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    『れんげ野原のまんなかで』森谷明子

    れんげ野原のまんなかで
    れんげ野原のまんなかで
    森谷 明子 2005年 東京創元社 P.253
    ★★★★
    いいかもしれない。レンゲの花畑の中の、閑散とした図書館。ここに来ればいつでも本が待っている。花に誘われて誰か――たとえそれが少ない数でも――来てくれればいい。

    バブル期の計画が頓挫し、町外れのススキ野原の真ん中に、ぽつんと淋しく建てられてしまった、建物だけは立派な、地下一階、地上二階のコンクリートの塊、秋庭市立秋葉図書館。

    立地条件の不便さからか、一日の来館数は数えるほどで、この春から配属されたばかりの新米職員、文子は、カウンターから、眼前に広がるススキ野原を日がな一日眺めながら、あくびをかみころす日々を送っていた。

    そんな人気のない平和な図書館で、ある時期から流行りだしたのは、閉館前に入れ替わり立ち代りやって来る、小学生たちによる度胸試し。
    何やら図書館のコンピュータにまつわる怪奇話まで、学校で噂になっているようで…。
    そしてある夜、閉館直後にセキュリティシステムが鳴り響く…『霜降――華薄、光る。』

    図書館前にも、ようやく循環バスが停まるようになり、徐々に来館者も増えだした。

    毎週水曜日になると決まってやって来るようになった、上品な老女。
    老女がいつものように、お気に入りの写真集を開くと、中には、何やら絵本の背表紙をコピーしたものが挟まれており、老女はいそいそと、その絵本の置いてある場所を探す。
    そして、翌朝、利用する人の少ないはずの、外国の児童書の書架に、順番が滅茶苦茶に並べられた数十冊の本を見つけた文子。
    ベテラン職員の能勢は、本のラベルを使った暗号かもしれないと言うのだが、文子には解読不可能のようで…『冬至――銀杏黄葉』

    地主の秋葉が経営するコンビニ『ハッピー・ストア秋葉』のコピー機に、図書館の利用客の貸し出しリストのようなものが置き忘れられていたという。
    慌てて知らせに来た秋葉に、文子達は、心当たりもなければ、そもそもそのような貸し出しリストを作るはずがないと否定する。
    リストに連ねてある本は、いずれも返却期間が過ぎているのに、返却されておらず、そこに記入された電話番号に、督促の電話をかけると、皆が皆、図書館など利用したこともないし、カードも作ったことがないという返事…『立春――雛支度』

    大雪に見舞われ、帰りの足がなくなった文子を心配した能勢からの電話を受け、迎えに来てくれた秋葉のお屋敷に、半ば強引に連れて行かれ、泊めてもらうことになった文子。
    久しぶりの客人に、酒も進み、上機嫌になった秋葉から、子供の頃に見たという不可思議な「雪女」の話を聞かされ…『二月尽――名残の雪』

    地主の秋葉の一言で、刈り取られたススキの後に植えられたレンゲソウが、辺り一面に見事な赤紫色の花を咲かせると、たちまち名所となり、にわか、トイレつき休憩所と化した秋葉図書館。

    人の出入りが多くなった、図書館の棚に、秋葉図書館のものではない、お宝本が紛れ込んでいるのを見つけた文子達は、その本が、今はもう廃校になった中学校の図書室の蔵書であったことを知り、何十年も借りたままの本を、誰が、何故、今頃になって、この場所へ置いていったのかと不思議に思う。
    たまたまレンゲ畑の取材に来ていた記者は、その廃校になった中学校に通っていたのだと話し、同級生の中に、祖母が不幸な死を遂げた後、姿を消した、本好きの少年がいたというのだが…『清明――れんげ、咲く。』
    の、季節感溢れる5編から成る連作短編集。

    「のどかな図書館を優しく彩る、季節の移り変わりとささやかな謎。『千年の黙 異本源氏物語』で第十三回鮎川哲也賞を受賞した期待の新鋭が放つ、本好き、図書館好きに捧げる受賞第一作。」だ、そうな。


    図書館に行くたびに、どうやったら、ここで雇ってもらえるのか…と、考える私にとって、れんげ野原の真ん中にある、近代的な設備の図書館…こんな天国みたいなところで働ける文子さん達が、とてもうらやましく思えた…(暇そーだし)。

    若いときに、図書館司書の資格、取っとけば良かったのに…と、とても悔やまれる(今からでも取ってみようかなと思って、調べてみたけど、結構お金もかかるようで…)。
    なので、やっぱり図書館で働く人は、憧れの人かも…(本は重いし、重労働かもしんないけど)。

    「ささやかな謎」は、そんなに「ささやか」でもなく、結構重いのもあったりする。

    ほろりとする場面もあって、全体的にはすごく良かったけど、主人公のキャラがいまいち良く掴めないというか、ぼやけた感じがして…。
    もしかして、このキャラの地味さも計算なのかな。

    地主の秋葉さん、が一番印象に残っているような…。

    文子さんと物知りな先輩の能勢さんとの微妙な関係は、なかなかの好印象。

    恥ずかしながら私は読んだことなかったから、ピンと来なかったけど『クローディアの秘密』や『床下の小人たち』を、子供の頃に読んだことがある人なら、よりいっそう面白く感じれるのかも…。
    読んどけば良かった…。

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