物と同じコスチュームを纏う女性たちが、現実に次々と殺されるという事件が起き、マスコミでも話題になるのだが…『超予告小説殺人事件』

    三年ぶりの書下ろし長編小説を仕上げ、その出来栄えに満足していた小説家の元にかかってきた編集者からの電話。
    出版社の注文に応じて、書き上げた長編小説の中身をさらに水増しし「渾身の二千枚大作!」のキャッチフレーズで売り出すことになったのだが…『超長編小説殺人事件』

    これといったアイデアが浮かばないまま、推理小説の最終回を迎えてしまった作家の苦悩(超短編)…『魔風館殺人事件(超最終回・ラスト五枚)』

    有名なミステリ小説の評論家、門馬の元を訪れ、「高機能読書マシン」のモニターを薦めるのは「ショヒョックス販売株式会社」のセールスマン、黄泉よみ太。
    デモンストレーションですっかり気に入ってしまった門馬は、早速手に入れた「ショヒョックス」を使って仕事を始めるのだが…『超読書機械殺人事件』


    「『超読書機械殺人事件』をはじめ、推理小説誕生の舞台裏をブラックに描いた危ない小説8連発。意表を衝くトリック、冴え渡るギャグ、そして怖すぎる結末。激辛クール作品集。」
    だ、そうな。


    これはもう、何度読み返しても飽きない。
    東野さんのこの手の短編集は本当に、ブラックで、皮肉たっぷりで、「こんなことまで書いてしまって、大丈夫なのかな?」と、心配してしまうほど…(実際はそうでもないのかな)。

    それぞれの短編の中に出てくる小説が、本当にもう、あり得ないくらいに暴走していくのが面白すぎて…。
    それでいて、細かいところまできちんと捻りが効いてるなぁと、感心してしまう。
    先を見通す目も、何か凄すぎて…。

    ここに書かれてる作家たちの苦悩は、どれも東野さんご自身の苦悩だったりするのかな?

    に、しても最後の『超読書機械殺人事件』の「ショヒョックス」が実際に開発されたら…是非、色んな本の解説を「酷評モード」で見てみたい気が…。


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      『殺人の門』東野圭吾

      殺人の門
      殺人の門
      東野 圭吾 2003年 角川書店
      ★★★★
      人は人を殺してはならない――それは原則にすぎないのではないか。時にはそれを成さねばならない時もあるのではないか。たとえば戦争だ。人を殺すことを国家が命じるのだ。あるいは正当防衛という法律。どこからどこまでを正当とするかは誰にも決められない。未来の危険を予想して殺した場合はどうなるのか。
       もっと早くに倉持を殺しておくべきだった……
      歯科医院を営む裕福な家の一人息子として、何不自由なく育てられた田島和幸。
      しかし内情は、祖母と折り合いが悪く、床に伏せる祖母の世話を放棄した母親、お手伝いの若い娘との密会を、家の中で母に隠れて繰り返す父親…。
      家族の暮らすその広い日本家屋の、どこにも居場所がないと感じていた小学5年生の和幸は、一人静かに沢山の書物を読みふけり、次第に「人を殺す」ということに興味をひかれていく。

      そんな頃親しくなった同じクラスの倉持修。
      二人はクラスの中でも孤立した者同士として、自然と話すようになり、和幸は倉持に連れられ、学校では決して教わらないようなことや、色んな遊びを覚えていく。

      そして、祖母の死をきっかけに、家族は崩壊し、父親と暮らし始めた和幸だったが、父親がある女に入れあげ、全財産も、仕事さえも奪われ、家を手放すことを余儀なくされる。
      坂道を転げ落ちるように、生活は一変し、苦難を強いられる和幸だったが、それでも何とかアルバイトに精を出し、それなりの高校生活を送っていた彼の元に姿を現したのは、しばらく疎遠になっていたはずの倉持。

      倉持の出現によって、大切なものを奪われた和幸は、彼を「いつか殺してやる」のだと、心に誓う。
      綿密な計画と、膨大な時間をかけて、殺意を増幅させて…。

      倉持と疎遠になっている間だけ、訪れる平穏な日々。
      しかし、束の間の平穏は倉持からもたらされる様々な「うまい話」によって、いとも簡単に奪われる。

      その都度、殺意を固める和幸に、倉持は言う「おれにはお前しかいない」と。
      今度ばかりはごまかされないぞと思いつつ、倉持との運命の黒い糸を断ち切れない和幸。

      倉持に操られ、翻弄され続ける和幸に「殺人の門」をくぐる日はやってくるのか…。


      雰囲気としては「白夜行」と「悪意」をミックスしたような感じ。
      どこまでもどこまでも果てしなく、暗い。
      なのに可笑しく思えるのは、あまりにも主人公が悲惨な目にあってても文章が淡々としてるからかな。

      私も倉持にはきっと騙されてしまうと思う。
      読んでる最中も、どっちの言うことが真実なのかが時々分からなくなったぐらいなので…。

      父親の愚かさを呪いつつも、いつしか同じ道を歩むかのような和幸。
      何度も「それぐらい気付けよ〜」と、つっこみたくなったけど、何だか幸せな頃もあって、それはそれで良いのではと思った。
      (その後、どん底に突き落とされるのも、自分にも原因があるわけで…。)

      小学5年生から、20年もの間殺意を抱きつつも、一緒にいられるというのは、案外、この二人の関係は本当に「親友」なんじゃないのかなと思えてしまった。
      「可愛さあまって憎さ百倍」というか…。

      もうすぐ文庫化されるみたいだけど、相当ぶっとい本になりそうな…。


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        『時生』東野圭吾

        時生
        時生
        東野 圭吾 2005年 講談社文庫
        ★★★★
        どんなに短い人生でも、たとえほんの一瞬であっても、生きているという実感さえあれば未来はあるんだよ。あんたにいっておく。明日だけが未来じゃないんだ。それは心の中にある。それさえあれば人は幸せになれる。

        病院のベッドの上で、もう三年も寝たきりの息子、まだ、たったの十七歳の時生…。
        生まれる前から、こんな日が来ることは分かっていたのに、それでも父は彼が生まれてくることを心から望んだ。
        そして、時生の最期が近づいた夜、父親の拓実は、妻にある告白をする。
        二十三歳の頃の自分に、時生が時間を越えて会いに来たときの話を…。

        それは現在から二十年前の、約束の場所「花やしき」で。
        仕事が上手くいかずむしゃくしゃした気持ちで『鬼退治ゲーム』をしていた拓実に声をかけてきた不思議な青年。
        青年は「時生」と名乗り、拓実のことを何故だかよく知っているらしい。
        時生は、親戚のようなものだと誤魔化し、拓実の側から離れようとせず、拓実の、小さな汚いアパートに居ついてしまう。

        そのころの拓実は、まともな仕事を見つける努力もせず、うまくいかないことの何もかもを、自分を捨てた者のせいにして、一人ぼっちで、とんがって生きていた。
        そんな、どうしようもない頃の彼の面倒を見てくれていたのは、スナックに勤める千鶴という気の良い女性。
        千鶴は、拓実に真面目に働くように、日頃から忠言し、仕事の世話までしてやろうとしていた。

        けれど、唯一の理解者であったはずの千鶴が、突然書置きを残して拓実の前から姿を消してしまう。
        そして、千鶴を追う謎の男達が拓実に近づき、千鶴の居場所を教えろと迫る。
        どうやら千鶴は何かの事件に巻き込まれ、男と逃げているらしい…。
        唯一の手がかりは、昔千鶴が住んでいたという、大阪。

        わずかな手がかりを頼りに、拓実と時生の二人は、大阪へと向かうのだが、大阪に行く前に、途中で降りて、どうしても拓実が会わなければならない人がいると、時生が言う。
        それは、拓実を捨てたはずの実の母親…「そうしないと、解決しないから」と時生は促すのだが…。


        何故、こうなることがわかっていても、生んでほしいと父親の拓実が懇願したのか、そして母親が、時生に聞いてみたいと思った「生まれてきてよかったか、幸せだったかどうか」の問いかけの答えも…読み進めていくうちに、全てが解って、じーんとしてしまう。
        時生が何故、あの頃の父親の元に現れたのかも。
        今の父親があるのも。
        時生が生まれたのも。
        時生がしたかったことも…。
        母親の存在も、何もかも。

        東野さんの小説は、いつもラストが素晴らしいと思う。
        そして、こんな気持ちをまた味わいたくて、東野さんの小説を貪る様に読んでしまう…。

        NHKで、TOKIOの国分君と、嵐の桜井君のコンビでやってたけど、それもなかなか良かった。

        にしても、最初と最後に出てくるお父さんと、若い頃の拓実とのギャップが激しすぎて…人間は変われるものなのだなぁと、感心してしまった。
        それもこれも全部、時生のお陰かな…。


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          『手紙』東野圭吾

          手紙
          手紙
          東野 圭吾 2003年 毎日新聞社
          ★★★★

          我々は君のことを差別しなきゃならないんだ。自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる―すべての犯罪者にそう思い知らせるためにもね

          学歴がないから、自分にはたいした仕事はできなかった。
          両親を亡くし、弟のために身体がぼろぼろになるまで働いた。
          弟にだけは、自分のような思いをしてほしくない。
          せめて大学にだけは通わせたい。
          弟は自分とは違って勉強ができるのだから…。
          そのためにはまとまった金が必要だ。
          だけど身体を壊し、働く場所さえない。
          そして兄は過ちを犯してしまった。
          強盗殺人。
          刑期は15年…。

          弟には兄の気持ちが手に取るようによくわかっていた。
          あのとき、自分も働いてさえいれば…。

          そして一月に一度、服役中の兄から届く検閲印の押された手紙…。
          兄にとっては、唯一弟と繋がっていられる手紙。
          兄にはまるで解ってはいなかった。
          その手紙が、繋がりが、どれほど弟を苦しめるのか…。

          塀の中と外との温度差。
          塀の外で生きていく弟は、夢を見てはその度、突き落とされる。
          全ては、強盗殺人犯の弟というレッテルのために…。

          次第に変化していく弟の気持ち…仕方ないと思う。
          そして、周囲の人々の反応も。
          道徳的には差別してはいけないと解っていても、余計な気を遣ってしまう。
          けれど、周りに気を遣わせてしまうことが負担になってしまう。
          それもこれも、全ては兄が背負うべき罪…。

          兄が刑期を終えて戻ってきたとき、弟はどうするんだろう…。
          できることなら待っていてほしいと、私は願うけど。

          この小説には、三回泣かされた。
          私の涙のつぼは人間の本当の優しさに弱い。
          そこに触れると、胸の奥からこみあげてしまう。

          そして関係ないけど「手紙」そのものも涙のつぼだったりする。
          さだまさしの「風に立つライオン」も真田広之の「手紙」(だったかな。大昔のアルバムの最後の曲)も、手紙形式の歌は、なぜか聞くたびに泣く。

          「手紙」には心がこもってると思えるからかな。
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            『嘘をもうひとつだけ』東野圭吾 

            嘘をもうひとつだけ
            嘘をもうひとつだけ
            東野 圭吾 2003年 講談社文庫
            ★★★★★
            マンションのバルコニーから転落死した女。
            死んだ女はトゥシューズを履いていた…。
            事故なのか、自殺なのか…『嘘をもうひとつだけ』

            ある日男が仕事から帰ると、妻が殺され、赤ん坊がいなくなっていた…『冷たい灼熱』
            他『第二の希望』『狂った計算』『友の助言』の5篇から成る短編集。

            『悪意』にも登場した、辛い過去を持つ刑事、加賀恭一郎がそれぞれの事件を解明していく。
            加賀刑事は、このほか『眠りの森』にも登場していたけど、とてもキザで男前である。
            ガリレオシリーズの湯川助教授と何となく似ている気がする。
            そして、やっぱり私は阿部寛を想像しながら読んでしまう…。
            私の頭の中では、主人公が格好良ければ、みんな阿部寛になってしまう。

            この作品の中でも『冷たい灼熱』は、読んだあと「やられた」感があって好きだった。
            だけど、いくらなんでも、そんなこと…という感じ。
            夫を事故で亡くしてから、毎日のように菊の花束と、氷を買う女…『狂った計算』もかなり、じわーっと怖くて、そして哀しい。

            東野さんの描く犯人の「動機」は、何か人間の人間ゆえの哀しさとか憐れさとか、そういうのがあふれ出ていてとてもよく解る気がする…。
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