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    『夏の日のぶたぶた』矢崎存美


    夏の日のぶたぶた
    矢崎 存美 2006/8/31 徳間デュアル文庫 P.170 ¥620
    ★★★★
    夏休みに入ってからの数日間は、いったい何だったんだろう。あの古い家にいたぬいぐるみは、本当に存在していたのか。ふるまってもらった冷たいお茶やおやつも、たっぷりの昼食も、実際に食べていたんだろうか。ぬいぐるみがしゃべり、ものを食べ、ビールを飲んだり、本を読んだり、行水をしたり、料理をしたり、車を運転したり――そんなこと、起こるはずもないことじゃないか。

    母親が弟だけを連れて実家に帰ってしまい、父親の元に一人取り残された「菅野一郎」中学二年の夏休み。

    父親の営むコンビニを手伝い、配達に向かった先は、近所では「幽霊屋敷」と呼ばれる、用がなければあまり近づきたくない山の中の別荘地。

    恐る恐る、注文のビール一ケースを手にした一郎がドアをノックしてみると、中から出てきたのはピンクの小さなぶたのぬいぐるみ…!?

    その日から「ぶたぶた」のいる別荘に足繁く通うようになった一郎が、幼なじみの久美に誘われた小旅行に、「ぶたぶた」にも同行して欲しいと頼み込み、久美にはただのぬいぐるみだと言いくるめ、三人(?)で電車に乗り込み向かった先は……。

    「実家に帰ってしまった母親。どことなく元気のない幼なじみの少女。いつもとちょっと違う夏休み。子供以上大人未満な少年時代をやさしい筆致で描く書き下ろしハート・ウォーミング・ノベル。
    大人気シリーズ《ぶたぶた》書き下ろし最新作!!(2006年8月時点での)」です。


    今回は私にとっては初めて読む「ぶたぶたさんシリーズ」の長編で、しかもぶたぶたさんはあくまでも脇役なので、ちょっぴり淋しい思いをしてしまった。

    とはいえ、一郎君のひと夏の物語は、もちろん心温まるとても良い話で。

    ただ、一郎君が考えた「ぬいぐるみの仕事」は「窓際に置かれて、淋しい人の話を聞いてあげること。その淋しい人って、僕のことだ。」というのは、まさしく「ぶたぶた」さんの本来の仕事なのかなと思えたし、でもやっぱり「ぶたぶた」さんは、それだけであって欲しくない存在というか、もっと癒されたいというか…存在を信じたいから、動かなくなってちょっとショックだったかも。

    何はともあれ、やっぱり今回も面白くて、可愛くて、ほろりとさせられて癒されて、短いからすぐに読めてしまう分物足りないけど、しっかり「ぶたぶた」さん。

    そして今回も、「ぶたぶた」さんの作る、「マンゴープリン」やお昼ごはん、ぜひ食べてみたいなと…でも、そのお手でどうやっておにぎりを……。

    うーん、たらいで行水してる「ぶたぶた」さんも、こっそり覗き見してみたいし。

    に、しても、ぶたぶたさんシリーズを最初から全部読みたいのに、何で最初の頃のは絶版で手に入れにくいのか…こんなに人気あるのに、みんなに読んでもらいたいのに。
    なので、是非是非再出版(?)重版(?)してくれないかなとお願いしたくなったりする(誰に?出版社さんに…)。
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      『ぶたぶた日記』矢崎存美

      ぶたぶた日記
      ぶたぶた日記
      矢崎 存美 2004年 光文社文庫 P.203
      ★★★★★
      ぶたぶたのことを友だちだと思っている人たち、あるいはそこまで関わりがなくても彼に魅入られた人たちは、そうやって彼を守り続ける。それは、彼を信じられる自分を失いたくないと思うからかも知れない。

      有名でもない売れない小説家、磯貝が講師を務めることになったカルチャーセンターの『日記エッセイ講座』。
      初回の日、提出されたエッセイのあまりの出来の良さに、誰の作品なのかと尋ねた磯貝が、声のする方を見てみると、そこには、桜色をした、バレーボールほどの大きさの、ビーズの点目に、おみくじ結びの尻尾…どう見ても「ぶたのぬいぐるみ」が、ちょこんと椅子に乗っかって…。

      信じられない気持ちで、中年の男の声で話す「ぶたのぬいぐるみ」の姿に釘付けになる講師の磯貝。
      「山崎ぶたぶた」と名乗る「ぶたのぬいぐるみ」を見る周りの反応を確かめたくて、まずはみんなで自己紹介をすることに…。

      これから全6回開かれる『日記エッセイ講座』を受講しているのは、プロのエッセイストになりたいOL、ひきこもりの元女子高生、妄想好きな更年期に悩む専業主婦、定年後にいろいろな文章教室を梯子していたお父さん、リストラされることを妻に隠し、時間つぶしのためにと講座に通うサラリーマン。

      見た目はかわいい「ぶたのぬいぐるみ」なのに、喋ると中年のおじさん「ぶたぶた」が『日記エッセイ講座』の課題として書き上げたエッセイ、
      第一回『突然の申し出』
      第二回『二番目にいやなこと』
      第三回『不器用なスパイ』
      第四回『もっと大きくなりたい』
      第五回『紅茶好きの苦悩』
      第六回『今までで一番怖かったこと』
      と、この講座で「ぶたぶた」に幸運にも出会ってしまった、それぞれに訳ありな、同じ講座に通う仲間たちが織り成す6つの物語。

      「くすっと笑えて、静かな感動が残る――ご存じ超人気シリーズ新作(2004年時点での)が、書下ろしで登場!」まさにその通りで。


      最初の方は、初めて「ぶたぶた」さんを目にした人たちの、あたふたした姿があまりにも可笑しくて、笑ってばかりいたけど、中盤の『もっと大きくなりたい』から、徐々に考えさせられて、最後の『今までで一番怖かったこと』の「ぶたぶた」さんのエッセイを読んで、いきなり現実(?)に引き戻されてしまった。

      「ぶたぶた」さんを、そういう目で見る人たちがいるのだなと思うと、現実には「ぶたぶた」さんはいないと分かっていても、ものすごく悲しくなってしまった。

      サンタクロースと同じくらい、本当にいてくれたら良いのになと思っているだけに、何だか殺伐とした現実を思うと、やりきれないと言うか…。

      なので、そんな「ぶたぶた」さんを守ろうとしているみんなの優しさに涙が出てしまう。
      これって、現実に置き換えてみて「ぶたぶた」さんでなくても、子どもや、動物にも通じるような…。

      なので、いつも癒されてばかりの「ぶたぶた」さんシリーズだけど、今回のは、これまでで一番面白かったのと同時に、一番切なかったかな。

      今の時期にぴったりな『クリスマスのぶたぶた』が文庫化されたのが、私にとっては何よりのクリスマス・プレゼントだなと(今年も、自分で自分にプレゼント買ってあげるしかないのが、少し侘しい気もするんだけど…)。
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        『ぶたぶたの食卓』矢崎存美

        ぶたぶたの食卓
        ぶたぶたの食卓
        矢崎 存美 2005年 光文社文庫 P.229
        ★★★★★
        瓦せんべいをばりばり食べて、ごくりとお茶を飲む。ものを食べる時のぶたぶたは、弱気なことを言っていても元気そうに見えるのだ。食べることが本当に好きらしい。
        「妻は『焦らなくていいから』って言うんですけど、苦しいのはこっちもわかってますからね」
        ああ、何て生活感のある会話だろうか。ぬいぐるみとの会話とはとても思えない。

        親元を離れ、一人暮らしを始めたばかりの由香が、たまたま入った、古びた中華料理店で出会った懐かしい味。

        大好きだった祖母の作ってくれたチャーハンの味と、まったく同じチャーハンの秘密を知るために、いつしかこの店に通うようになった由香。
        そしてとうとう、店の主人が作り方を教えてもらったという、この店の常連客に対面することになるのだが…店にやってきたのは…。

        薄ピンク色のバレーボールぐらいの大きさの、黒ビーズの点目、突き出た鼻、そっくり返った右耳、きゅっと結んだしっぽ、どこからどう見ても、完璧なぶたのぬいぐるみ、なのに人間のおじさん、その名も山崎ぶたぶた…『十三年目の再会』

        そして、今回のぶたぶたさんは、あるときは料理教室の先生、また、あるときは喫茶店のマスター、そして二人の娘を持つ、良きお父さんとして、得意の料理の腕を存分に揮い、ぶたぶたさんの作る料理やお菓子を口にする人たちの心の中に、ぶたぶたさんの優しい味が染み渡る…『嘘の効用』『ここにいてくれる人』『最後の夏休み』の4編から成る短編集。

        「傷つき疲れた人々の心をときほぐし、新たな一歩を踏み出す勇気を与えてゆく――。
         心の奥をほんのりと温めてくれる、傑作ファンタジー!」まさに、その通り。


        またしても、ぶたぶたさんに癒されてしまった。
        でも、そのおててで、どうやって料理を…、というのは置いておいて。

        ぶたぶたさんが作り方を教えてくれるチャーハンは、是非試してみようと思う。
        できれば「ラタトゥイユのガレット」の作り方も教えて欲しかった…。

        今回は、ぶたぶたさんの家族のことや、心の中も垣間見れたようで、なかなか苦労してるんだなぁと、切なくなってしまった。

        今回のは、ちょっぴり切ない話が多かったかな。
        『ここにいてくれる人』の、元の自分には戻れない…、というのも、『最後の夏休み』の、小学生の頃の男の子の気持ちも、そして全てを受け容れて許してくれる、ぶたぶたさんの存在も…。

        でも、見た目の可愛いぶたぶたさんの、おじさんっぽさは、しっかりと可笑しくて(ぶたぶたさんは、ごくごく普通にしているだけなのに、それが余計に面白いから、不思議だなぁ)。

        そうか、ぶただから猫舌じゃないんだ…(しかもぬいぐるみだし)。
        でも、共食いは…どうかと思う…(まあ、ぬいぐるみだからいいんだけど)。

        本だけでも癒されるんだけど、それだけでは我慢できなくなって、ぶたぶたさんのモデルになったというぬいぐるみの「ショコラ」を通販で注文してしまった(どうしても、ぶたぶたさんを手元に置きたくて…)。

        できれば、料理を作ってくれる、本物のぶたぶたさんに傍にいてほしいんだけど…。

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          『ぶたぶたのいる場所』矢崎存美

          ぶたぶたのいる場所
          ぶたぶたのいる場所
          矢崎 存美 2006年 光文社 P.249
          ★★★★
          何気なく振り返ると、フロントカウンターの脇の柱から、何かが顔を出している。
          ぬいぐるみだ。小さなぬいぐるみが、顔を半分だけ出している。大きな耳、長く突き出た鼻、ピンクの布地。少し濃いピンクの布を張った片手の先まで見えている。あれは――ぶたのぬいぐるみだろうか。

          名ホテルと名高い高級ホテル、海のきらめきを一身に集めて輝くような、白亜の西洋館「グランドホテル」。
          この「グランドホテル」には、普段、客の前には、極力姿を現さないようにしているという、どう見ても「ぶたのぬいぐるみ」にしか見えない(実際ぬいぐるみなんだけど…)、一風変わった執事(バトラー)がいる。

          その名も「山崎ぶたぶた」(そのまんまじゃん)。

          物語はこの「グランドホテル」の二十周年記念に当たる、来年の桜祭りのメインイベント、シェイクスピアの「オセロー」の芝居に携わる人々と、このホテルで、ぶたぶたさんと、遭遇することになってしまったお客様の物語を絡めて、
          『人形の夜〜春の物語』
          『柔らかな奇跡〜夏の物語』
          『不機嫌なデズデモーナ〜秋の物語』
          『ありすの迷宮ホテル〜冬の物語』
          と、きて
          『小さき者と大きな空〜再び、春の物語』で、大団円を迎える5編から成る、ファンタジー連作短編集。

          「とっても不思議で心温まる、超人気シリーズ最新作!」(8月には、もう『夏の日のぶたぶた』が出てるから、今は最新作でないけど…)だ、そうな。


          す〜さんのブログで、以前から「何だろうこれは?」と、ものすごく気になっていたけど、読んでみて「ぶたぶたさん」の魅力にすっかりやられてしまった…。

          かわいいぶたのぬいぐるみ、なのに、おじさん…。
          古ぼけた桜色で、突き出た鼻と右耳がそっくりかえった大きな耳。
          黒ビーズの点目…そんな「ぶたぶたさん」が、鼻をもくもくさせながらおじさんの声でしゃべるって…想像しただけで、もう幸福な気分になってしまう…。

          しかも「ぶたぶたさん」は、今回シェイクスピアの四大悲劇の一つ、「オセロー」の舞台で、重要な役を与えられて、しかも、それがちっとも不自然でなくて、北島マヤばりの名演技をやってのける。

          一作目の『ぶたぶた』から読みたかったけど、残念ながら本屋さんにこの本しか置いてなかった…最初から読まなくて、この設定についていけるかな?と不安だったけど、全然大丈夫。

          でも、シリーズ全部読みたくなってしまったので、探さなければ…と、必死になるぐらい、面白かった。

          あるホラー作家が、このホテルにカンヅメにされて…の『ありすの迷宮〜冬の物語』は、バスの中で読みながら、必死で笑いをこらえてしまうぐらい、爆笑もんで…。

          「ぶたぶたさん」のかわいさと、優しさに、ものすごく癒されてしまった。
          ルームサービスの「梅きのこ雑炊」…作り方を知りたい…。

          「ぶたぶたさん」が飲んだビール、お腹の染みにならなくて、本当に良かった。
          て、それ、どこに入ったのかな…。
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