スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

0
    • -
    • -
    • -
    • by スポンサードリンク

    『同級生』東野圭吾


    同級生
    東野 圭吾 1996年 講談社文庫 P.369
    ★★★★★
    俺の行動は、由希子の恋人としてふさわしいものであっただろうか。もしもあの世というものがあって、そこから由希子が見ていたとしたら、少しは満足してくれただろうか。そして俺が受けた傷は、俺の犯した罪から考えて妥当なものだっただろうか。
    いや、まだまだだなと俺は思った。罪の償いにはほど遠い。

    同級生の死を、登校して初めて知った「俺」。
    死んだのは、野球部のマネージャーの由希子。
    交通事故だったという。
    彼女の他に、その場にはもう一人女性がいたというのだが、事故の後、女は姿を消していた。

    由希子が事故の日に向かった先が、産婦人科の病院だったという噂が学校に広まり、「俺」は、彼女のお腹の子の父親が自分であると名乗り出ることにした。

    そして「俺」は、由希子の死に関わっていたと思われる独身の女教師を、授業中、クラスの皆を証人にして糾弾することに…。

    彼女を愛していたとしたら、そういう行動を取るのだろうと。
    そうすることが「愛されている」と信じたまま、逝ってしまった彼女への償いになるのかもしれないと。

    そして、ある朝、教室内でその女教師の死体が発見され、刑事はクラスメイト達の証言から、最も動機のある「俺」を真っ先に疑っているようなのだが…。

    「乱歩賞の名作『放課後』を遥かに凌ぐ学園推理」と、帯にあり、あとがきには「本格学園推理の二作目となる本作は、あまり苦労したのであとがきを書く気になった」と、書いてあった。苦労された甲斐があったのかな。


    教師嫌いを公言されてる東野さんらしい作品で、確かに、生活指導の先生とか、潔癖症で、偏執狂そうな…化粧もしてなくて、服装も地味で…そんなタイプの先生うちの学校にもいたなぁ…と思ってしまった。
    (「あとがき」の先生に対する批判は痛烈だけど、私もその半分ぐらいは同じように考えてるかも。)

    「序章」がどう生きてくるのかと思ったら…なるほど、そんなに重かったのか。

    「俺」が由希子を求めた理由は、高校生だから仕方ないか、とも。
    でも、結局は、その後も彼女を騙すようなことになって、それはちょっと大人のずるさのような…。

    由希子は、何も悪いことしてないのに…気の毒というか。
    それとも、もし由希子が死ななければ、本当に責任取ってたかもな。

    最初は「冷淡な奴だ」と、主人公のことをあまり好きにはなれなかったけど、彼も辛かったわけか、と納得。

    最後の一行は、やっぱり東野さんらしくて、いいなぁと思った。

    に、しても、ラブホテルに泊まれるほどのおこづかいを持ち歩くとは、今どきの(といってもこれは、も少し前の話だけど)高校生は、金持ってるなぁと羨ましく思ってしまった。
    0

      『怪笑小説』東野圭吾

      怪笑小説
      怪笑小説
      東野 圭吾 1998年 集英社文庫
      ★★★★
      デビューして七年は、彼も辛うじて自制はしていた。自分の築き上げてきた作風とはあまりにもかけ離れているとの自覚があったために、なかなかそれに手を出せずにいた、というのもあるだろう。しかし、追い詰められた彼は、ついに禁断としていたパンドラの箱に手をかけたのだ。
                                ――解説より――

      真保さんのユーモアあふれる解説にもあるように、東野さんの、一風変わった、関西人のり満載の傑作短編集。

      混み合った通勤電車に乗り合わせた乗客たち。
      彼らの心の中には様々な思いが渦巻き、座席をめぐって、目に見えない壮絶なバトルが繰り広げられていた…『鬱積電車』

      大阪生まれの超ドけちなおばあさん。
      ある大物歌手の歌謡ショーのチケットを、タダでもらったばっかりに、すっかり彼の虜になってしまい、追っかけをするため、生活を切り詰め…『おっかけバアさん』

      息子が生まれたら、プロ野球選手に育てたいと夢見ていた父。
      ようやく待望の男の子が生まれ、息子は父の望み通りに育っていくのだが…『一徹おやじ』

      二十年前、同じ学校で教鞭を振るっていた教師達たち。
      彼らは、年に一度、教師たちだけの同窓会を開いていた。
      ところが、今年は当時の教え子達を何人か呼び、説教の一つでもしてやろう、ということになったのだが…『逆転同窓会』

      子供のころ、母の実家で空飛ぶたぬきの存在を知り、それからずっと、たぬきの研究を続けてきた男。
      男は、たぬきには超能力があり、UFOとは、実は文福茶釜に化けた、たぬきなのではないかと考えていた…『超たぬき理論』

      タイタニックばりに、豪華客船が沈没し、無人島に辿りついた人々。
      彼らは救助を待つ間、退屈しのぎに、ある男の特技を利用し、賭けをはじめるのだが…『無人島大相撲中継』

      買った当時に比べ、値段がどんどん下がることに危機感を感じる「しろかね台分譲住宅」の住民達。
      ある朝、住民が住宅街の道に転がる死体を発見してしまう。
      これ以上評判が落ち、土地の値段が下がるのを恐れる住民達。
      みんなで相談した結果、死体をある場所へ運ぶことにしたのだが…『しかばね台分譲住宅』

      身寄りのない、健康だけが取り得のおじいさん。
      おじいさんには、ある手術が施されることになり、毎日日記をつけることを義務付けられる。
      おじいさんに起こる身体の変化とともに、日記の内容も日々変化していくのだが…『あるジーサンに線香を』

      家族の中でも学校でも、自己主張ができず、肩身の狭い思いをしている中学生。
      彼の目には、周りの殆どの人間が、人間以外の動物に見えていた。
      母親はスピッツに、父親はたぬきに、兄はハイエナに、姉は猫に。
      けれど、彼自身が何の動物なのか、彼にはまだ見えてはいなかった…『動物家族』


      それぞれ、タイトルそのまんま。

      『鬱積電車』の中で、人々が心の中で考えていることは、普段私もちょっぴり思ってたりすることで、もしそれを口にしたら…きっと修羅場かな。

      『おっかけバアさん』は、一時期の杉サマフィーバーを髣髴させる(古い?)。
      一途なおばあさんの、ラストの台詞が凄い。

      『一徹おやじ』も、ラストの一行が……。なるほど。

      『逆転同窓会』は、東野さんの「あとがき」に、教師に対するあまり良くないイメージが書いてあり、教師への痛烈な皮肉がたっぷり。
      ただ、これは本当にその通りだと思うし、すごく良くわかる。

      この短編集の中で、特に好きなのは、後半の3編

      『しかばね台分譲住宅地』は、死体を発見したときのみんなの台詞や動作が、昔の筒井康隆のショートショートによく出てくるような反応の仕方で「わわわ、わわわわわ」みたいなとこが好き。
      馬鹿馬鹿しいけど、住民達にとっては、死活問題で、真剣で…。
      死体もだんだん傷んできて…。

      『あるジーサンに線香を』は、タイトルからして好き。
      もちろん『アルジャーノンに花束を』のパロディなんだけど、ちょっぴり切なくて、でも可笑しい。

      そして、最後の『動物家族』は、ちょっと怖い話。
      母親がスピッツとか、父親がたぬきとか、これだけでどんな人物か分かってしまうのも面白い。
      何より、主人公自身が、一体何の動物なのか、が分かったとき「ああ」と納得。
      可哀相なんだけど…。

      読んでからあとがきを読むと、一段と面白い。
      根っからの関西人なんだなぁと、より身近に感じて、また他の作品ももっと好きになる。

      0

        『パラレルワールド・ラブストーリー』東野圭吾

        パラレルワールド・ラブストーリー
        パラレルワールド・ラブストーリー
        東野 圭吾 1998年 講談社文庫
        ★★★★★
        嫌なこと、悲しいこと、辛いことを経験したことによる心の痛みを、すべて忘れるという方法で解決していいものだろうか。むしろ人間はそうした心の痛みを、一生抱えて生きていくべきではないのか。

        中学の頃からの、親友。
        お互いに認め合い、議論し合い、そして同じ会社のある部署で別々の研究に没頭する、ライバルでもある、親友。
        貧相で、ぱっとしない外見、度の強い眼鏡。
        話題も乏しく、どちらかといえば内気で、そして、あるハンデを背負っていた、親友。
        そんな親友に比べ、社交的な彼には、大学の頃から女友達もそこそこいて…。
        だから、二人の間で恋愛の話は、唯一触れてはいけない話題のはずだった。

        そんな親友が、ある日、彼女を紹介するという。
        そして、彼の目の前に現れたのは、彼が過去に密かに想いを寄せていた彼女。
        しかも、彼女は彼らと同じ会社に入り、親友の研究室に来るという。
        彼に芽生える親友への嫉妬…。
        「なぜこの女は智彦なんかを選んだんだ―。」

        ある朝、そんな夢から覚めた彼が、感じた違和感。
        「親友」は今、どこにいて何をしているのか。
        最後に会ったのは、いつだったのか。
        何故、このところ連絡も取らずにいるのか。
        親友のことが、思い出せない…。

        そして、何故、こんな間違った記憶の夢を見てしまったのか…。

        彼の側には、朝食を作る、彼女の姿があった。
        「最初から、彼女は、俺の恋人だったのに…」

        夢の記憶がどうしても気になる彼が、親友の所在を確認してみると、ロサンゼルスにある本社の研究所で働いているらしい。
        何故、親友は黙って行ったのか。
        親友の、実家に電話をしても、母親の様子がおかしい。
        昔の記憶を頼りに、合鍵を使って親友のアパートの部屋に入ると、そこはまるで泥棒にでも入られたかのように、何もかもがひっくり返り、そしてある物のみが、無くなっていた。

        どうやら、親友が突然いなくなったのは、彼らの研究していることと、関係があるらしい…。
        そして、徐々に記憶の「ずれ」に気づいていく主人公は混乱してしまう。

        彼女は、どっちのもの…。


        タイトルに「ラブストーリー」とついているけど、あんまりそれらしくないお話…。
        どちらかと言えば、彼らの研究の方に重きを置いているというか…。
        なので、東野さんはつくづく、こういう分野が好きなんだなぁ…と思った。

        彼が嫉妬していたのは、彼女のことなのか、それとも才能の方なのか。
        私には、才能に嫉妬をして、彼女を奪おうとしたような気がする。
        本心では、見下していたような…。
        どうしても、この二人が「親友」とは思えなかった。

        彼女の態度も、私にはいま一つよく分からない。
        彼の言うハンデに気を遣って、なのか、本当に愛していたのか。

        親友が最後に、そんなことまでして忘れなければならないような、そんな恋愛が見えなかった。
        それとも、一般的には、こういうものなのかな…。
        なんか憐れな気がする。
        もっと良い人現れるかもしれないのに…。

        に、しても東野さんの美女のイメージの「アーモンド形の目」って…。
        多岐川裕美ぐらいしか、思い浮かばないんだけど。

        0

          『虹を操る少年』東野圭吾

          虹を操る少年
          虹を操る少年
          東野 圭吾 1997年 講談社文庫
          ★★★★★

          すべての生物は、種の保存を最優先にしている。そのために自己を犠牲にすることもある。種を残すために、世代交替する。それが大事だと知っている……人間ほど、世代交替を忌み嫌う生物は、地球上には存在しない。


          深夜二時、どこからともなく送られる「光」のメッセージ…。
          最初に気付いたのは、破壊活動を終えてきたばかりの「ニュータイプ」と呼ばれる暴走族のメンバーの一人。
          父親の病院を継ぐため医師になることを強いられ、疲れきった少年。
          母と祖母との不仲を苦に、死んでしまおうと考えている少女…。

          その「光」の点滅には不思議な力があった。
          光が語りかける。光が呼んでいる。
          (さあ、こっちへおいでよ)

          幼い頃から特殊な色彩認識能力を持つ少年「光瑠」
          光瑠は、ある目的のために、屋上から彼らに光でメッセージを送っていた。
          並外れた知能を持つため、教師からは疎まれ、次第に両親の手にもあまるようになる光瑠…。
          高校生になった光瑠は、仲間達から「光楽家」と呼ばれるようになっていた。
          深夜、光を求めて集まる子供達に開かれる秘密のコンサート。
          大人は中に入ることさえ許されない。
          光瑠は言う「僕がやろうとしていることは、かつてのフォークシンガーたちと同じことさ。メッセージを発信したい。それを受け止める人を探したい。音楽を越えたものでね。」と。
          そして、一度その光の演奏を目にした者は、恍惚感に浸り、その光のシャワーを浴びたものは、「怖いものがなくなる」「どんなことにも耐えられそうな気になる」「しばらく見ないと、イライラするようになる」と口を揃える。
          そして口コミで噂は広まり、観客は徐々に増えていく。

          やがて、舞台は移され、光のコンサートはより大掛かりなものになり、その噂はマスコミの知るところとなる。

          そうして、その「光の演奏」の麻薬性に目をつけた組織、団体に利用されるようになるのだが、それすらも光瑠には、目的を達成するための手段の一つであった…。光瑠の真の目的とは…。

          なんとも不思議なお話。
          SFとも、ファンタジーとも…。
          ただ、きちんとメッセージが込められていて、結構深い。
          (あらすじも合っているのかわからなくなってしまうぐらい、きっと深い)
          大人には見えないものが見える子どもたち…。
          新しい力を怖がり、潰してしまおうとする大人たち。
          うーん…。

          このお話の終わり方はなかなか良い。
          土曜の9時の10ch枠あたりで、ドラマ化してほしかったな…。

          に、しても何十年前の本かと思ってしまう…。この装丁って…。


          0

            変身

            変身
            変身
            東野 圭吾 1994年 講談社文庫
            ★★★★

            人間に死の判定などできない…。

            世界中が注目するほどの、脳の移植手術を受けた男。
            彼は、画家になることを夢見る平凡な男だった。
            付き合って二年になる、そばかすがとても魅力的な彼女もいる。
            彼は、ある事件に巻き込まれ、幼い少女の身代わりとなり、頭に銃弾を受けてしまった。
            そして三週間の昏睡状態から目覚めた彼が、真っ先に考えたのは会えないとわかっていても毎日見舞いに来てくれている彼女に手紙を書くこと。
            それほど大切に思っていたのに…。
            なのに…退院した彼は、ふと「彼女にそばかすがなければ良かったのに…」
            そう思ってしまった。
            その日から、徐々に彼女の存在を疎ましく思い始める。
            何故自分がそう思うのか、自分でも理解できないままに。
            彼の変化はそれだけではなかった。
            以前の彼なら考えられないほど、周囲の人間を見下し、暴力的になっていく。
            以前は扱いやすい部下と見られていた職場の上司にも敬遠されるほどに。
            何より、彼には以前のような絵が描けなくなっていた…。
            どれもこれも、脳の移植によるものなのか…。
            自分を支配しているこの脳の一部は、どんな人間のものだったのか。
            彼はそれを知りたくて、ドナーの家族との接触を試みる。
            そして決定的に「違う」と、知ってしまった。
            では、自分の脳の一部であり、今の自分を支配しているのは誰なのか…。

            似たようなテーマでも、書く人によって変わるものだと、つくづく小説って面白いと思う(貫井さんの『転生』と読み比べた私なりの感想ですたらーっ『変身』の方が先かな)。でも、共通しているのは、絵を描くこととか、音楽的な才能とか、そういったことが人間の変化の一番わかりやすいところなのかなというところピピピ
            そしてラストは全く違うのがすごく興味深いのです。











            0

              1

              calendar

              S M T W T F S
                 1234
              567891011
              12131415161718
              19202122232425
              2627282930  
              << November 2017 >>

              読書メーター

              uririnの最近読んだ本 uririnの今読んでる本

              新刊チェック

              selected entries

              categories

              archives

              recent comment

              • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
                uririn
              • 『痺れる』沼田まほかる
                uririn
              • 『絶望ノート』歌野晶午
                uririn
              • 『夏空に、きみと見た夢』飯田雪子
                いちれん
              • 『痺れる』沼田まほかる
                くり
              • 『絶望ノート』歌野晶午
                智広
              • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
                uririn
              • 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』辻村深月
                苗坊
              • 『永遠の0』百田尚樹
                uririn
              • 『永遠の0』百田尚樹
                苗坊

              recent trackback

              recommend

              recommend

              recommend

              recommend

              recommend

              recommend

              悪人
              悪人 (JUGEMレビュー »)
              吉田 修一
              読み終わった後も余韻に浸りたくなるような…これは、すごい。

              recommend

              しずく
              しずく (JUGEMレビュー »)
              西 加奈子
              サイン本買っちゃった。

              recommend

              recommend

              たぶん最後の御挨拶
              たぶん最後の御挨拶 (JUGEMレビュー »)
              東野 圭吾
              猫なんです…。

              recommend

              recommend

              recommend

              ねこの肉球 完全版
              ねこの肉球 完全版 (JUGEMレビュー »)
              荒川 千尋,板東 寛司
              たまらん。

              recommend

              ニャ夢ウェイ
              ニャ夢ウェイ (JUGEMレビュー »)
              松尾 スズキ, 河井 克夫
              たまらん…

              recommend

              recommend

              僕たちの戦争
              僕たちの戦争 (JUGEMレビュー »)
              荻原 浩
              とにかくお薦め。

              recommend

              出口のない海
              出口のない海 (JUGEMレビュー »)
              横山 秀夫
              たくさんの人に読んでほしい…

              links

              profile

              search this site.

              others

              mobile

              qrcode

              powered

              みんなのブログポータル JUGEM

              使用素材のHP

              Night on the Planet フリー素材*ヒバナ *  *

              PR